海洋における人工放射性核種の挙動に果たす沈降粒子の役割に関する研究

海洋生産部 海洋放射能研究室
背景・目的
  1. 137Cs(半減期30年)は人工放射性核種の1つである。近年137Csの大気降下量は極端に減少したが、137Csの海洋への影響は未解明である。
  2. 沈降粒子中とともに沈降する放射性核種を調べることを目的として、大気から土壌粒子の降下量が多い日本海でセジメントトラップ実験を行った(図1)。
成果
  1. 137Csフラックスは春に極大、夏に極小を示し、特に2002年3月~4月に顕著な増加が見られた(図2)。
  2. この増加時期は、日本海に飛来した大きな黄砂ダストイベント時期と一致していた。
  3. この顕著な増加は、多量に137Csを含んだ黄砂粒子の降下・沈降によるものであることを示した。
  4. 137Csの沈降速度は、100~130m/dayと計算された。予想以上に速い。
  5. 大気から降下した137Csと黄砂粒子は、海洋表層へ長時間留まることなく素早く深海へ沈降し ていた。

図1 セジメントトラップ設置地点とセジメントトラップ(拡大)

図2 137Csフラックス(測定終了のもの)と2002年3月22日の黄砂イベント。試料採取期間は、ほぼ一月間隔である。画像はアメリカ地球物理学連合のものを一部改変。(拡大)
波及効果
  1. 深海への放射性核種の鉛直輸送量から、深海底や深海生物中への放射性核種の蓄積過程を定量的に評価することが可能となる。
  2. 137Csで求めた沈降速度は、放射性核種および陸起源汚染物質の輸送過程を定量化するために 必要なパラメーターとして活用できる。
連絡先

 皆川 昌幸 TEL : 045-788-7653
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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