主要淡水魚地域個体群の生態的特性と遺伝的多様性の関係解明
- イワナの遺伝的多様性を守るためにはどうしたらよいのか -
内水面研究部 生態系保全研究室
背景・目的
1. 淡水魚は、同じ種類であっても、生息地ごとに遺伝子の組成が異なっている可能性が高い。
2. 遺伝子組成の違いは、それぞれの生息地の環境への適応進化の結果であり、今後その魚を水産資源として永続的に利用していくためには、遺伝的多様性を保全したほうが良い。
3. 渓流の重要な水産資源であるイワナについて、生息地固有の遺伝子を守る方法を検討する。
成果
1. イワナの在来個体群(それぞれの川固有の魚)の多くは、堰堤やダムの上流の狭い範囲に隔離されて生息していた(図1)。
2. 同じ川に流入する隣り合った支流であっても、イワナの遺伝子は支流ごとに異なっていた。
3. 堰堤やダムの上流の距離が短い支流や、流量の少ない支流のイワナほど、遺伝的多様性が低かった(図2)。

図1 ある川におけるイワナの在来個体群の生息分布

図2 支流の環境要因とイワナの遺伝的多様性との関係
波及効果
1. イワナの保護や増殖は、支流ごとに行う必要があることを都道府県や漁協に説明できる。
2. イワナの遺伝的多様性を保つためには、堰堤やダムの上流に隔離しないようにしたり、流量を減らさないようにする必要があることを、国土交通省や林野庁に説明できる。
3. イワナをはじめとする淡水魚については、今後遺伝子解析を行う都道府県や大学が多いことから、研究手法を提供できる。
連絡先
中村 智幸

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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