韓国における刺身マグロの消費動向
研究課題名:東アジアにおける刺身マグロの需要動向に関する研究
実施年度:平 成 20 ~ 21 年度
水産経済部 国際漁業政策研究員 松浦 勉

目的


 これまで刺身として白身魚のヒラメ・マダイなどが多く消費されてきた韓国ですが、1980年頃から赤身の冷凍マグロが刺身として利用され始め1990年代以降刺身マグロの消費量が増加しています。現在の同国の刺身マグロの消費動向を把握しました。

結果と解析


 マグロはトロと赤身の両方を好む点が日本と似ています。しかし、歯ごたえのある部位(かま肉、ほほ肉など)やメカジキの消費が多く、また、刺身マグロ流通が日本のように卸売市場主体ではなく、超低温マグロ漁船を有する大手水産会社が自らの加工場から料理店やスーパー・百貨店に卸している点が、日本と異なります。

 消費の地域間格差が大きいことも特徴です。国内最大の水揚地であるプサン市では白身魚が入手しやすいので赤身マグロの消費が人口の割に少ないのですが、大量の水産物が集まるソウル市では、一定以上の所得階層を中心に消費が多くなっています。大手水産会社が卸す刺身マグロの7割以上がソウル市に向けられます。

 2009年2月に男女400人ずつのソウル市民を対象に、インターネットによる消費動向調査を行ないました。はじめて食べた時期は、20~30 歳代では2000年以降、40歳代以上では1990年代が多いという結果でした(表1)。食べた場所は、韓国式のマグロ専門店、食べ放題の店(バイキング)、寿司屋の順であり、つまり外食が圧倒的に多く家庭内で食べた比率は僅か6%という結果でした(表2)。

波及効果


 韓国は、日本、米国に次いで刺身マグロの消費量が多い国です。地中海産蓄養クロマグロ生産量が減少して韓国への供給が減ることが予想されますので、日本産養殖クロマグロの韓国への輸出が期待されます。