日高主任研究員が日本プランクトン学会論文賞を受賞

情報公開日:2017年4月10日(月)

photo  中央水産研究所海洋・生態系研究センターの日高主任研究員が、3月21日に東京海洋大学品川キャンパスで開催された日本プランクトン学会春季シンポジウムにおいて、日本プランクトン学会論文賞を受賞しました。
主著者の日高主任研究員は、左から二人目
  1. 受賞者:日高清隆1)・伊東 宏2)・平井惇也1)・津田 敦3)
        1:水産研究・教育機構 中央水産研究所、2:株式会社 水土舎、3:東京大学 大気海洋研究所
  2. 受賞論文名:Occurrence of the Paracalanus parvus species complex in offshore waters south of
          Japan and their genetic and morphological identification to species.
    掲載誌:Plankton and Benthos Research, vol.11, p.131-143, 2016. DOI: 10.3800/pbr.11.131.
  3. 受賞論文の概要:
     日本周辺に分布するParacalanus属カイアシ類のうちParacalanus parvusと同定されてきた種は、我が国周辺の亜熱帯域における優占種の一つであり、マイワシを始めとして水産魚種の餌料としても代表的な種類です。
     しかし、この種の分類学上の位置づけについては、今日にいたるまで結論が得られていませんでした。この研究では、中央水産研究所が設置している東経138度線上の定線("O-line")で採集された試料を用いて、形態と遺伝子の解析によって、採集された近縁の個体を比較しました。その結果、まずP. nanusが形態のみで区別されたほか、P. indicus, P. tropicus, さらに Cornils & Held (2014)において "NWP"タイプとして報告されている未記載種(以下Paracalanus sp. (NWP))が遺伝子解析により確認されました。これら3種については遺伝子情報から生殖隔離が確認されました。また、形態や分布域から、我が国の沿岸部・大陸斜面域で採集され生態研究の材料とされてきたのは主としてParacalanus sp. (NWP) であると考えられました。
     本研究の成果により、従来の形態学的手法に遺伝学的手法を併用した解析の結果、未記載の種の存在が示唆されました。水産学的にも生態学的にも重要で一般的に古くから知られている本種で、さらなる分類学的新知見が得られたことが高く評価され、今回の受賞となりました。

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