日本周辺の海産物の放射性物質による汚染度を評価する方法を開発

情報公開日:2016年3月1日 (火)

 日本周辺の海産物の放射性物質による汚染度を評価しました。汚染度は全体に低く、海産魚の汚染は従来考えられているほど高くないことが分かりました。淡水魚の汚染は相対的に高いことから、今後も引き続きモニタリングを継続する必要があります。
 国立研究開発法人水産総合研究センター(FRA)では、統計数理研究所(ISM)と共同で、日本周辺の海洋生物の放射性物質(セシウム134および137)による汚染度の定量化を行いました。
 汚染度は全体に低く、汚染が最も懸念されている海産底魚類においても、基準値を超える確率はかなり低いということが分かりました。しかし、一部の淡水魚に対する汚染度は相対的に高く、今後も引き続きモニタリングを継続することが重要であると考えられます。開発した方法は、検出限界値未満のデータが多くあっても汚染度を評価することが可能であり、今後幅広い魚種の評価を行う上で、有効な応用技術の提供となっています。
 この内容は、2月29日発行の米国科学アカデミー紀要オンライン版(DOI:10.1073/pnas.1519792113)に掲載されました。
【発表論文】
Hiroshi Okamura, Shiro Ikeda, Takami Morita, and Shinto Eguchi
Risk Assessment of Radioisotope Contamination for Aquatic Living Resources in and Around Japan
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,113:9.
 (January 26, 2016 (received for review October 6, 2015)
  DOI:10.1073/pnas.1519792113
日本周辺の水産資源の放射性同位体汚染のリスク評価
岡村 寛1)、 池田思朗2)、 森田貴己1)、 江口真透2)
 1: 水産総合研究センター中央水産研究所、2: 統計数理研究所
別紙参考資料