バフンウニ生殖腺から新規苦味アミノ酸の発見
[要約] 特定時期に苦味を有するため食用にならないバフンウニがある。このバフンウニ生殖腺から苦味物質を単離、構造決定した結果、新規の含硫苦味アミノ酸であることを明らかにした。このアミノ酸は動物実験より含硫苦味化合物と味覚類似性があることが示唆された。また、このアミノ酸は成熟した卵巣に特異的であり、季節により発現個体頻度が変化することも明らかにした。
中央水産研究所 利用化学部 連絡先045-788-7657
推 進 会 議水産利用加工 専  門水産成分 対  象うに    分  類研  究

[背景・ねらい]
 バフンウニは地域によって、特定時期に生殖腺に苦味を有するものが生息し、そこでは商品価値がなく漁獲対象となっていない。一方、苦味物質の多くは生理作用、薬理作用を有し、苦味化合物で代表的なアノレカロイド類の多くはその薬理作用から医薬品の成分として利用されている。本研究では、苦味を有するバフンウニの苦味の成分の除去および苦味生成の抑制、あるいは苦味成分の有用生理活性物質としての利用化のためめ基礎的な知見の集積を目的とし、苦味の発現頻度、苦味成分の単離と構造決定、味覚感受性について検討した。
 

[成果の内容・特徴]
 

バフンウニの苦味は成熟した卵巣に特異的なものであることが明らかとなった。福島県小名浜においては、成熱個体のみ見られた11月(1998年)、2月および未成熟個体が4個体だけであった11月(1999年)では雌の98%以上が苦味を有していた。また、未成熟の個体が多い5月および8月では成熟した卵巣の76%および58%に苦味があつた。また、8月では、未成熟の個体の20%に苦味があつた。このことから苦味の発現は季節により変動し、成熟周期との関係も示唆された。(図1)
バフンウニ卵巣抽出物の苦味画分に対するマウスの条件付け味覚嫌悪行動実験の結果、バフンウニの苦味は含硫苦味化合物(PTC,MgS0・)と味覚類似性があることが示された。(図2)
バフンウニ卵巣から単離された苦味化合物は図3に示す新規含硫アミノ酸であり、含硫苦味化合物であることは先のマウスの行動実験の結果と一致した。

[成果の活用面・留意点]
 
 バフンウニ苦味物質の構造が解明されたことで、その分析方法の確立が可能となった。定量が可能となれぱ、苦味物質の発現機構の解明に向けた研究が促進される。
苦味物質は苦味添加剤あるいは味覚研究のモデノレ化合物としての利用が可能である。
(現在特許出願中)
苦味の発現と成熟周期との関連性が示唆されたことから、未成熟期における漁獲あるいは水温制御等による養殖により、苦味の少ないバフンウニ生産への道が拓かれた。

[その他]
 
研究課題名ウニ生殖線中の異味成分の解明に関する研究
予算区分経常
研究期間平成7~11年度
研究担当者村田裕子,金庭正樹,桑原隆治,横山雅仁
発表論文等バフンウニ生殖腺の苦味の発現頻度.日水誌,64,477-478(1998).
バフンウニ卵巣中に含まれる苦味物質について.日本味と匂学会誌,6,661-664(1999).
特許出願 新規含硫アミノ酸,平成11年8月19日出願 出願番号 11-232579