アコヤガイの大量へい死発生時における生物学的性状の解明
[要約]
アコヤガイの大量へい死発生機構の解明と予察技術の開発に資するため,真珠養殖漁場において,アコヤガイの大量へい死が発生する時期を把握するとともに,大量へい死が発生する前と発生中のアコヤガイの生物学的な性状を明らかにした。。
中央水産研究所 海区水産業研究部 沿岸培養研究室連絡先0468-56-2887
推 進 会 議中央ブロック専  門増養殖技術 対  象 貝類 分  類研  究

[背景・ねらい]
 
 1996年以降,西日本を中心にした真珠養殖漁場においてアコヤガイの大量へい死が顕在化し,その原因究明と対策が緊急の課題 になっている。アコヤガイ大量発生の予察を行ううえで,漁場におけるアコヤガイの生物学的な性状をモニタリングすることは,アコヤガ イの大量へい死を未然に防ぐうえで重要である。本研究は,大量へい死が発生している真珠養殖漁場において,大量へい死の発生時期やへ い死発症時におけるアコヤガイの性状を明らかにし,漁場におけるアコヤガイの生物学的なモニタリングを行うために必要な基礎的知見を 得ることを目的にした。

[成果の内容・特徴]
 
 アコヤガイの大量へい死が発生している愛媛県宇和島湾において,1988年4月から11月までの期間,アコヤガイのへい死率と 体成分の時期的変化について検討した。
 アコヤガイの大量へい死は9月中旬以降発生し11月中旬まで継続した(図1)。
 調査期間中,アコヤガイの殻長と全重量とも増加していたが,肥満度は漸減していた。
 アコヤガイ貝柱のグリコーゲン量は,大量へい死が発生する9月中旬に最も低下した(図2)。
 アコヤガイ血清中のGOT酵素活性値(図3)とタンパク質量(図4)は,アコヤガイの大量へい死が発生する前に増加し,その 後減少した。

[成果の活用面・留意点]
 
 アコヤガイの大量へい死発生の予察を行うためには,漁場においてアコヤガイの生物的な現状をモニタリングすることが必要で ある。本研究では,大量へい死発生時のアコヤガイの性状の変化を明らかにした。モニタリングの精度を向上させるためには,大量へい死 時のアコヤガイの生物学的な性状についての知見をさらに整備する必要がある。

[その他]
 
研究課題名アコヤガイ大量へい死に関する調査研究
予算区分環境基本計画推進調査費(緊急分・後期)
研究期間平成11年度(平成9~10年)
研究担当者沼口勝之
発表論文等大量へい死発生養殖場におけるアコヤガイの血清成分,平成10年度日本水産工学会学術講演要旨pp.125-126(1998)
愛媛県宇和島湾におけるアコヤガイのへい死状況と体成分の季節変化,平成12年度日本水産学会春季大会講演要旨(2000)