「静岡うなぎ」の創出


[要約]
 「静岡うなぎ」として特徴のある良い味で高品質のウナギを養殖するため、カツオ加工廃棄物から抽出した油脂を配合飼料に添加したところ、通常のタラ肝油添加飼料に比べて、生産されたウナギの味の評価が高かった。

静岡県水産試験場浜名湖分場

[連絡先] 053-592-0139[推進会議]内水面(中央ブロック)水産業関係試験研究推進会議[専門]  内水面、増養殖技術[対象]  うなぎ[分類]  普 及

[背景・ねらい]
 明治20年代に浜名湖周辺で始められた静岡県の養鰻業は、昭和50年代前半まで日本一の座を確保してきたが、その後生産量は漸減し 、現在では愛知・鹿児島両県に次ぐ3位の座に甘んじている。このような背景のもと、「浜名湖うなぎ」、「静岡うなぎ」のブランド復活 をめざして、特徴ある良い味で高品質のウナギを養殖するため、生鮮餌料(生魚肉)を主体とした餌料を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. カツオ加工廃棄物から抽出した油脂(カツオ粗製油)を養鰻用配合飼料の添加油として有効利用することができた。
  2. カツオ粗製油添加飼料で飼育したウナギは、味の評価やDHAの含有などの点で優れ、高品質のウナギを低コストでつくることができ た。

[成果の活用面・留意点]

  1. 魚肉などの挽き肉を配合飼料へ20%混ぜてウナギを飼育したところ、通常の配合飼料に比べて、飼育成績に遜色はなく、食味テストに よる味の評価も高かった。これは、魚肉に含まれる脂肪によるものと思われた。
  2. そこで、より簡便な脂肪の添加方法として、カツオ(鰹節)加工廃棄物から抽出した油脂(カツオ粗製油)を配合飼料に添加したとこ ろ、通常のタラ(スケトウダラ)肝油添加飼料に比べて、ウナギに対する嗜好性が良く、食味テストによる味の評価も高かった (第1図)
  3. カツオ粗製油添加飼料で飼育したウナギは、ポリエン酸およびDHAの含有量が、通常の飼料で飼育したウナギより高かった (第2図)

[具体的データ]



[その他]研究課題名:ウナギ養殖新方式開発研究予算区分 :県単研究期間 :平成9年度(平成4~8年度)研究担当者:近藤 優発表論文等:1)露地池養鰻に適した生鮮飼料に関する研究、平成4年度静岡水試事報、       164-166,(1993)      2)露地池養鰻に適した生鮮飼料に関する研究、平成5年度静岡水試事報、       158-160,(1994)      3)生鮮素材混合飼料によるウナギの飼育に関する研究、平成6年度静岡水       試事報、177-180,(1995)      4)カツオ精製油の添加試験、平成6年度静岡水試事報、180-181,(1996)      5)各種油脂添加飼料によるウナギの飼育試験、平成7年度静岡水試事報、       (印刷中)
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