アユの冷水病原因菌の保菌検査


[要約]
 アユの鰓から冷水病原因菌が高率に分離できたことから、本病の保菌検査にはこの方法は効果的な方法であると考えられた。

岐阜県水産試験場

[連絡先] 0576-52-3111[推進会議]内水面(中央ブロック)水産業関係試験研究推進会議[専門]  内水面、 病理[対象]  アユ[分類]  研究

[背景・ねらい]
 アユの冷水病による被害は、近年大きな問題となっている。しかし最近発生が明らかになった魚病のため、不明な点が多く、対策を 講じる上で障害となっている。
本病魚の鰓から冷水病菌が高率に分離されたことから、健康魚の鰓を用いて保菌魚の検出が可能かどうかを検討し、防疫対策や飼育管理 上の活用を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 供試魚として、外観上健康と思われる琵琶湖産アユ(平均体重2.3 g)48尾を、培地として「改変サイトファーガ寒天培地」を使用し た。
  2. 供試魚の左第一鰓弓を切取り、培地平板に置き、白金耳で押しつけながら塗抹したあと4℃で培養した。また腎臓からも常法により細 菌分離を行った。
  3. 分離した細菌のうち、長桿菌かつ黄色コロニーを計数し、その一つを蛍光抗体法(間接法:抗血清は徳島水試より分与されたもの)に より同定した(表)。
  4. 腎臓から冷水病原因菌は分離

[成果の活用面・留意点]

  1. 本方法を用いることによって、冷水病の保菌検査が可能と考えられるため、アユの病理検査等に活用できる。
    表の冷水病原因菌の可能性のある分離数から考えると、鰓塗抹による蛍光抗体法は、本法より感度が劣ると考えられる。
    検査完了までに時間がかかることが問題点である。
    今後の課題としては、他の類似細菌との交差反応の有無を検討する必要がある。

[具体的データ]


[その他]研究課題名:病害研究(アユの冷水病原因菌の保菌検査の検討)予算区分 :県単研究期間 :平成8年度~研究担当者:中居  裕
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