千曲川におけるカジカCottus pollux(河川型)の生息場所
- [要約]
- カジカ稚魚および成魚の生息場所として、水深、流速、河床の特徴を調べたところ、成長段階ごとに異なる場所を利用していることがわかった。生息場所を確保するためには、河川の多様性の保全が重要であることが示唆された。
長野県水産試験場佐久支場
[連絡先] 0267-62-0162[推進会議]内水面(中央ブロック)水産業関係試験研究推進会議[専門] 内水面、漁場環境[対象] 他の淡水魚[分類] 研究・行政
- [背景・ねらい]
- 水生生物の生息を考慮した河川環境の保全を進めるためには、対象となる生物の生息環境条件を十分に把握する必要がある。しかし
カジカについては生息水深、流速、河床の特徴などの水理的生息条件に関する知見が少ない。このため、自然河川におけるカジカ稚魚、成
魚の生息場所の状況について調査を行った。
[成果の内容・特徴]
- 河川内に方形のコドラートを設置し、無作為に水深、流速、河床の状況を記録して調査河川の環境を代表させ、それとカジカ生息地点
の水深、流速、河床の状況と比較した。
- 稚魚は、岸寄で水深が20cm未満と浅く、流速が20cm/秒未満と流れが緩やかな地点を選んでい
る傾向があった(図1、図2)。河床は砂礫(径5cm未満)の地点を
選んでいる傾向があった。
- 成魚では、水深が40~50cmとやや深く、流速が20~40cm/秒程度のやや流れの緩やかな地点を選んでいる傾向があった(
図3、図4)。河床の石の大きさについては、選択している傾向は認められなかった。
- 稚魚と成魚では生息場所の特徴が異なっており、カジカの生息場所は成長とともに変化することがわかった。生活史を通して生息場所
を確保するためには、多様な河川環境の保全が重要であることが示唆された。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果を、河川形態の保全策の検討や正常流量算定の際の資料として活用することで、漁場環境の保全、改善に資することができる。
[具体的データ]
[その他]研究課題名:予算区分 :研究期間 :研究担当者:発表論文等:
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