ペヘレイ塩分耐性
- [要約]
- ペヘレイの塩分耐性試験を、産地の異なる発眼卵及び試験場産稚魚について実施した。発眼卵の試験では、ふ化率において産地による塩分耐性の差異は認められなかった。発眼卵、稚魚とも広い塩分耐性を持つことが考えられた。
神奈川県水産総合研究所・内水面試験場
[連絡先] 0427-63-2007[推進会議]内水面(中央ブロック)水産業関係試験研究推進会議[専門] 内水面、増養殖[対象] その他魚種[分類] 研究
- [背景・ねらい]
- ペヘレイの飼育水は淡水(塩分濃度0‰)よりも人工海水等の塩分を含むものが適しているこ とが経験的に知られている。そのため、
種苗生産において、孵化仔魚の管理、疾病発生時、選 別時のスレの予防及び移収直後に飼育水への塩分の添加が行われている。一方、原産
地アルゼ ンチンのブエノスアイレス州チャスコムス湖は1~3‰の塩分を含んでおり、国内への移殖時に 淡水魚と認識されてきた生理特性
の再検討を目的として実施した。
また、アルゼンチンでは同一種のペヘレイであっても、生理特性が産地により異なることが 認識されている。今回、アルゼンチン産の
発眼卵(サラダグランデ湖産、ゴーメス湖産、チャ スコムス湖産)を入手したので、生理特性の把握を目的として実施した。稚魚の飼育試
験では 試験場産ペヘレイ(平均体重1.56g)を用いて、塩分濃度が成長、生残、飼料効率へ与える影響 を検討した。
[成果の内容・特徴]
- ペヘレイ発眼卵では、産地による塩分耐性の差異は認められず、共通して塩分濃度0‰区よりも塩分濃度5、10‰区においてふ化率が優
れていた(表1)。
- 塩分濃度30‰区でも、孵化率70~80%を示していることからペヘレイは広い範囲で塩分耐性を持つことが考えられた。
- 稚魚の試験では、飼料効率は塩分濃度5‰区と0‰区がほぼ同じ値であったことから、5‰の塩分濃度はペヘレイの代謝機能に影響を及
ぼさないと考えられ、継続的な飼育は可能であ ることが分かった(表2)。
- 塩分濃度20‰区の生残率は95%を示していたことから、ペヘレイは稚魚期においても広い範囲で塩分耐性を持つことが考えられた。
[成果の活用面・留意点]
- ペヘレイの生理特性を踏まえた飼育の改良に活用する。
[具体的データ]
[その他]研究課題名:ペヘレイ生理特性解明試験予算区分 :研究期間 :平成8~10年度研究担当者:相川英明発表論文等:なし
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