ヤマメ親魚の大型化について
- [要約]
- ヤマメ種卵の効率的生産は、親魚の体重、採卵数、卵重等が大きく左右するところから、多産系統の固定を目的とした選抜育種と親魚養成技術の改善により親魚の大型化を図った結果、体重1Kg、採卵数2、000粒、卵重100mg以上の親魚が作出された。
埼玉県水産試験場
[連絡先] 0485ー21ー2354[推進会議]内水面(中央ブロック)水産業関係試験研究推進会議[専門] 内水面、増養殖技術[対象] 他の陸封性さけます[分類] 普及
- [背景・ねらい]
- マメの擁卵数が少ないことが種卵生産を非効率にし、これが養殖振興にも影響を及ぼしてきた。ヤマメ養殖需要が増大する中で、種
卵の大量生産が必要となり、保有親魚の採卵数の増大が望まれ、多産系親魚の選抜育種を行うとともに、親魚の大型化を図り、種卵、種苗
としての優良性を供えることをねらいとした。
[成果の内容・特徴]
- 1994年10月産1腹仔から養成した親魚(2年魚)の20尾について個体採卵を行い、同親魚の親(1992年10月産)の採卵時の結果と比較
すると、親魚の平均体重は1.32倍、1尾あたり採卵数は1.16倍、1粒卵重は1.31倍に増加した(表1)
。
- 親魚の大型化を図るため、0年魚を一定期間(6/6~8/2)給餌量を抑えて飼育し、以後給餌量を増やして(給餌量の1.5倍)大
型化を図った結果、12月には200gを超える大型個体が得られた(表2)。
- 雌雄判別は8月上旬には9割方でき、雄の生殖腺重量比(GSI)は70%が9月には2.46~5.36%を示したが、雌のGSIは11月でも1%を
超えなかった。
- 生殖腺の分化がみられた8月上旬の最大体重は雄で53.1g、雌で51.8gであった。
[成果の活用面・留意点]
- 親魚として大型化を図るためには、親魚候補とする0年魚の平均体重を5月までに15.0g以上にする必要がある。
- 12月以降は飽食給餌とする。
[具体的データ]
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[その他]研究課題名:秩父ヤマメ育種試験予算区分 :県単研究期間 :平成6~8年研究担当者:鈴木邦雄発表論文等:なし
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