ナマズ仔・稚魚期の高密度飼育


[要約]
 ナマズSilurus asoutus仔・稚魚期の生残率の向上を目的に、餌付け飼料の種類飼育密度を検討した結果、ミジンコ海産稚魚用配合飼料を用い放養密度を1㎡ あたり100~200尾にすると、生産効率が向上することが明きらかとなった。

埼玉県水産試験場

[連絡先] 0480ー61ー0458[推進会議]内水面(中央ブロック)水産業関係試験研究推進会議[専門]  内水面、増養殖技術[対象]  他の淡水魚[分類]  普及

[背景・ねらい]
 本県では古くからナマズを食す習慣があり、近年、生息環境の悪化に伴うナマズ資源の減少が養殖技術開発のニーズとなり、当場で は、1989年からその技術開発に取り組んだ。
 養殖生産での最大のネックは稚魚期、特に浮上時期の共食い、噛み合い、攻撃等による減耗であったが、これの防止、抑制が浮上時期の 餌料生物(ミジンコ)の量に関係することが明きらかとなった。さらに、その後の給与飼料の質によっても生残率が異なることが判明し、 種苗の生産効率の向上を目的に、飼育密度及び飼料の種類について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. ふ化後1日経過した仔魚を50、100、200尾/㎡の飼育密度で20㎡コンクリート池に放養し、同時にミジンコを20~30g/m3(湿重量 )入れた。放養後3日目から14目まではミジンコとともに海産稚魚用配合飼料とコイ稚魚用配合飼料を給餌し、15日目以降は配合飼料のみ を給餌した。
  2. 放養後2週間後までは各区の成長に差はみられなかったが、4週間後には、200尾/㎡放養区の成長の遅れが認められるようになった。
  3. 飼育成績は、生残率、飼料効率、取揚重量において、海産稚魚用配合飼料を給与した方がコイ稚魚用配合飼料区を上回った(表1)
  4. また、放養密度が高いほど海産配合飼料とコイ用配合飼料との生残率の差が大きくなっている傾向が認められ (図1)、仔・稚魚期の給与飼料には海産稚魚用配合飼料の優位性が示唆された。

[成果の活用面・留意点]

  1. 配合飼料のみの餌付けでは生残率が低く、初期餌付け餌料としてのミジンコの培養が欠かせない。

[具体的データ]



[その他]研究課題名:ナマズ養殖技術開発試験予算区分 :県単研究期間 :平成6~8年研究担当者:野村 博、来間明子発表論文等:なし
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