シロサケ保存精液利用による資源構造改良への試み


[要約]
 精液保存技術を利用し,シロサケ早期に銀毛で来遊した親魚の精子を後期ブナ毛親魚の卵と交配し標識放流した。回帰魚は両親の採捕時期の間に回帰し,ピークが中間に見られた。早期回帰魚は未成熟であったが,経時的に熟度が進行した。

宮城県内水面水産試験場

[連絡先] 022-342-2051[推進会議]内水面(中央ブロック)水産業関係試験研究推進会議[専門]  内水面、増養殖技術[対象]  さけ[分類]  研究

[背景・ねらい]
 本県のシロサケ資源は順調に増大し,今後は高品質資源造成など質的向上を図る必要がある。一方,魚類精液の保存方法については 凍結や液状などの方法が試験開発されており,これらを利用して早期来遊の蓄養銀毛雄親魚から採取した精子を保存し,後期来遊したブナ 毛雌親魚の卵と受精させ,生産された稚魚を標識放流し,その回帰状況を調査した。

[成果の内容・特徴]

  1. 回帰してきた1991年級群から1993年級群の状況を調査した。
  2. 3カ年の河川への回帰状況は,両親の捕獲時期の間に集中した(表1)
  3. 各年級群の河川内再捕魚は即日採卵可能であるCブナがほとんどであった。
  4. 1991年級群の魚市場における発見状況も河川と同様で,そのほとんどが両親の捕獲 時期の間であり,しかもそのピークがほぼ中間で あった(図1)
  5. 魚市場発見時における成熟度は,早期において未熟である銀毛,Aブナが多かった が,その比率は経時的に低くなった(図2)

[成果の活用面・留意点]

  1. 早期来遊の余剰雄親魚の精子を保存利用することにより,後期来遊群の来遊時期が早められ,資源構造の改良が可能と思われる。

[具体的データ]




[その他]研究課題名:さけ銀毛資源造成技術開発事業予算区分  :県単独及び国庫補助研究期間  :平成3年度~平成8年度(平成9年度以降も継続予定)研究担当者:生産開発科,調査指導科発表論文等:さけ銀毛資源造成技術開発事業報告書(宮城県)
目次に戻る