大型アカイカ釣り漁業における集魚灯の有効利用について


[要約]
 大型アカイカを集魚灯により、効率的に集魚するため、操業時に様々な光条件下においてアカイカ眼球のサンプリングを行い、網膜の状態について調べ、集魚灯の影響について検討した。釣獲直後のアカイカの網膜の状態はいずれの時刻においても暗順状態にあり、集魚灯は(約300kw)は少なくとも水深50mまで影響していた。
水産工学研究所・漁業生産工学部・漁法研究室
[連絡先]  0479-44-4961
[推進会議] 水産工学研究推進全国会議
[専門]     漁業生産
[対象]     あかいか
[分類]     研究

[背景・ねらい]
 北太平洋域における大型アカイカOmmastrephes bartramiは主に流し網によって漁獲されていたが、混獲等の野生生物に与え る影響を懸念した国連決議により1992年末をもってモラトリアムとなった。本研究では集魚灯による効率的な集魚技術を開発するために、 集魚灯下で自動イカ釣り機により釣獲したアカイカ、手釣りにより水深別に釣獲したアカイカおよび手釣りで釣獲した集魚灯(メタルハラ イドランプ 2kw 140灯)下に、水深別(20,50,70,100m)に吊り下げ1時間経過後のアカイカの網膜の順応状態を順応度を指標として調べた 。

[成果の内容・特徴]

  1. 夜間集魚灯点灯時および昼間水中灯時に釣獲されたアカイカの網膜順応度はいずれの時刻においても暗順状態であった。 (図1
  2. 水深別に釣ったアカイカの網膜の順応度は約7~20%と水深に関わりなく暗順状態であった。
  3. アカイカを遮光した水槽内で2時間以上暗環境下においた直後のアカイカ網膜の順応度は約7~15%と暗順応状態であり、水深別の 順応度は水深20mでは暗順応、明順応状態の個体がそれぞれ観察され、水深50mでは1個体明順応状態のものが観察され、他の個体は 暗順状態であったが、70m以深ではすべて暗順応状態であった。(図2)
  4. 調査中における自動いか釣り機による釣獲水深は100m以深であり、釣獲直後のアカイカの眼球はいずれも暗順応状態であったこと より、約300kwの集魚灯は光力は強く、釣獲水深を深くしている可能性が高いことが示唆された。

[成果の活用面・留意点]
流し網の代替漁法として釣漁法の適正光力は強の検討および集魚灯による効率的な集魚技術の開発に応用できる。

[その他]
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