冬季の親潮水域における水系の形成・変質における冷却と塩分の効果も重要性


[要約]
 親潮水域における水系の形成・変質をもたらす冬季の冷却と混合による混合の発達過程には、風の効果、蒸発の効果に比べて、冷却の効果が最も強く影響する。
北海道区水産研究所・海洋環境部・海洋動態研究室
[連絡先]  0154-91-9136
[推進会議] 北海道ブロック水産業関係試験研究推進会議
[専門]     海洋構造
[対象]     親潮
[分類]     研究

[背景・ねらい]
 親潮水系の形成変質の過程である冬季混合層の形成過程の解明のために、オホーツク海において季節風の強化に伴う混合層の発達に 伴って失われる有効位置エネルギーの分布を明らかにし水系分布との対応を解析する。
 親潮主流域の表層の密度鉛直構造とその水温および塩分に対する依存性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
 Niiler and Kraus(1967)のバルクモデルを用いて密度躍層下の海水が混合層内に取り込まれるときのエネルギー収支を計算した。用 いたデータは1993年10月および11月における表層の水温・塩分と人工衛星SSMIデータによる風速、水蒸気量、および雲量である。計算の結 果、風による運動エネルギーは冷却による浮力の除去の1/200程度であり、少なくとも初冬混合層の発達に対して冷却が大きな影響を与え ること、宗谷海流の影響を受けた高温な表層水ほど除去エネルギーが大きいことが明らかになった。
 厚岸沖合50Kmの親潮主流域で観測された、1993年4月~1995年5月におけるCTDによる表層の水塊構造の変化を解析した。混合層底部にあ たる密度躍層での密度鉛直傾度に依存する傾向がみられ、冬~春季の密度傾度は塩分傾度の変化に対応して経年的に大きく変化することが 明らかになった。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名:西部亜寒帯循環域における親潮水の形成・変質構造の解明
予算区分 :科・総合研究[海洋大循環]
研究期間 :平成7年度(平成5~7年度)
研究担当者:河野時廣・川崎康寛
発表論文 :千島列島周辺海域における秋~初秋にかけての混合層の発達過程について、平成5年度海洋丸第2次航海調査報告、水産庁、
平成7年3月
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