- 会議名: 平成22年度内水面関係研究開発推進会議
- 会議責任者: 中央水産研究所長
- 開催日時: 平成22年12月10日13:00~17:30
- 開催場所: 栃木県総合文化センター(宇都宮市本町1-8)
- 出席者所属機関及び人数: 19機関 40名
結果の概要
- 開会
中央水研業務推進部長より開会挨拶、水産庁研究指導課より来賓挨拶があった。
- 1.各機関からの情勢報告
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水産庁研究指導課、独立行政法人水産総合研究センター(以下、水研センター)、全国内水面水産試験場長会5ブロック代表県、全国内水面水産試験場長会、全国湖沼河川養殖研究会から、最近の水産業および各機関を巡る情勢等について報告があった。
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水産庁からは、平成23年度予算要求概要、シャトネラ赤潮の状況と対策予算の概要、大型クラゲの本年状況と23年度対策予算の概要、資源管理・漁業所得補償対策、省エネ・省コスト関連事業、第6次栽培漁業基本方針、水産庁委託事業関連報告、アサリ資源全国協議会、地域水産試験研究振興協議会、等の報告があった。また、農林水産技術会議事務局関係では、委託プロジェクト研究の紹介、新たな農林水産施策を推進する実用技術開発事業の応募概要の変更点、委託契約方式の変更などについて説明がなされた。
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水研センターからは、水研センターを取り巻く情勢として、次年度からの主要な事務及び事業の見直しに関する基本案、水産業関係研究開発推進会議の見直し案、次期中期計画の検討内容について説明があった。農林水産技術会議事務局関係では、農林水産技術委託研究に係る契約方法等の変更、新規研究課題の概要説明、および平成23年度応募への取り組みが紹介された。
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東北・北海道ブロックからは、今夏の高水温による内水面漁業への影響、餌料価格の高騰、漁業環境の悪化、ギンザケ等の継代飼育による近親交配の影響、内水面魚種による食育への取り組みについて報告があった。また、組織体制の改変・統合・人員削減・県単独予算等の厳しい現状が述べられた。
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関東・甲信越ブロックからは、霞ヶ浦のワカサギ漁獲量、外来魚のチャンネルキャットフィッシュの発生量、アユ遡上量、KHV・冷水病発生状況、ニジマスの消費の落ち込み、信州サーモン振興協議会の組織化、などの報告があった。各県の共通する課題として、研究の推進に必要な人材・予算の確保が挙げられた。
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東海・北陸ブロックからは、アユ遡上量の近況、冷水病・KHV病発症状況、サクラマス・シラスウナギ漁獲量の減少、ニジマス・ドジョウ・ウナギ・ナマズ・カジカ・錦鯉・金魚養殖の状況について報告があった。各県とも多くの研究課題を抱える一方で、研究費の削減、組織再編、定数削減などの厳しい状況が続いているとの報告があった。
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近畿・中国・四国ブロックからは、アユ遡上量・スジエビ漁獲量、宍道湖のアオコ発生量の状況、オオカナダモの繁殖、淀川でのイタセンパラの再生活動、等について報告があった。各県ともに、研究費・研究員の減少傾向が続いている現状が述べられた。
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九州ブロックからは、アユ遡上量・シラスウナギ漁獲量の近況、冷水病・KHV病・イクタルリ感染症の発生状況・ドジョウ・スッポンの養殖状況、等について報告があった。
・全国内水面水産試験場長会からは、今年度の活動状況に関する報告、および全国内水面水産試験場長会が設定した制度設計課題3課題の内容が説明された。
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全国湖沼河川養殖研究会からは、組織運営体制と今年度の活動状況について報告があった。
- 2.平成21年度推進会議のフォローアップに関する報告
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内水面研究部長より、平成21年度内水面関係研究開発推進会議において検討を要する事項に挙げられた要望についての対応案が示された。内水面環境保全・修復に関して要望のあった、河川管理者と生物・環境研究者の情報・意見交換については、次年度以降も検討を続ける。若手研究者の育成の場となるような研修や研究会等の実施に関しては、今後メーリングリストなどを通じてどのような勉強会が必要かを提案してほしい、等の回答があった。
- 3.平成22年度資源・生態系保全部会報告
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内水面研究部長より、報告書に基づき平成22年度内水面関係研究開発推進会議 資源・生態系保全部会の概要説明があり、研究開発ニーズの整理とともに承認された。
- 4. 平成22年度内水面養殖部会報告
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内水面研究部長より、平成22年度内水面関係研究開発推進会議 内水面養殖部会の概要説明があり、研究開発ニーズの整理とともに承認された。
- 5.平成22年度研究成果情報の取りまとめ
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担当研究機関から、提出された成果情報についての概要説明があった。平成22年度内水面分野の研究成果情報候補課題の9課題については、すべて成果情報として承認された。
- 6.推進会議で検討を要する事項に関する協議
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本推進会議で検討を要する以下の課題等について協議を行った。
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閉鎖的湖沼の漁場環境改善、修復事業への検討については、水産庁より水産サイドとして何ができるか問題点を整理した上で要望する必要がある、とのコメントや、滋賀県より環境省予算による琵琶湖の環境改善に関する取り組みの紹介があった。
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内水面の有する多面的機能の国民への周知・認識方法の検討については、北海道、長野県、全内漁連等の取り組みが紹介された。
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アユ漁業関連研究開発予算の確保については、現行水産庁事業の後継は当面はないとの水産庁の見解が示された。
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外部資金の獲得に関連し、今後都道府県の予算化の時期を考慮しその他要望も踏まえた上で、現在の推進会議の時期が適切かどうかを検討することとした。
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カワウ対策については全国的な連携により、個体数管理、防除方策の統一等が必要と共通認識した。
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水工研へ要望のあった、ローコストで設置の容易な簡易魚道や魚道への誘導手法開発等については、水工研より、国交省の研究機関が主体なのでそこへ水産サイドとして要望するかたちになる、との回答があった。
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食用魚のみでなく、錦鯉や金魚等の観賞魚への関心もさらに深めるとの内水面研究部の見解が示された。
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休耕田の有効利用等については茨城県や埼玉県、現行水産庁事業での取り組み例が紹介された。
- 7.その他
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水研センターの来年度予算要求(業務経費前年比10%減)の状況が紹介された。
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内水面研究部が運営する河川下流域研究会については、これまで各研究機関からの推進会議への要望がなく、また全国内水面水産試験場長会への要望事項についても平成21年度には除外されている。この状況を受けて、内水面研究部長から今後河川下流研究会の活動を休止する提案が出され、検討の結果活動休止が承認された。
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全内漁連より、事務局担当している内水面関係水産庁事業の検討会へのオブザーバー参加について希望があれば対応するとの連絡があった。
- 閉会
水研センター理事より閉会の挨拶があった。