平成20年度内水面関係研究開発推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成20年12月11日13:30~12日12:00
場所(株)アピア(宇都宮市戸祭元町12-12)
出席者所属機関及び人数     25機関  45名
結果の概要
議題結果の概要
1.各機関からの情勢報告(1)
水産庁研究指導課、全国内水面漁業協同組合連合会(以下、全内漁連)、独立行政法人水産総合研究センター(以下、水研センター)から、最近の水産業および各機関を巡る情勢等について報告があった。
水産庁からは、平成20年度予算要求概要、地域水産試験研究振興協議会活動、農林水産技術会議事務局計上の競争的研究資金の見直し、水産分野における地球温暖化対策、農林水産統計の再構築、等についての説明があった。
全内漁連からは、河川環境悪化への対策、特定の外来魚駆除問題、カワウ駆除対策、アユ冷水病及びコイヘルペス病対策、等についての説明があった。
水研センターからは、独立行政法人見直し問題、まぐろ研究所の設立および活動内容、海洋データ解析センターの設立、日中韓水産研究交流、職種区分の改正及び新規の主要研究課題、等について説明があった。
2.平成19年度推進会議のフォローアップに関する報告
内水面研究部長より、アユ資源増殖研究に関しては、水産庁「環境調和型アユ増殖手法開発事業」の後継事業企画である「漁場環境調査指針作成事業」が平成20年度より多くの県の参画を得て開始したとの報告があった。
地球温暖化研究の課題化については、昨年度、農林水産技術会議の地球温暖化プロ研の拡充に応募し、平成20年度から琵琶湖及び諏訪湖をフィールドとした「季節的な水温変化が湖沼漁業生産に与える影響の評価」を開始したとの説明があった。
渓流域管理に関する研究化について、水産庁「渓流域管理体制構築事業」の後継事業として、平成20年度から「渓流資源増大技術開発事業」が多くの県の参画を得て開始したとの説明があった。
3.各機関からの情勢報告(2)
全国内水面水産試験場長会5ブロック代表県、全国内水面水産試験場長会、全国湖沼河川養殖研究会、養殖研究所、さけますセンター、中央水研より情勢報告があった。
東北・北海道ブロックからは、カワヤツメ・シジミ・サケ漁獲量の低迷、KHV発生件数の減少、アユ遡上量の近況、冷水病の発生件数、外来魚の分布域拡大等についての報告があった。予算縮減が求められる中、多くの県で職員定数が削減されている現状が報告された。
関東・甲信越ブロックからは、アユ遡上量の近況、外来魚問題、マス・コイ類養殖、組織体制問題等について報告があった。長野県からは、マス類養殖として異質三倍体「信州サーモン」の研究開発が全国水産試験場長会会長賞に内定したとの報告があった。各県の共通する課題として、研究の推進に必要な人材の確保が挙げられた。
東海・北陸ブロックからは、アユ遡上量の近況、冷水病・KHVの発生状況、サクラマス漁獲量の回復、ウナギ・金魚・アユ・カジカ養殖の状況について報告があった。各県とも多くの研究課題を抱える一方で、研究費の削減、組織再編、定数削減などの厳しい状況が続いているとの報告があった。
近畿・中国・四国ブロックからは、アユ遡上量の近況、シジミ・ウナギ漁獲量の減少、淀川での水草の異常発生等について報告があった。また、本会議に出席できない県にも資料の配付が要請され、内水面研究部長が後日配布すると回答した。
九州ブロックからは、アユ・シラスウナギ遡上量の近況・KHVの発生状況・福岡県のハヤ・ヒナモロコ種苗生産、大分県のドジョウ・スッポン養殖等について報告があった。
全国内水面水産試験場長会からは、規約の改正、平成22年度水産庁等への要望事項の検討等について報告があった。
全国湖沼河川養殖研究会からは、組織運営体制と今年度の活動状況についての報告があった。
養殖研究所からは、組織運営体制、KHV連鎖的感染の伝播経路に関する研究プロジェクト、新規委託事業「平成20年度水産防疫技術対策事業」等の説明があった。
さけますセンターからは、今年のサケ・カラフトマス来遊数の減少、新規プロジェクト研究、国際会議への対応等の報告があった。
水産工学研究所からは、資料にて情報提供があった。
中央水産研究所内水面研究部長より、平成20年度からの新規水産庁受託事業「渓流資源増大技術開発」「漁場環境指針作成事業」、農林水産技術会議プロジェクト研究「季節的な水温変動の変化が湖沼漁業生産に与える影響の評価」についての概要説明がなされた。また、内水面研究部長より、水産経済研究に関して各県への連携強化を求めたいとの発言があった。
内水面研究部長より、本推進会議で検討を要する課題等について説明があり、その対応案が示された。
4.平成20年度資源・生態系保全部会の報告
内水面漁業生産統計調査について、内水面研究部長より、資源・生態部会での検討内容、および各試験研究機関へのアンケート実施調査の結果概要が説明された。農林水産省生産流通消費統計課より、平成20年度内水面漁業生産統計調査の実施に際して、基準河川・湖沼の設定、漁獲量に計上すべき遊漁採捕量の整理、統計調査の継続に係る課題および問題点等についての説明があった。また、統計課から各研究機関に、遊漁採捕量を把握する統一的な手法等についての研究開発を求めたいとの要望がだされた。
内水面研究部より、シジミ資源研究会の概要についての報告があり、平成20年9月より事務局を、会の発起人である青森県水産総合研究センター内水面研究部から、中央水産研究所内水面研究部へ移し、活動を続ける旨報告があった。また、シジミ資源研究に関して、「しじみ漁場再生のための効率的種苗放流技術の開発(案)」について概要説明があった。
内水面研究部より、汽水域を含め河川下流域における水産重要種の生息環境について研究ニーズが多いことから、「河川下流域研究会」を発足させ、課題を整理して予算獲得に結び付けたい旨の説明があった。また、新規提案課題「河川下流域の生態系及び生物生産についての研究(案)」についての概要が紹介された。
内水面研究部長より、ウナギ資源管理研究会の立ち上げについて報告があった。また、新規提案課題「ウナギ資源管理・保全のための戦略的基礎研究(案)」「シラスウナギの遡河回遊を制御する神経内分泌機構の分子解析(案)」についての概要説明がなされた。また、部会に提案されたウナギ資源管理に関する全体構想については、内水面だけに関わる問題ではないことから、水研センター本部に預けて調整してもらうことが説明された。
内水面研究部長より、内水面関係研究開発推進会議の体制に関して、2つの新規研究会(河川下流域研究会、ウナギ資源管理研究会)を、資源・生態系保全部会の下部組織として位置づけたい旨提案があり、承認された。
今年度特に研究開発ニーズの多かった水田及び周辺水域での資源・増殖研究については、メーリングリストを作成し意見集約を図っていくことが内水面研究部より提案され、了承された。
資源・生態系保全部会の報告が、研究開発ニーズの整理とともに承認された。
5. 平成20年度内水面養殖部会の報告
内水面研究部より、新規提案課題「内水面養殖魚類の飛躍的歩留まり向上技術の開発(案)」に関しての概要説明があり、さらに参画を希望する機関があれば早急に内水面研究部長まで連絡するよう要請された。
内水面研究部長より、内水面増養殖を地域経済活性化につなげるための問題点の整理、それに関連する「内水面増養殖魚の利用技術・流通システムの確立」についての説明があり、今後部会内でさらに検討していくことが了承された。
内水面研究部長より、内水面養殖部会を「作り育てる技術開発」だけでなく「利用」も含めた検討の場としたいとの説明があった。また、このことに関連する内水面養殖部会運営要領の改正案が提案され、承認された。
内水面養殖部会の報告が、研究開発ニーズの整理とともに承認された。
6.平成20年度研究成果情報の取りまとめ
平成20年度内水面分野の研究成果情報候補課題の10課題について、内水面研究部部長から研究内容の説明があった。
提案された9課題は成果情報として承認され、愛知県からの提出課題は、図表の修正後、研究成果情報として認められることが承認された。
7.内水面関係研究の促進・補強に関する協議
次回の資源・生態系保全部会・内水面養殖部会について、開催場所は上田市、時間の長さは今回と同じ、開催期日は平成21年10月29-30日、内水面関係研究開発推進会議本会議については、開催場所は宇都宮市、時間の長さは今回と同じ、開催期日は平成21年12月10-11日としたい旨発言があり、了承された。
8.その他
特になし

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