平成20年度中央ブロック水産業関係研究開発推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成20年12月4日(木)13:30~5日(金)12:40
場所中央水産研究所 横浜庁舎講堂
出席者所属機関及び人数     19機関  40名
結果の概要
議題結果の概要
 はじめに中央水研所長から開会挨拶があり、この中で燃油問題をはじめとする水産業界を取りまく厳しい状況に対し、中央水研を含む水研センターが今後も積極的に取り組む方針であることが述べられた。引き続き水産庁増殖推進部参事官から、日頃の研究開発に関しての関係機関の協力に対して謝意が述べられると共に、我が国の漁業生産構造とこれに対する予算動向や栽培部門を含む厳しい予算の現状説明と共に、これらに対して関係予算獲得に努力していきたいとの挨拶があった。
1.中央ブロック推進会議の運営について  中央水研業務推進部長から中央ブロック推進会議の目的、組織体制等について、資料に基づき説明と確認が行われた。また中央水研業務推進課長から、中央ブロック水産業関係研究開発推進会議運営細目の一部改正の提案説明があり、協議の結果了承された。
2.ブロックにおける連携協力について
(1)各機関からの情勢報告  水産庁研究指導課企画調整係長から、資料に基づき水産研究を巡る情勢報告として、水産庁の平成21年度予算要求、今年度の省エネルギー技術導入促進事業、アサリ資源全国協議会の活動、地域水産試験研究振興協議会の中の漁海況モニタリング問題に関する作業部会、農林水産技術会議事務局関係のプロジェクト「ウナギの種苗生産技術の開発」やイノベーション創出事業等の今後の予定、農林水産省地球温暖化研究戦略の策定等について概要報告があった。これに対して、三重県から、漁海況モニタリングのパンフレット作成に関し、進捗状況と具体的な使途について質問があり、水産庁から現状説明、および中央水研海洋データ解析センター長・海洋生産部長から補足説明があった。
 水研センター本部業務推進部研究管理課長から資料に基づき、社会連携推進本部の発足と活動の現状、地球温暖化対策研究戦略の策定、水産業エネルギー技術研究会の発足、新規研究課題を中心に農林水産技術会議事業への取り組み、および日中韓水産科学研究機関との交流等の交際交流の動きについて報告があった。
 瀬戸内水研赤潮環境部長から資料に基づき、漁場環境保全特別部会の概要等と二枚貝類飼育技術研究会(仮称)の立ち上げに関する報告があった。
 養殖研生産技術部長から資料に基づき、各種プロジェクト・事業の成果、日蘭国際ワークショップ、UJNR養殖部会、魚病関係研修実施状況等の報告があった。
 水工研所長から資料に基づき、開催済みの特別部会等の報告があった。
 中央水研業務推進部長から資料に基づき、研究所に係わる水産業を巡る情勢、調査・研究推進を巡る情勢について説明があった。
 続いて、中央ブロック各都県から資料に基づき、水産業、調査・研究推進に関する情勢の報告があった。この中で和歌山県からの競争的資金獲得の話題に関連して、三重県から科研費に関する情報提供の依頼があり、水研センターが現在とっているシステムについて中央水研業務推進課長および水工研所長から説明があり、さらに実務関係の資料について提供を行った。
(2)平成19年度における協議事項等のフォローアップ  中央水研業務推進部長から資料に基づき、昨年度確認された、中央ブロックとして取り組むべき5事項に関するその後の対応状況等について報告があり、以下の論議を行った結果、中央水研の基本的なフォローアップは了承された。
1)定線調査予算の確保について、徳島県から海洋調査データの重要性の広報に対しこれまでの中央水研の取り組みへの質問があり、中央水研海洋データ解析センター長から、モデルに関するデータ流通体制を整えつつあること、また中央水研業務推進部長から、これまで様々な場でPRを行っているとの説明があった。これに対して気象庁等の関係機関は当然知っていることであり、これら以外の分野での積極的PRが必要であるとのコメントがあった。
2)漁獲統計に関する問題について、神奈川県からTACを利用したデータ活用では各県ではないブロック対応が必要ではないかとの提起があり、中央水研資源評価部長から組織もセットにした状態での対応が必要との意見が出された。また高知県から、漁協合併の中の販売戦略として必要な魚種データが求められているとの意見があった。
3)温暖化モニタリングに関する問題について、三重県から定線調査データの活用でのブロック内統一的対応の検討に関連し、その入力の意義、また特異現象での特異というものの定義はどうなのかとの質問があり、当面は漁海況予報会議等で収集している既存の情報を整理する中で検討して行くこととなった。
4)ブロック内の情報ネットワークの構築について、海洋データ解析センター長から、当面は長期漁海況予報会議で収集している特異現象を当ネットワークに掲載すること、他のブロックでも要望のあるネットワークの全国展開については風評被害の可能性等、社会情勢も考慮したデータ共有システムが必要であるとの補足説明があった。論議の結果、基本方針は了承され、漁海況担当者レベルの意見を聞きながら推進することとなった。
5)研究報告等の電子データ化公開について、中央水研図書資料館長から、今回行ったブロック内でのアンケート調査に基づき技術会議と行った連絡調整の概要と今後の対応について説明があり、了承された。
(3)ブロックとして取り組むべき事項に関する意見交換  中央水研業務推進部長から資料に基づき、推進会議で検討を要する課題等に対する対応案が説明され、以下のような質疑を行った結果、中央水研の基本的な対応方針は了承された。
1)研究機関間の連携に関して、中央水研からは各種研修等を通じた実務担当レベルでの連携基盤の強化、および各県での対応状況について情報提供があり、関連して水研センターが今年度立ち上げた社会連携推進本部の具体的活動の紹介があった。
2)地球温暖化研究への対応について、農林水産技術会議および水研センターが策定した戦略と今後の方針が説明された。
3)研究開発予算獲得に関して、静岡県から県における予算編成作業については前年度からの対応が必要であるとのコメントがあった。関連して、科研費の獲得に際しての実務レベルでの情報提供の要望があり、水研センター本部からのコメントおよび中央水研から本業務についての追加資料配付があった。
4)三重県から研究コーディネート能力向上のための研修の提案があり、水研センター経営企画部長から、本来はプロジェクト応募の過程の中で実際の現場で習得するのが基本と思われるが、研究そのもの以外の視点も常日頃重要であるとのコメントがあった。
3.ブロックにおける調査研究活動について  平成20年度の研究開発課題の集約結果に基づき、中央水研業務推進課長から分野別課題数、予算、およびこの数年間の変動傾向について特に予算面を中心に説明があった。
(1)平成20年度部会活動について  次に、海洋環境・漁業資源合同部会及び浅海増殖部部会について、資料に基づき担当部長から結果の概要報告があった。また、本推進会議傘下の部会と研究会・WGの位置づけの変更についての提案があり、了承された。
(2)部会からの要望・提案に関する検討  平成20年度の研究開発ニーズとそれらへの対応について報告があり、以下の論議があった。
 東京都からのサメ・イルカ被害対応について、水工研所長より魚種の生態により対応方針も異なること、また遠洋水研外洋資源部長よりイルカ類研究の現状に関する情報提供があった。三重県から、アワビ研究会の位置づけの確認、および内湾域の研究に関連して連携が必要ではないかとの提案があり、後者については今後の東京湾研究会で論議することとなった。
 三重県・愛知県からの遺伝子解析に関する要望に関連して、養殖研生産技術部長および中央水研水産遺伝子解析センター長より、選抜育種に関する研修会・ 最新技術等に関する研究交流について前向きな対応を検討する旨回答があった。
 三重県からの衛星情報利用のネットワーク構築について、海洋データ解析センター長から、農林水産技術会議・水産庁と相談しつつ検討を進める方針の説明があった。
今回の対応方針については、いずれも報告のとおり一括了承された。
4.平成20年度研究成果情報のとりまとめ  平成20年度中央ブロック研究成果情報(22課題)について、各部会担当部長および水産遺伝子解析センター長から説明があり、この中で2課題が部会レベルで今回の推薦を見送ることが報告され、了承された。残りの20課題について検討の結果、指摘事項のあった研究成果については、今後修正を行い完成させることとし、当ブロックの研究成果情報として承認された。また成果情報の内容に関連した情報交換が行われた。
5.その他  大分県より研究機関の評価に関連した特許取得への取り組みについてブロック内での状況や考え方についての問いかけがあり、これに対して三重県、高知県、水産庁,水研センター本部から現状および知的財産へのスタンスについて情報交換を行った。また中央水研所長から、知的財産を保護する手段の一つとして特許制度があり、組織が何を目標にするかによってどの様な手段を選ぶかということではないかとのコメントがあった。
 中央水研所長から閉会の挨拶があった。

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