平成20年度水産利用関係研究開発推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時および場所日時平成20年11月19日(水)10時~18時
場所水産総合研究センター中央水産研究所 講堂
出席者所属機関及び人数 合計          68機関103名
結果の概要
議題結果の概要
1)平成20年度水産利用関係研究開発推進会議の運営について  業務推進部長より、中央水産研究所の推進会議体制および,本水産利用関係研究開発推進会議の内容と目的および運営規程、細目について概略の説明があった。
2)行政部局等からの情勢報告
①農林水産省関連部局からの関連事業の説明
農林水産省総合食糧局食品産業企画課より、食品産業をめぐる情勢に関して,食品産業の現状、食品製造業のウエイト,構造,経営状況,および研究費についての情勢紹介と報告,食品技術対策等に関して,食料産業クラスター促進技術対策費,地域食品産業の技術開発向上に資する支援,食品産業技術海外展開実証に対する技術的支援,新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業,イノベーション創出基礎的研究推進事業,および農商工連携についての情勢紹介と報告があった。
消費安全局畜水産安全管理課水産安全室より、農林水産省における食品についての「安全」と「安心」の定義についての解説後,GAP(養殖生産工程管理)手法について,「GAP」の推進状況,農林水産省内での取り組み(農産部門,畜産部門,林産部門,食品流通部門),管理イメージ概要,導入による効果,実際の養殖手法への導入に対する客観的評価についての解説および実施事例紹介があった。
農林水産技術会議事務局より、技術会議組織見直しの概略の説明があり,研究立案および推進を円滑に行うために研究推進課の新設,部門別に配置する研究開発官の設置(「食料戦略」,「食の安全,基礎・基盤」,「環境」)の説明があった。H21年度技会予算概算要求の概要解説後,技術会議における研究資金の役割分担として,プロジェクト研究(体型立った成果を生む事ができ,農政の大きな目標への対応が可能となるトップダウン型研究)と競争的資金(技術的課題に対する機動的な対応や地域農政の推進への対応が可能となるボトムアップ型研究)の2つに分類されることが解説された。21年度予算として継続11課題,新規2課題の要求状況について,および新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業について報告および説明があった。
農林水産消費安全技術センターより、センターの組織,活動内容の紹介および水産総合研究センターとの連携による技術開発と活用事例の説明があった。水産総合研究センター中央水産研究所利用加工部は魚類の産地判別の技術提供を行うと共にホームページで公表する判別マニュアルの作成に協力しており,今後,天然魚と養殖魚の判別技術開発,魚類の生鮮と解凍の判別技術開発への協力の要請があった。
②水産庁からの関連事業の説明
水産庁漁政部研究指導課より水産業を巡る情勢報告として,燃油価格高騰等を踏まえた漁業経営体質の強化,加工・流通・消費対策の強化,資源管理・回復の推進,漁港・漁場・漁村の総合的整備および多面的機能の発揮の4つの柱で予算要求中であることが報告された。近年問題となっている地球温暖化対策では,農林水産省地球温暖化対策総合戦略の中で水産分野での推進すべき研究・技術開発は,利用加工関連では地域バイオマス資源を活用したバイオ燃料生産技術・マテリアル製造技術の開発が重要であるとの説明があった。その他,新規委託プロジェクト研究課題に関わる公募の流れ,研究スキーム等の解説があった。
水産庁漁政部加工流通課より,本年度実施中の水産庁流通加工課実業についての報告説明と平成21年度概算要求中の水産加工原料確保緊急対策事業についての説明が行われた。本事業は加工原料調達事情の悪化,H20年度事業の拡大化,農林水産省施策「食料自給率の向上」を事業目的として概算要求中であることが報告された。
3)関係団体からの重点事業等の情勢報告
海洋水産システム協会より、協会組織紹介および,ブランドニッポン(漁獲物の解凍硬直防止技術の開発(クジラ、マグロ)、水産物品質管理対策推進支援事業、省エネルギー技術導入促進事業(水産技術実用化事業),ユビキタス食の安全・安心システム開発事業(統合型水産物トレーサビリティシステムの普及推進のための開発実証)について報告があった。
全国蒲鉾水産加工業共同組合連合会からは,情勢報告として,すり身化原料の不足および価格高騰の現状の報告があり,これら問題の解決のため,関係各部局,研究機関,団体,大学等への協力の要望があった。
新団体,有限責任中間法人全国水産技術者協会の紹介がなされた。
4)中央水産研究所から研究課題等の情勢報告(平成18年度水産利用関係研究開発推進会議のフォローアップも含む)  利用加工部長より、中央水産研究所利用加工部の情勢報告として,利用加工部活動概況の説明および部が取り組んでいる研究内容、研究課題の説明を行った。実施中38課題(10月17日現在)の概要説明がなされた。H20年度よりの新規課題は技術会議実用技術開発事業で,【魚介類の出荷前畜養馴致による高品質化技術開発】にて,「温度馴化に伴う遺伝子発現の変化と生体制御」,「生息環境制御によるウニ類の成熟メカニズムの解明」,【魚食によるメチル水銀のリスクと交絡因子の解析】にて「水産物の水溶性及び脂溶性ヒ素の毒性解明とリスク低減技術の開発」,「メチル水銀のリスク低減化技術開発」,【血合肉褐変防止技術を基盤とする国際競争力の推進と海外市場展開】にて「エノキタケ新抗酸化成分の抗酸化活性機能発現メカニズムの解明」,【発酵・塩蔵水産食品のヒスタミン低減化技術の開発】にて「発酵・塩蔵水産食品製造におけるヒスタミン生成菌の分布および生成因子の解明」,「水産物における病原微生物のリスク低減技術の開発」,および農林水産省消費安全局委託事業(貝毒安全対策事業)にて「新規貝毒高感度分析法の開発及び貝類の毒化状況の調査」に取り組むことを報告した。
5)平成19年度本推進会議等のフォローアップ  平成19年度水産利用関係研究開発推進会議重要検討事項であった4つの検討事項についてそれぞれ,「地域漁獲物の品質保証技術とトレーサビリティ」に対して,水研センター交付金プロジェクト「日本型水産業に対応したトレーサビリティシステムの研究開発」にて沿岸漁獲物,養殖魚,天然魚の試行・調査を行っている。今後,これらを基に消費者には安心・安全な水産物を,生産者・流通者には危機管理意識の高揚と高付加価値化の可能性を含んだシステム構築を目指すとの説明がなされた。「地域活性化への利用加工研究の取り組み,地域資源の活用策」に対して,水研センター交付金プロジェクト「カタクチイワシ資源による高度利用による地域活性化計画」にて小型魚,雑魚を対象とした利用技術,加工技術を開発中である,これらの試みは最終的に地域ブランド加工品開発として地域活性化のモデルになるとの説明がなされた。「短期畜養技術による品質向上」に対して,水研センター(養殖研)が主体となり「魚介類の出荷前畜養環境馴致による高品質化技術開発」にて研究実施し,その成果の情報を随時提供するとの報告がなされた。「水産加工品の価格と水産加工業の競合関係」に対して,地域特産加工品の価格の維持を目指した流通ルート作りは重要であり,今後の検討課題とするとの説明がなされた。
6)都道府県試験研究機関の課題と研究ニーズのまとめ
①研究課題のまとめ  利用加工部長より各県報告の研究105課題の概要の報告があり,今後,この資料を基に各県の連携を深めて欲しいとの説明がなされた。
さらに平成19年度に各公的研究機関からの研究ニーズに関するこれまでの対応策状況について説明があった。
加工原料,特にすり身原料の原料不足,価格高騰への対応として,地域で利用可能な原料資源の把握,すり身化技術化技術の再評価研究の必要性の要望があり,これらの要望に対して,本年度の重要検討事項のテーマでもあり,今後,地域,ブロックが中心になって研究推進を行っていく必要があり,水研センターは積極的に推進のコーディネート,技術提供,技術開発を行うとの説明があった。
水産廃棄物に含まれる重金属等の安全性評価についての対応の在り方につきニーズ提案があり、この対応には魚介類における重金属存在状態等科学的分析が必要なだけではく,工学的なアプローチも必要である。今後これらの情報を分析し,他機関との連携を含めた研究体制の構築のための情報収集を行うとの説明があった。
水産資源を安心・安全に安定供給するためのシステム作りへの要望が出され,本年度から水研センター(養殖研)が主体となり,高品質な水産物を安心・安全に供給するための畜養システムの構築のための研究課題を設定し,実施中である。これらの研究情報を随時提供していくとの説明がなされた。
加工技術の高付加価値,高価格化技術開発として,原料の鮮度や加工工程の直し等の技術開発の要望がなされ,これに対して,水研センターでの技術開発,技術情報提供を行う事はもちろん,各県相互の技術情報交換等も積極的に行って欲しいとの説明がなされた。
水産物の健康機能性に関する研究・調査の要望がなされ,これに対して水研センターでも低未利用資源や廃棄物からの機能性成分の抽出,評価,食品への応用研究を行っている。しかし,機能性発現の精度,消費者への認知手法,コスト等,評価研究とは異なる面での調査も必要であることは理解が必要である。水研センターでは今後もこれらを加味しながら先進的な研究を続け,情報を提供し続けるとの説明がなされた。
K値に代わる鮮度指標やこれまで数値化できなかったテクスチャー等の技術開発への要望に対し,水研センターでもこれらの研究の重要性は強く認識しており,鮮度,成分測定機器の開発等のアプローチは行っている。今後もこの研究は継続するとの説明がなされた。
②研究ニーズのまとめ  平成20年度に各公立研究機関より出された研究ニーズに対して,利用加工部長より説明がなされた。
低利用な地域魚の利用加工技術開発に対する研究ニーズが出され,日本海沿岸で漁獲量が増えたサワラに関しては,水研センター(日本海区水産研究所)にて資源把握と高度利用技術開発の課題化を検討中であり,利用加工部は中課題リーダーとして参画予定である。また,原料不足,価格高騰のすり身の原料確保と新規練り製品の開発のための地域低未利用魚の見直し,すり身化技術の見直し等,水研センターの研究開発推進は重要であるが,それのみならず,各地域,県,ブロックでの相互情報・技術交換を期待するとの説明がなされた。
魚介類,特に貝類の規格外個体の有効利用および安心安全対策についての要望に対して,地域特有の漁獲物を用いた新製品開発,用途利用開発はすり身だけではなく,各種原料,製品化も地域ブランド作りは必要である。地域特産の製品作りを目指し,各県,ブロックでの協力をお願いするとの説明がなされた。また,貝類の衛生管理は水研センター(利用加工部)でも実施中であり,研究成果を公表する等の情報提供を行うとの説明がなされた。
新しい水産物の品質・鮮度指標の開発に関する研究ニーズに対して,水研センターでは測定機器を用いた簡易・迅速測定法の開発および味,テクスチャー等これまで数値化できなかったおいしさ数値評価法の開発に向け,研究課題化を検討するとの説明がなされた。
水産廃棄物に含まれる重金属等の安全性評価について対応の在り方につきニーズ提案が本年度もされたことに対し,水研センターでは食の安心・安全は最も重視する研究テーマであると認識し,本年度から水産物中の重金属の存在形態把握およびリスク低減技術開発を開始したところである。また,北海道地域においても産学官の取り組みも行われており,水研センターでの研究成果の公表とともに情報収集に努めたいとの説明があった。
7)重要検討事項
①趣旨説明  本年度の推進会議の重要検討事項の項目の説明が利用加工部長よりなされた。近年の水産加工原料不足,すり身価格高騰,地域水産業の衰退等,水産加工業が解決する諸問題がある。これを解決する一手段として,地域の低・未利用資源を見直し,加工原料としても特性を再評価するとともに,これまで地域でそれぞれの資源に適応させた加工技術の見直しを行う必要がある。また,消費者のニーズとして安心・安全な水産物の提供を考慮する必要がある。その目的として,本年度は「安全・安心・エコ地域漁獲物高付加価値化すり身加工品ブランド化の構築にむけて」と題し,各方面の取り組み,意見を聞き,本取り組みの推進方針を協議することを目的とするとの要旨説明が行われた。
②すり身原料の現状と今後の展望  「すり身原料の現状と今後の展望」として,日本水産(株)木村郁夫部長研究員より,すり身価格の現状分析,今後の原料資源状況,低未利用魚をすり身原料とした場合の予想コスト等の講演がなされた。今後もすり身原料の確保は難しいこと,低未利用魚を原料とした場合には魚種によってコスト的に,また,安定供給な面からも検討を行いながら技術開発を行う必要性が報告された。
③地域漁獲物を仕様したすり身化の試みと普及活動  「地域漁獲物を使用したすり身化の試みと普及活動」の事例紹介として,長崎県総合水産試験場 桑原浩一主任研究員より,長崎での低未利用魚のすり身化技術開発,特に晒しを行わないすり身化技術開発および長崎県蒲鉾組合との共同普及活動について,静岡県水産技術研究所 高木毅主任研究員より,水研センター交付金プロジェクト「カタクチイワシ資源による高度利用による地域活性化計画」で実施されたカタクチイワシの凍結粉砕すり身化技術開発について,「凍結粉砕」の技術を使えばラウンドのままカタクチイワシ等の小型魚をすり身原料化することが可能であるとの講演がおこなわれた。 また,水研センター利用加工部素材開発研究室 村田裕子主任研究員より,すり身化に必要な品質特性にはATP含量が重要な因子となっているとの技術開発の紹介が行われた。
④アブラソコムツからの低ワックスすり身作成技術の開発  多脂肪魚のすり身化技術開発の研究紹介として,高知大学農学部海洋生物生産学 森岡克司准教授より「アブラソコムツからの低ワックスすり身作成技術開発」に関し講演が行われた。本研究開発は水産庁事業「水産バイオマスの資源化技術開発事業」の課題として実施された研究であり,多脂肪が原因ですり身化が困難とされていた魚種でも本脂肪含量低減技術によりすり身原料として利用可能であるとの内容であった。
⑤農林水産物・食品の地域ブランド化の推進に向けて  地域低未利用魚を利用した加工品はそのコストを考慮すると「高付加価値化」が必要であり,その手段として「地域ブランド化」への取り組みが必要と考えられる。これらの手法の解説として,農林水産省生産局知的財産課 佐々木吉彦課長補佐より「農林水産物・食品の地域ブランド化の推進に向けて」の講演があった。
⑥協議  これらの事例紹介,研究・技術開発紹介を基に,各公設研究機関はどのような連携を取り,どのような取り組みを行うか,また,予算化に向けどのような策が必要かの協議を行った。
 今回,会議開催の前に低未利用資源とすり身化技術検討の現状調査を各県を対象に調査を行った。その結果,かなりの低未利用資源とすり身化技術開発が行われていることが明らかとなった。これを受け,どのようにこれら資源と技術を今後のすり身化原料確保,技術開発推進に結びつけられるかが課題であることを利用加工部長が報告した。
この報告に対して,水産大学校 福田教授から,さらにこれらの資料を詳細に調査・整理することにより技術開発として課題予算化は可能である。すなわち,これまで低未利用魚がすり身原料として利用されてこなかったのは肉質の問題か,すり身加工業者がないなどの地域インフラの問題か等,さらなる調査が必要である。さらにこれらの原料を使うための機械開発の必要性,また,すり身素材と他食材とを組み合わせた新規食品の開発の必要性等,研究開発すべき項目はたくさんあるとの意見がなされた。
 有限責任中間法人全国水産技術者協会 西岡氏より,これまで本会議で同様の協議がなされてきた。これらの経緯を把握した上で,問題点の整理が必要である。また,このような問題の対応には公立研究機関との連携が重要であるとの意見がなされた。
 海洋システム協会 長島氏より,本問題は緊急的に対応する重要な問題である。これまですり身は日本独自の技術であったが,今は世界中同じ技術で製品供給体制ができている。それとの差別化には高度な,日本独自の高度なすり身化技術が必要であり,そのためには世界戦略的な位置付けで取り組まなければならないとの意見がなされた。
 静岡県水産技術研究所 高木氏より,いくら研究機関が新しいすり身化技術を開発としても,地域にすり身業者がなければいくら製品加工業者が望んでいても,技術と製品加工業者を結びつけることができない。地域的な取り組みが是非とも必要であるとの意見がなされた。
 水産庁研究指導課から,本問題点は2つあり,新しい技術でのブレークスルーをめざすのか,これまでの技術を利用して製品開発をめざすのかだと考える。これら2つを整理する必要があり,もしこれまでの技術を利用して製品開発をめざすのであれば経済的な検討が必要であるとの意見がなされた。
 技術士会 林氏より,これまで地域ブランドとして既存の技術を利用した製品は作られてきたはずであり,あまり注目されてこなかったのは売れなかったからなのではないか。地域が主体となってどのようにしたら売れる製品作りができるかを考える必要があるとの意見がなされた。
 今回の重要検討事項の提案について利用加工部長は以下のように意見を述べた。今回の重要検討事項の協議で貴重な意見をいただいた。今回の協議は地域の低未利用魚を原料に,既存の技術を再確認して製品化すること,また,この試みを各地域,県,ブロックが中心となり推進していただくことを,利用加工部はこれらをコーディネートすることを考え,そのために地域から予算化のための取り組み案のご提案をいただきたいとの趣旨で提案した。しかし,今回,低未利用魚のすり身原料化,すり身化技術開発方向性,地域の構成業種等,それぞれ地域で異なり,それを一律的にまとめることは難しいことを実感した。今回行った各県での調査結果を基に各地域,各県,各ブロック相互に情報交換,技術交流等を行うことを期待すると共に,利用加工部では,緊急的な研究体制と中・長期的な新技術の開発を主体とした戦略的な2本立ての取り組みを設定するための情報収集,解析を行う事が重要であると認識した。今後これらの取り組みを各ブロック幹事と協議を深めた上,課題予算化の具体的な提案を行う。この意見に対し,参加者の了解を得た。
 最後に全国蒲鉾水産加工業共同組合連合会より今回行われた各県での低未利用資源およびすり身化技術開発の調査資料を,各地域のすり身化推進のための資料として許可の質問がなされた。事務局では本資料の積極的な活用を望んではいるが,各県の資料公表は事情等があると考えられることから,これらを配慮して,後日,各ブロック幹事を窓口として事務局が公表を前提として調整することとなった。
8)水産業エネルギー技術研究会水産物適正温度管理設定作業部会について 利用加工部長より,水研センター主催の水産業エネルギー技術研究会の紹介およびその研究部会であり,利用加工部が事務局を務める「水産物適正温度管理設定作業部会」の紹介がなされた。本研究会および作業部会は,近年の不安定な燃油価格,CO2排出削減を水産業でも考慮する必要があり,現状の把握と今後の取り組みを協議することを目的としている。水産物適正温度管理設定作業部会では,水産物の保管温度が適正に管理されているかの現状把握と水産物の品質維持,エネルギー消費,経済性等の観点から,水産物の適正温度の設定のための今後の進め方を親委員会である水産業エネルギー技術研究会に提言するための作業部会である。これまでの作業部会での検討状況および今後の取り組みに関して報告した。
9)成果情報課題の検討 研究会担当研究室長より、成果情報課題候補13課題の説明と修正の進捗状況が報告された。修正後、成果情報として水産総合研究センターに報告することが承認された。
10)利用加工分野と経済研究分野との連携協力
11)養殖研究所情勢報告
水産総合研究センター中央水産研究所水産経済部長より,利用加工分野と経済研究分野との連携協力について,養殖研究所生産システム部長より,養殖研究所の情勢報告が行われた。
閉会 業務推進部長が,水産業を取り巻く環境は極めて厳しい状況だと言わざるを得ない。利用加工部門でも同様に,加工原料の減少,魚価の低迷,安心・安全な水産加工品を消費者に提供する責務等,検討すべき点が多々あることを認識した。このような状況下,本推進会議でもこれらの課題に対してどのように対応すべきかを討議する貴重な時間を持てたことは意義あることである。しかし,重要検討事項にて討議された低未利用資源のすり身原料化に関しては,各地域での状況,今までの技術開発の経緯等,今回行った調査のみでは問題点の洗い出しのための解析が充分でなかったことを反省している。今後,さらに各公立研究機関と水研センターとの連携を強め,今回の重要検討事項の討議内容が活かされるよう,問題点を精査し,今後の研究推進の提案ができるよう検討するとの挨拶で閉会した。

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