平成19年度内水面関係研究開発推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成19年12月13日13:30~14日12:00
場所(株)アピア(宇都宮市戸祭元町12-12)
出席者所属機関及び人数     24機関  42名
結果の概要
議題結果の概要
1.各機関からの情勢報告(1)
水産庁研究指導課、全国内水面漁業協同組合連合会(以下、全内漁連)、独立行政法人水産総合研究センター(以下、水研センター)から、最近の水産業および各機関を巡る情勢等について報告があった。
水産庁からは、平成20年度予算要求概要、地域水産試験研究振興協議会活動、農林水産技術会議事務局計上の競争的研究資金の見直し、水産分野における地球温暖化対策、農林水産統計の再構築、等についての説明があった。
全内漁連からは、河川環境悪化への対策、特定の外来魚駆除問題、カワウ駆除対策、アユ冷水病及びコイヘルペス病対策、等についての説明があった。
水研センターからは、独立行政法人見直し問題、まぐろ研究所の設立および活動内容、海洋データ解析センターの設立、日中韓水産研究交流、職種区分の改正及び新規の主要研究課題、等について説明があった。
2.平成18年度推進に関する報告
内水面研究部長より、有志の公立試験研究機関と中央水産研究所による競争的外部資金獲得のための検討状況が報告された。研究課題情報のウェブ上での公開については、未検討のまま審議を中断することが了承された。
アユの増殖に関しては、水産庁「環境調和型アユ増殖手法開発事業」の後継事業企画案である「アユ漁不振漁場の実態解明と漁場環境評価手法の確立(仮称)」について企画立案・ブラッシュアップがなされたことが説明された。
カワウ問題に関しては、農林水産技術会議の高度化事業として課題化が図られた旨報告された。
資源管理・資源増殖に関しては、水産庁「渓流域管理体制構築事業」の後継事業企画案である「渓流資源増殖保全技術高度化事業(仮称)」について企画立案・ブラッシュアップがなされたことが説明された。
3.各機関からの情勢報告(2)
全国内水面水試場長会5ブロック代表県、全国内水面水産試験場長会、全国湖沼河川養殖研究会、養殖研究所、さけますセンター、中央水研内水面研究部より情勢報告があった。
東北・北海道ブロックからは、シジミ漁獲量、サケ・マス養殖生産量の低迷、KHV発生件数の減少、アユ遡上量の近況、冷水病の発生件数、外来魚の分布域拡大等についての報告があった。予算縮減が求められる中、競争的資金獲得の必要はあるが、マンパワーの問題から厳しいところがある旨述べられた。また漁獲統計調査の変更により、「サケ・マス類」の調査研究に大きな支障が及んでいる現状が報告された。
関東・甲信越ブロックからは、アユ遡上量の近況、カワウ、外来魚問題、マス類養殖、組織体制問題、漁獲統計調査法変更に伴う問題等について報告があった。栃木県より、河川-農業用水ネットワークや田圃周りの生物調査の要望が多くなったとの追加報告があった。内水面研究部長から栃木県および埼玉県に対し養殖魚のブランド化戦略について質問が出され、栃木県からは対象魚の全雌3倍体ニジマスおよびニッコウイワナ、埼玉県からはホンモロコについて説明した。本件について、内水面研究部長がブランド商品とは他の類似商品と明らかに差別化できる価値が付与された物と定義できるので、ブランド化という言葉を使用する時には注意が必要であると述べた。
東海北陸ブロックからは、アユ遡上量の近況、冷水病、サクラマス漁獲量の回復等について報告があった。質疑では、愛知県の希少生物(ネコギギ)研究の目的、静岡県でのウナギ養殖の現状、休耕田を利用したホンモロコ養殖に関する論議がなされた。漁獲統計の問題について、岐阜県は、遊漁者の採捕量についても県独自に集計しているので特に困ることはないと述べた。
近畿中国四国ブロックからは、アユ遡上量の傾向、宍道湖シジミの動向等について報告があった。高知県では平年より気候が温暖であったためか、アユの繁殖行動の発現時期に乱れが生じているとの報告があった。また、滋賀県からは、琵琶湖の平成6年異常渇水を契機に水草が異常発生しているとの報告があった。
九州ブロックからは、アユ・シラスウナギ・KHV病・福岡県のシジミ漁獲量減少、大分県のドジョウ養殖について報告があった。ドジョウについては、養殖している県が少ないものの、鳥の餌として需要があり価格も良いとの報告があった。
全国内水面水産試験場長会からは、全国共通の問題として外来魚駆除方法の確立・カワウによる漁業被害軽減・アユ冷水病ワクチン開発・KHV迅速高精度診断技術開発・漁獲統計調査方法変更に伴う業務停滞・委託事業での間接経費基準の設定、等が挙げられた。
全国湖沼河川養殖研究会からは、組織運営体制と今年度の活動状況についての報告があった。
養殖研究所からは、KHV病確定診断状況、今年度から新たに開始されたKHV病高度化事業の紹介、ウナギ仔魚研究、サケ科魚類の冷水病、アユ冷水病ワクチン実用化等について報告があった。ウナギ骨曲がりについては、まだ十分な研究が進んでいないとの報告があった。
さけますセンターからは、水研センター交付金プロ研「河川の適正利用による本州日本海域サクラマス資源管理技術の開発」について説明があった。
中央水産研究所内水面研究部からは、担当研究課題一覧についての紹介があった。特に、今年度から開始した高度化事業「カワウによる漁業被害防除技術の開発」について、中央水研が得た最新の研究結果が紹介された。
4.平成19年度資源・生態系保全部会の報告
内水面研究部より、漁獲統計調査方法の変更に関する検討では、従来の調査を公立試験研究機関が主体となって実施することを提案中である旨報告された。特に遊漁による漁獲量が把握できない問題に絞り、平成20年度中に現行統計の効率的補完方法をアユ研究会で検討するという提案が了承された。水産庁からは、今後の方針は決まっていないものの、内水面での遊漁による漁獲量を把握するために水産庁予算で対応することは、現状ではほとんど無理であるとの説明があった。
内水面研究部より、アユ増殖に関して、水産庁の「環境調和型アユ増殖手法開発事業」の後継事業企画案である「アユ漁不振漁場の実態解明と漁場環境評価手法の確立(仮称)」の概要説明があった。内水面研究部長が、予算規模に応じて内容や参加機関数を調整する可能性があると述べた。また、アユの研究開発ニーズは7県から出され、内5件については上記企画案での課題化で検討することを説明し了承された。
内水面研究部より、ブルーギルの我が国への導入に関する過去の調査・文献を整理し資料に記載したので参考にして欲しい旨の報告があった。
内水面研究部より、農林水産技術会議事務局計上の地球温暖化に関するプロジェクト研究案について概要説明があった。このプロジェクトには、滋賀県が参加を予定、秋田県と長野県とは調整中との報告があった。
内水面研究部より、水産庁の「渓流域管理体制構築事業」の後継事業企画案である「渓流資源増殖保全技術高度化事業(仮称)」の概要説明があった。内水面研究部長が、予算規模に応じて内容や参加機関数を調整する可能性があると述べた。
北海道よりシジミ研究会の概要について報告があり、競争的資金の取れる枠組みを検討するとの説明があった。
千葉県より、天然ウナギの漁場・資源管理方法の確立を求める発言があり、内水面研究部長が今後の検討課題としたいと述べた。
部会報告が、研究開発ニーズの整理とともに了承された。
5. 平成19年度内水面養殖部会の報告
内水面研究部より、高品質・養殖環境研究に関わる提案課題「ヘルシー大型国産マス類の新需要創出」の概要説明があった。内水面研究部長より、対象は各県が開発した3倍体マス類とすること、山間部観光地のホテル・旅館・レストランや都市部の高級レストランで食材として使ってもらえる卸値に収まるような生産コストでの生産を実現したい旨の補足説明があった。
内水面養殖部会で既に説明済みである研究開発ニーズへの対処方針を本会議資料に掲載した旨、内水面研究部長が説明し、最後に平成19年度内水面養殖部会の報告が一括了承された。
6.平成19年度研究成果情報の取りまとめ
平成19年度に提出された研究成果情報候補課題の11課題について、提出県または水研センターの課題担当者から研究内容の説明があった。
提案されたすべての課題は成果情報として承認され、内水面研究部長から各機関に承認された課題を、平成20年3月31日までに水研センターのサーバーに入力するように要請した。
7.内水面関係研究の促進・補強に関する協議
次回の推進会議について、開催場所は宇都宮、時間の長さは今回と同じ、開催期日は平成20年12月11-12日としたい旨発言があり、了承された。
8.その他
特になし

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

中央水産研究所日本語ホームページへ