平成18年度中央ブロック水産業関係研究開発推進会議
浅海増殖部会報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成18年11月9日13:30~10日12:30
場所中央水産研究所講堂及び第1・2会議室
出席者所属機関及び人数 12機関 16名
結果の概要
議題結果の概要
1)水産研究をとりまく情勢(合同会議)
水産庁研究指導課から,水産基本計画と漁港漁場整備の動き,大型クラゲ対策事業,アサリ資源回復事業,技術会議プロ研「環境変動に伴う海洋生物大発生」,「定期的海洋観測のあり方についての中間取りまとめ」等に関する情勢が報告された。また,水産総合研究センター本部からは,本部組織の改正と競争的資金獲得に向けた業務状況,高度化事業の情報などが紹介された。中央水研からは,補足として,資源評価事業の予算,北朝鮮核実験を例に突発的事件に対する対策本部体制等について紹介した。
2)各部運営要領の確認
組織改正等で名称や所在地の変更があったことから,要領の改正を行い,承認された。
3)研究課題情報のとりまとめ結果の報告
水産増養殖に分類された178課題について,分野及び対象種による分類結果(対象種としては,アサリ及びアワビが最も多い)を浅海増殖部長が報告した。
4)情勢報告(トピックス)
3)の課題情報を含め,トピックスや研究上の問題点が各機関から報告された。
栽培対象種と中心とした資源のモニタリング状況(東京,神奈川,三重,高知),アマモ,カジメ等の藻場造成(神奈川,静岡,大分),アサリ資源回復(千葉,静岡,高知)等のトピックスが報告され,関連の情報,意見が交換された。
5)平成17年度の部会での合意事項の実施状況の点検
アワビ研究会・沿岸浅海域WGの継続:発生初期におけるアワビ類分布調査手法のマニュアル作成,浅海岩礁域における生態系モデルの構築等の協議内容及び活動方針を説明し,了解を得た。
アサリ高度化事業への積極的な取り組み:アサリ資源全国協議会の活動について報告し,高度化事業への協力と第2期の全国協議会活動への連携・協力を決定した。
栽培対象種に係わる標識問題,系群問題等の情報交換会:今年度新設された栽培漁業関係研究開発推進特別部会太平洋南ブロック会議傘下の分科会での対応を第一とし,現在南伊豆栽培センターで実施している意向調査の結果を待つこととなった。なお,要望に添う分科会が設置されなかった場合は再度浅海増殖部会で検討することとした。
この他,東京湾のアマモ場造成について,昨年の部会の決定に基づき,神奈川県における活動の概要を報告いただき,可能な機関が協力することとなった。また,好評であった「スクーバ潜水調査安全講習会」については,希望に応じて適宜開催することとした。
6)平成18年度の新たな要望事項
ヒラメ稚魚の地理的変異に関する研究(高知):ヒラメ資源の維持・管理を考える上で重要な課題であるとの認識で一致した。一方,ヒラメ集団構造の解析では,これまでのところ明確な結果が得られていないことから,本ニーズへの対応を2段階に分け,まず,サンプル提供が可能な機関が協力して高知県で予備的な解析を進め,得られた結果をもとに,改めて共同あるいは連携研究の必要性を検討することとした。
7)ブロックで取り組むべき事項(総合討論)
アワビ類の初期減耗要因の解明に向け,沿岸浅海域WGの設置目的を「浅海岩礁域における生態系モデルの構築」に絞り込み,グループ名称の変更を含めて次回のWGで検討することが承認された。
また,アワビ類資源の変動機構の解明に向け,高度化事業への応募を前提とした課題案の検討を進めることとした。
このほか,浅海増殖部長から中央水研で検討中のプロジェクト研究素材を紹介し,内湾環境と資源変動との対応に関する研究課題について論議した。貧酸素水塊の出現と甲殻類資源の関係をはじめとする重要課題について,漁業資源,海洋環境部会と連携して活動を進めることとした。
これらの決定事項,意見をもとに以下の合意事項をとりまとめた。
8)部会における合意事項
(1) アワビ研究会活動を継続し,発生初期の分布調査マニュアル作成の作業を進める。また,アワビ類資源変動機構の解明をに向け,発生初期の動態把握を焦点とした課題案を作成し,外部研究資金の獲得を目指す。
(2) 昨年度の沿岸浅海域WGでの論議,「アワビをはじめとする岩礁生態系構成種の減耗要因解明や資源回復には,浅海岩礁域における生態系モデルの構築が重要である」が了承され,沿岸浅海域WGの目的の絞り込みを含め,本課題を沿岸浅海域WGで検討することとした。
(3) アサリ生産量の増大に向け,引き続きアサリ全国協議会と連携して活動する。
(4) 貧酸素水塊の出現等の内湾環境の変化(悪化)が沿岸資源に与える影響の解明に向け,漁業資源部会及び海洋環境部会と連携して活動を進める。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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