平成18年度中央ブロック水産業関係研究開発推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成18年12月5日13:30~6日12:30
場所中央水産研究所 講堂
出席者所属機関及び人数     21機関  34名
結果の概要
議題結果の概要
冒頭,中央水産研究所長の開会挨拶の後,水産庁増殖推進部長より,昨今の厳しい予算事情下の各機関の研究連携と,その拠り所としての水産研究・技術開発戦略の見直しを中心に来賓挨拶があった。
1.中央ブロック推進会議の運営について
中央水産研究所(以下,中央水研)より,水産総合研究センター(以下,水研センター)の第二期における本推進会議の名称,運営規程,運営細目の変更について説明があり,また,併せて今後の本会議の体制と運営方針について説明があり,改正案は提案通り承認された。
2.ブロックにおける連携協力について
(1)各機関からの情勢報告
水産庁増殖推進部参事官から,水産庁の来年度予算,水産基本計画および水産研究・技術開発戦略の見直し概要とそのスケジュール,大型クラゲの漁業被害対策,アサリ資源全国協議会,および地域水産研究振興協議会の設置とその構成について説明があった。また,農林水産技術会議事務局の19年度の予算要求等,総合科学技術会議の第3期科学技術基本計画,19年度科学技術関係予算の編成について説明があった。
水研センター理事(研究担当)より,水研センター内の競争的資金である運営費交付金プロジェクト研究及び国際共同研究のしくみについて説明があった。特にプロジェクト研究については,今年度から重点分野と地域連携分野(新規枠)に分け,実施することが示された。
水産工学研究所業務推進部長より,水産工学分野への各都道府県試験研究機関からの研究ニーズ,主要な研究成果情報,「研究の栞」の発行等について概要報告があった。
養殖研究所長より,平成18年度の養殖研究所運営方針,重点的研究開発課題,地域・産業との連携の考え方,研究業務の進捗状況,平成19年度研究計画策定に向けた重点方針について報告があった。
瀬戸内海区水産研究所業務推進課長より,平成18年度漁場環境保全関係研究開発推進特別部会,主要行事,外部資金による新規研究課題について概要報告があった。
水研センターの南伊豆栽培漁業センター場長より,平成18年度業務の進捗状況,及び平成19年度における重点方針について概要報告があった。
中央水研所長より,水研センター法人統合と組織改正,中央水研の組織改正,第2期中期計画及び研究課題数,平成18年度から開始した研究課題,水産業をめぐる情勢,調査・研究推進をめぐる情勢の報告があった。次に,業務推進課長から中央水研内の競争的研究環境平成18年度交付金による一般研究,シーズ研・所内プロ研,交付金プロ研,国際共同研究,共同研究契約に基づく共同研究の各実施課題の説明があった。また,競争的研究資金に関する情報は,中央水研のホームページに掲載しており,ここから入手できることが紹介された。さらに業務推進部長から,中央水研における中長期的研究開発方針の説明があった。
中央ブロック各都県試験研究機関より,漁海況,組織・予算,調査・研究推進上の課題等に関する報告があった。
中央ブロック各都県の報告に対し,中央水研から,
1)組織見直しや人員及び予算の削減の厳しい状況が続いている,
2)大学等との共同研究が増加している,
3)連携・協力の強化と外部の競争的研究資金獲得の要望が強まっている,
4)人材育成が重要になっている,
5)国からの補助事業がなくなったことにより,国や他県との繋がりが薄れてきているとの状況に対しては,これを補うため推進会議,部会・研究会の活性化が必要である,
6)調査に関する漁業者との連携等の新たな動きは,研究成果を水産業振興に結びつけることが求められているという観点から評価できる
等のまとめがなされた。
(2)平成17年度における協議事項等のフォローアップ
中央水研より,昨年度の本会議において了承された,中央ブロックとして取り組むべき14事項について,その後の対応状況等の報告があった。
(3)ブロックとして取り組むべき事項に関する意見交換 ブロックとして取り組むべき事項に関して,各都県試験研究機関から出された要望等に対する中央水研の対応案を説明し,論議の結果,以下に示した事項が了承された。
中央水研の役割は,ブロック内の共通する研究ニーズを把握し,コーディネート機能を発揮して連携・協力のもとに問題解決に向けた共同研究,社会貢献に繋がる研究・技術開発を推進することであり,今後もその強化に努める。
各試験研究機関の了解が得られれば,各試験研究機関の研究報告等を中央水研で一括して電子データ化して公開することは可能であり,今後検討し情報交換の一層の効率化を図る。
高度化事業等外部資金の獲得については,中央水研が中核となって研究ニーズを把握,重点課題として集約,課題化する等リーダーシップを発揮し,ブロック場長会の協力を得ながら早めに取り組みを進める。
水産庁の我が国周辺水域資源調査委託事業は18年度から企画競争となり競争的色彩を強めているので,各県から要望がある調査船燃油費や調査予算を確保するためにも,中央水研と水試の調査体制維持に協力願いたい。定線調査や海洋環境モニタリング予算の確保に関しては,地域水産試験研究振興協議会の論議を見守りながら対策を検討する。
中央水研では,これまで資源管理研修,計量魚探研修,卵稚仔同定研修,水産経済研修等を開催しており,今後も各県の要望を踏まえて継続して開催して行く。
各県からの研修員の受け入れについては,従来から受け入れ制度があり随時受け入れているので,要望等あれば積極的に対応する。
経済・経営的側面に関する研究や輸入魚の問題等に関する要望については,一部はすでに実施したものもあるが,中央水研が現在進めている研究や予算要求中の研究の中でも対応し,中国の水産物の消費等に関する情報提供についても努力する。
魚介類の機能成分に関する研究要望については,中央水研でも鋭意進めており成果も上がってきている。分析に関する要望については,中央水研で全面的に対応することは困難であるが,相談をしていただきたい。中央水研内で対応できるものについては,試料持参で来ていただければ指導する。対応できないものについては,他研究機関・大学等の情報を紹介する。
農林統計の対象漁業・魚種の見直しについて,中央水研から,地方農政局によるブロック別説明会の予定や漁獲統計見直し内容について情報提供した。これに対し,複数の県から,
県の水産振興プランを組み立てる際にこれまで農林統計を公表数値として使用してきたが,今後,対象種によっては統計値が使用できなくなるなど大きな支障が出る恐れがある。
水産庁としては今後の漁獲統計についてどのように考えているのか。とくに内水面に関しては,遊漁のデータがなくなり,漁獲量ゼロの結果も考えられる。
「その他魚類」と集約される魚種について,統計値の元データとしては魚種別の詳細なデータがどこかにあり,これまでのように県が要望すれば知らせてもらえるのか,
等の質問・意見があった。以上の論議について,中央水研業務推進部長から,漁獲統計の問題は,今後の大きな問題であることが認識された,各都県の水産政策に必要なデータであるので,対応策については場長会レベル或いは地域水産試験研究振興協議会での検討も考えられる,と取りまとめた。
3.ブロックにおける調査研究活動について
(1)平成18年度部会活動について
平成18年度海洋環境・漁業資源合同部会報告(案),及び浅海増殖部会報告(案)に基づき,各担当部長から,
1)水産研究をとりまく情勢,
2)運営要領の確認,
3)研究課題情報のとりまとめ結果,
4)トピックス,
5)研究成果情報の検討
について,結果の概要報告があった。また,海洋環境・漁業資源合同部会報告では,水産成果情報の継続を希望するとの意見があったことが紹介された。
(2)部会からの要望・提案に関する検討
平成18年度の新たな要望事項について,海洋環境・漁業資源合同部会の担当部長から,多獲性エビ類の漁獲管理法の開発,太平洋南岸域におけるヒラメ稚魚の地理的変異に関する研究の研究ニーズ2課題と,東海ブロック場長会で取り上げられた,太平洋沿岸域におけるシラス漁獲量変動機構の解明の1課題があったとの説明があった。また,ブロックで取り組むべき事項について,シラス漁況予測データベース構築の継続,キンメダイWGの活動の継続,沿岸性小型甲殻類の資源変動とその要因を研究会のテーマ候補とすることの確認等8件の合意事項の説明があった。
浅海増殖部会の担当部長から,新たな要望事項として,ヒラメ稚魚の地理的変異に関する研究が重要課題であるとの認識で一致するとともに,予備的な検討を加えた後に連携研究の必要性を検討することとしたとの説明があった。また,アワビ研究会活動の継続と外部資金の獲得等についての合意事項の説明があった。
以上について特に質問意見はなく,平成18年度部会報告(案)は了承された。
(3)平成18年度研究成果情報のとりまとめ 平成18年度中央ブロック研究成果情報(15課題)について,各部会の担当部長から説明があった。指摘事項については修正されることを前提に,研究成果情報として承認された。
(4)その他
(社)漁業情報サービスセンター(JAFIC)への負担金に対する対応状況の質問があり,各都県から現状説明がなされた。
4.その他(連絡事項等) 中央水研所長により閉会の挨拶と今後の本会議への協力要請があった。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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