平成17年度内水面関係試験研究推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成17年12月15日 14:00~16日 12:10
場所(株)アピア(宇都宮市戸祭元町12-12)
出席者所属機関及び人数     27機関 46人
結果の概要
議題結果の概要
1.各機関からの情勢報告(1)
水産庁研究指導課、全国内水面漁業協同組合連合会、水産総合研究センター、全国内水面水産試験場長会から、最近の水産業および各機関を巡る情勢等について報告があった。
水産庁からは、三位一体改革による税源移譲、水産庁予算の重点事項、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(以下、高度化事業と略)、平成18年度科学技術関係予算について説明があった。
全国内水面漁業協同組合連合会からは、河川環境対策、外来種問題、カワウ対策、アユ冷水病、KHV病対策について説明があった。
水産総合研究センターからは、独立行政法人を巡る情勢について、中期目標・中期計画の策定と組織改正について説明があった。
全国内水面水産試験場長会からは、組織運営体制、全国共通の問題点について説明があり、国への要望事項候補として、魚病防疫技術・特定疾病検査技術、全国的なカワウ対策、外来魚駆除の技術開発が挙げられた。
2.平成16年度推進会議のフォローアップに関する報告  昨年度の協議事項に関するフォローアップとして、「アユ」「サクラマス」等の研究会活動について報告した。また、各試験研究機関より提出された研究ニーズへのその後の対応について説明した。
3.各機関からの情勢報告(2)
全国内水面場長会5ブロック代表県、全国湖沼河川養殖研究会、全国養鱒技術協議会、養殖研究所病害防除部、さけ・ます資源管理センター、中央水産研究所内水面研究部より情勢報告があった。
東北北海道ブロックからは、北海道でのヤツメウナギ・シジミ等の資源減少、青森県での小川原湖シジミ漁、岩手県でのアユ漁業、宮城県での内水面養殖業、秋田県でのアユ漁業と外来魚問題、山形県でのアユ漁業、福島県でのKHV病と外来魚問題についての報告があった。
関東・甲信越ブロックからは、ブロック全体として水産資源・遊漁者数・養殖生産量が減少傾向にあることについて報告があった。また、最近の遊漁者は、天然の在来魚の釣獲を好む傾向が強いとの説明があった。
東海北陸ブロックからは、他ブロックとの共通事項の他、県民に役立つ内水面研究が求められていること等が報告された。またサクラマスの資源回復方策を検討するため、河川生活期に限らず海洋生活期を含めた生活史全般に対応した調査研究体制を整備すべきであるとの意見が出された。
近畿中国四国ブロックからは、KHV病、アユ冷水病、カワウ対策、外来魚等についての各県の状況報告があった。
九州ブロックからはシラスウナギの採捕量減少等について報告があった。
全国湖沼河川養殖研究会からは会長担当県の滋賀県から、組織運営体制と経費負担の問題について報告があった。
全国養鱒技術協議会からは会長担当県の長野県から、組織運営体制と活動状況について報告があった。
養殖研究所からは、アユ冷水病ワクチン開発、KHV病対策、ニシキゴイのKHV病対策等の内水面における魚病対策を中心に、同研究所が実施している研究や事業の概要についての報告があった。
さけ・ます資源管理センターからは、サケ・カラフトマス天然資源復活のための技術開発、サクラマス資源回復を目指した技術開発についての報告とともに、日本海のサクラマスについての水研センター交付金プロジェクト研究案の紹介があった。
中央水産研究所内水面研究部からは、次期中期計画に向けた内水面分野の中長期的研究開発方針の説明があり、続いて次期一般研究候補課題4題(略称:「水田水系」・「河川工作物」・「陸封性サケ」・「サケ養殖技術」)の概要紹介が行われた。質疑では全国内水面漁業協同組合連合会より、「河川工作物」研究への期待とカワウ対策の希望が示された。「水田水系」については、水田での養殖に関して各県からさまざまな事例が報告され、関心の高さがうかがえた。
4.平成17年度資源・生態系保全部会と養殖部会の報告
内水面研究部長が、報告書に基づき、以下の通り、平成17年10月に行われた「資源・生態系保全部会」及び「養殖部会」の概要について説明した。最後に、平成17年度の資源・生態系保全部会と養殖部会の報告書が了承された。
アユの増殖に関しては、平成17年度から実施されている高度化事業の「沿岸域におけるアユ生態特性の解明および遡上量予測技術の開発」と「アユ冷水病形質マーカー選抜育種技術の開発」及び水産庁委託事業の「環境調和型アユ増殖手法開発事業」について概要を説明した。
外来魚に関しては、現場から駆除マニュアル作成の要望が出されていること、研究成果の中間報告の広報を水産庁に依頼中であること等を説明した。
環境に関しては、特にカワウによる食害問題について、情報収集・伝達に努めるとともに、関係機関と連携しながら対処していく旨を説明した。また、中央水産研究所長から部会に鳥類の専門家を招いて勉強する機会を持つようにしてはどうかとの提案があり、次年度の部会スケジュールを調整して具体化に向け検討していくこととした。
サクラマスの増殖に関しては、各試験研究機関等で独自に進行している取り組みを一本化したうえで、外部資金獲得の方策を検討していく方向であると説明した。
新潟中越地震に対する対応として、高度化事業「ニシキゴイの高密度・多回生産技術の開発」の取り組みについて説明した。
各試験研究機関より提出された12件の魚病関係に関する研究ニーズについては、養殖研究所病害防除部から現在の状況と当面の対策についての説明があった。
5. 平成17年度研究成果の取りまとめ
資源・生態系保全部会で修正を条件に本会議に提出されることになっていた研究成果情報「利根川下流域で漁獲される下りウナギの出現様式」(千葉県水産総合研究センター内水面水産研究所)については、都合により取り下げとなった。
平成17年度内水面ブロックの研究成果情報候補課題の12課題について、提出県または中央水産研究所の課題検討担当者から研究内容の説明があり、内容及び字句等について検討した。指摘事項を追加・修正することを条件とした秋田県と群馬県の課題をふくめて、すべての候補課題が研究成果情報として承認された。
最後に内水面研究部長が、研究成果情報の提出は義務ではないことを説明するとともに、ある程度まとまりのある成果を提出して欲しい旨を伝えた。
6.内水面関係研究の促進・補強に関する協議
平成18年度高度化事業の地方研究領域の設定に関して、北部ブロックから「東北・北海道地域における内水面漁業の資源管理技術の開発」、中部ブロックから「内水面地域における地域特産魚のブランド化に向けた高品質化技術の開発」、西部ブロックから「琵琶湖・淀川水系における生物生産機能の修復技術開発研究」を提案したとの報告があった。また、提案県(北部:青森県・中部:栃木県・西部:滋賀県)から研究概要の説明と、関係機関への協力要請があった。
北部ブロックの提案に関連して、島根県と青森県から「シジミ漁業に関して全国規模の情報交換の場があってもよいのではないか。」との発言があり、次年度の部会活動のなかでシジミに関する情報交換について検討することとした。
中部ブロックの提案に関連して、養殖部会の高品質・養殖環境研究会のネットワークを活用し、高品質化技術の開発に関する意見交換を行うこととした。
西部ブロックの提案について、提案県の滋賀県から、琵琶湖周辺の関係府県間の調整および関係大学とのすり合わせは既に終わっているとの報告があった。
以上の報告を受け、全国内水面水産試験場長会会長から、次年度の内水面水産試験場長会のブロック別会議において高度化事業への応募のための検討を実施するとともに、ブロック横断的な協議も可能とするような仕組みを考えたいとの発言があった。
内水面研究部長が、アユ冷水病原菌に対するブロノポールの殺菌効果の有効性の検証作業の必要性を説明し、実証試験への協力を呼びかけた。
7.その他
次年度の会議を宇都宮市内で平成18年12月14-15日に開催することを提案し、承認された。 また、研究課題情報に関する資料は部会で配布しているため、次年度の本会議では改めて配布しないことを提案し、承認された。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

中央水産研究所日本語ホームページへ