平成17年度中央ブロック水産業関係試験研究推進会議
漁業資源・海洋環境合同部会報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成17年11月7日13:30~8日12:00
場所中央水産研究所 講堂
出席者所属機関及び人数 15機関 31名
結果の概要
議題結果の概要
1)水産研究をとりまく情勢
中央水産研究所より、18年度の科学技術振興費の水産分野関連情報として、食品の高機能化及び安全・信頼の確保、地球温暖化防止のための研究開発の強化、産学官連携による研究開発の強化等について説明した。
2)各部運営要領の確認
いくつかの機関で組織改正等により名称や所在地の変更があったことから、要領の改正を行い、承認された。
3)研究課題情報のとりまとめ結果の報告
各機関より、水産海洋28課題及び水産資源70課題が提出され、新規課題の内容を中心に説明があった。
4)情勢報告(トピックス)
各地先の漁海況(全都県)、魚価安と原油高騰(静岡)、各機関の厳しい財政事情(愛媛、宮崎、鹿児島)、組織改正(鹿児島)、エチゼンクラゲの出現(徳島、三重県)、高度化事業の実施状況(参画都県)、マアジの産卵場と仔稚魚の輸送モデル開発等のトピックスが報告された。
5)研究成果情報の検討
提出された海洋6件、資源4件の成果情報を検討した。11月20日までにコメントを送付し、修正を加えて、12月の推進会議に提案することが了承された。
6)平成16年度の部会での合意事項の実施状況の点検
沿岸定線調査WGの継続:WGによるアンケート調査を実施し、水産庁の了解のもと平成17年度に限り、宮崎と三重では黒潮の海洋調査として、高知と神奈川ではマイワシとサバの産卵場調査として、資源評価調査費で沿岸定線調査を実施した。なお、平成18年度以降は都県への交付金の中に沿岸定線調査予算が含まれているという理解である。
キンメダイWGの継続と平成16年度末での見直し:平成16年度末の広域漁業調整委員会において資源回復計画の対象種としてキンメダイがリスト・アップされた。しかし、回復計画自体が未確定のためWGを継続することとした。平成17年度の活動として、資源調査報告書を更新した。今後はフィードバック管理の可能性を検討する予定である。
海況予測モデルの精度向上と調査船調査の重要性のアピール:感度解析等を繰り返し、広域な海況予測モデルの特性把握を行い、予測精度の向上に努めた。各機関から提供していただいた調査船調査データをモデル結果に同化することにより、黒潮の離接岸変動や内側域の暖水波及現象を大枠で再現できる可能性がつかめた。
黒潮大蛇行時等のタイムリーなプレスリリース:平成16年7月の黒潮大蛇行発生以来、本州南岸の漁海況に大きな変化が現れ、浮魚類の不漁が継続した。マスコミ等からの問い合わせが殺到する中、正確な漁海況情報を発信するため、中央ブロック各機関の協力で参画機関連名の下、平成17年5月下旬に「黒潮大蛇行に関連した漁海況の特異現象(中央ブロック)」を中央水産研究所のホームページに掲載した。
クラゲ問題の情報交換:特異現象としていくつかのクラゲ情報が提供されたが、昨年よりは少なかった。また、大型クラゲ情報が本部のホームページに掲載された。
調査船調査の経済的評価や水産業の多面的機能の評価に関する水産経済部への協力依頼:調査船調査の経済的評価に関しては、問題が複雑なため、具体的な依頼ができなかった。水産業の多面的機能の経済的評価に関しては、水産経済部内で検討を進め、平成18年からの水研センター交付金プロ研に応募中である。
黒潮内側域の富栄養化(水質)の共同調査連絡体制について:推進会議の決定に基づいて実施したアンケート結果を報告し、連絡体制の必要性について検討した。沿岸域の問題は各海域で特性が異なり、自治体毎に取り組みや組織体制が異なる等のことから、ブロックを一括した連絡体制の構築には無理がある。このため、問題を共有する自治体間で取られている連携体制を維持し、水研はそれらの地域活動に積極的に協力することとした。
7)平成17年度の新たな要望事項
ミズクラゲ等と漁獲物を分離する漁具の開発(愛知・千葉):技術開発に関しては水産工学特別部会にニーズを伝え、検討を依頼することとした。定量採集法のマニュアル化については水試の担当者と協議し、目的を明確にした上で協力して作成することとした。発生予測については、例えば、今夏クラゲが多いかどうかを春先に予測するというのは困難だが、対策を立てる際の基礎知識として、湾のどのあたりで主に発生して、どれくらいの速度で成長しながら、どのように分散・集積するかについての知見を得ることは可能と考えられることから、将来の予算獲得に向けて水試の担当者と協議することとした。
キンメダイ資源研究(東京):キンメダイWGの継続は担当者間で合意している。具体的な活動としては、(1)資源調査報告書の継続、(2)フィードバック管理の可能性の検討などを予定している。
イルカによる漁業被害防除技術の開発(静岡):過去に水工研や遠洋水研がイルカ防除対策に取り組んだことがあるが成功していない。なお、カナダではネズミイルカの防除にピンガーを使用しているとの情報があるので、遠洋水研から詳細な情報を入手して提供することとした。
九州東岸から土佐湾における浮魚資源の動態に関する研究(愛媛):長期予報については会議等を通して中央ブロック内での連携が図られているが、短期予報についてはそのような体制がない。関係県の関心とメリット等を予報会議や研究会等で検討することを提案し、愛媛県からも具体的な研究計画案を提出して頂くこととした。
8)ブロックで取り組むべき事項
外部資金の獲得のためには、参画都県の関心と熱意、既存の体制または各県における基盤の強化、研究内容のレベルアップなどが必要である。
シラス漁況予測、キンメダイのプロ研化、沿岸域の取り扱いについて意見交換し、以下の合意事項を取りまとめた。
9)部会における合意事項
(1)シラス漁況予測に関連して、データベースの重要性を認識し、具体的なシラスのデータベースの構築については担当者間で協議することとした。
(2)キンメダイについては、参画機関の条件の違いも考慮し、当面はWG活動を継続する。なお、外部資金獲得のための研究計画については将来の検討課題とすることとした。
(3)黒潮内側域(水道域・内湾域)の富栄養化問題への対応について、中央水研としては各地域グループの研究会等へ積極的に協力することとした。
(4)クラゲ問題に対処する漁具の開発については、水産工学特別部会に受け渡すこととした。また、クラゲ発生の実態調査に関わるマニュアル作成については、愛知県と中央水研の担当者間で協議し、次回の部会で提案することとした。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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