平成17年度中央ブロック水産業関係試験研究推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成17年12月1日 13:30~ 2日 12:00
場所中央水産研究所 講堂
出席者所属機関及び人数     17機関  36名
結果の概要
議題結果の概要
1.中央ブロック推進会議の運営について
中央水産研究所より、水研センター推進会議の運営方針と構成について説明した。また、当所の組織改正に伴い、研究部と担当推進会議及び部会等との関係、特に水産経済部による「水産経済研究連絡会」の設置について説明した。
中央水産研究所より、推進会議の運営規程、運営細目(案)、漁業資源、海洋環境、浅海増殖の3部会の運営要領(案)について説明した。主な改訂箇所は関係機関の組織改正に伴う名称及び担当責任者の変更であり、このことを確認し、運営細目及び3部会運営要領が承認された。
2.ブロックにおける連携協力について
(1)各機関からの情勢報告
水産庁研究指導課担当官から、情勢報告及び予算状況等について説明があった。県水試から、アサリ資源全国協議会の継続または後継事業を望むとの発言があり、なんらかの形で継続するとの回答があった。
水産工学研究所より、担当課題、大型クラゲ・シンポジウム、水産工学関係の研究ニーズ及び研究成果情報(大型クラゲ駆除)の概要について報告があった。また、水工研の中長期展望について説明があった。
養殖研究所より、実施中の研究課題、プロジェクト研究、水産庁事業等についての説明があった。またKHVへの取り組みや魚病診断施設等の活動についての紹介があった
瀬戸内海区水産研究所より、有害物質部会の開催結果及び赤潮・貝毒部会の開催計画等についての説明があった。有害物質部会では新たな船底塗料に係る生態系リスク評価を重点的に検討した旨の報告があった。
水研センター栽培漁業部より、技術開発の現状、各栽培センターの活動、水研センター内での連携、各種研修会の取り組み等についての説明があった。また、トラフグ標識方法に係る質問があり、魚を対象としてイラストマー標識に代わる技術開発を行っている旨の回答があった。
中央水産研究所より、各研究分野をめぐる情勢及び当所の各研究部・センターによる調査研究活動の概要に関する報告があった。特に、「遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」については、これを徹底し遵守する必要があるため、ホームページ等を通じて情報提供するとの説明があった。また、水産総合研究センター及び中央水研における競争的環境、共同研究課題、主な競争的資金に関する情報提供について説明があった。さらに、中央水研の中長期展望についての説明があった。関連して、民間企業との共同研究では公開公募としなければならないとの考えがあるが、水研センターではどのように考えているかとの質問があり、關研究調査部長から、民間との共同研究の進め方については、そのことが国民の利益につながるとの観点が重要であり、水研センターにおいても規程の改定を進めているとの回答があった。
中央ブロック各都県試験研究機関より、漁海況の特徴、組織・予算、調査研究推進上の課題等に関する報告があった。黒潮の大蛇行に関連する漁海況、組織の統合や改編、人員削減や厳しい予算事情等が多くの機関で共通した内容であった。最後に、中央ブロック各機関からの情勢報告の概要についてとりまとめを行った。この中で、アウトソーシングを強化するとの動きに関して該当機関ではどのように対応をしているかとの質問があり、当該機関から、調査研究に直接関わりのある業務の外注も求められているとの回答があった。
(2)平成16年度における協議事項等のフォローアップ
・中央水産研究所より、平成16年度の中央ブロック水産業関係試験研究推進会議協議事項のフォローアップ/16年度の協議事項を踏まえた対応に関して、課題化活動の活性化、研究企画・連絡調整の強化、課題化検討ワーキンググループ(以後WG)、沿岸定線調査WGや水産経済連絡会等の活動内容、研究交流、成果情報や推進会議に係る連絡方法等、これまでの取り組みの成果や現状を報告した。
(3)ブロックとして取り組むべき事項に関する意見交換
・ブロックとして取り組むべき事項に関して、各県試験研究機関から出された要望等に対する中央水産研究所の対応案を説明し、討議を行い、以下に示した事項が了承された。
1)クラゲ対策については、部会での論議等を通じて各県の状況把握を行うとともに、漁具開発については水工研にも相談する。
2)アワビ等の栽培漁業の推進については、17年2月に農林水産省が栽培漁業の基本方針(水産動物の種苗の生産及び放流並びに水産動物の育成に関する基本方針)を公表しており、推進体制については栽培漁業ブロック会議の場で検討されている。推進方向については「論議の場をどうするか」を含め、18年度中に検討する。また、沿岸定着資源の変動のメカニズムを解明するためにはどこに着目すればよいか、アワビを中心に検討を進める。
3)漁海況事業のアピールについては、今年度は黒潮の大蛇行に関して情報をとりまとめ水研のホームページを通じて広報した。今後も成果の広報については、水研と水試で効果的な内容や方法等について部会のWGにおいて検討する。
4)水研センターの役割は、広域的な問題を解決するためにニーズを把握して研究の方向付けや課題化など、コーディネート機能を発揮することであり、今後もその強化に努める。
5)研究報告、事業などの成果情報や標識放流データを各機関でホームページに掲載し、インターネット上での相互リンクを促進する。
6)調査船の共同運航等について、ブロック場長会等で意見交換する場を設けることを提案する。
7)ブロック内各機関における共同研究や連携・協力を奨励する。ただし、知的財産の取り扱いは注意が必要であり、共同研究の場合、分担や成果の取り扱いについては事前に協議し、契約内容に所有権の取り扱いについて明確に示しておく。
8)我が国周辺海域の海洋調査、漁業資源調査について、今後も水産庁から委託を受けられるように、水研・水試のネットワークの維持と海洋調査に係る技術力の維持に努める。
9)競争的資金獲得のため、中央水研が広域的ニーズを把握し、課題化する等のコーディネート機能を発揮する。なお、カタクチイワシの利用とブリの回遊に関する研究については、すでに課題化し、水研センター交付金プロ研に提案中である。更に高度化事業等に関する情報を収集するとともに、課題化を促進する。
10)調査研究の活性化の上で、マンパワーの減少は大きな問題であり、業務対応の重点化や人材育成について検討を進める。
11)高度化事業等の外部資金獲得のためには、推進会議傘下の部会や研究会の活動を通じてニーズを把握し、課題化検討に時間をかけることが必要であり、普段の部会活動等を更に活性化させる。
12)地域特産種に係る調査研究は、原則として県単で対応できるものは各県で対応し、複数県にまたがるものは広域的なニーズを課題化し行政に提案する。
13)沿岸定線調査の予算は交付金化されたので、各県でその必要性をアピールする方法について定線調査検討WGで検討する。また、過去の調査資料から何が言えるか、先進県の例を参考に各県で資料を作成することを提案する。
14)技術の向上や研究交流の活性化のために、卵稚仔同定研修会等の研修会を今後も開催していく。
 その他、県水試から水産関係団体に対する分担金が負担になっているとの発言があり、各県機関の現状報告とともに意見交換を行った。
3.ブロックにおける調査研究活動について
(1)平成17年度部会活動について
平成17年度部会報告書(案)に基づき、各担当部長から①沿岸定線調査WGの継続、②キンメダイWGの継続、③海況予測モデルの精度向上と調査船調査の重要性のアピール、④黒潮大蛇行時等のタイムリーなプレスリリース、⑤クラゲ問題の情報交換、⑥調査船調査の経済的評価や水産業の多面的機能の評価に関する水産経済部への協力依頼、⑦沿岸浅海域WG・アワビ研究会の継続、⑧アサリ回復に向けた沿岸浅海WGの活動はアサリ資源全国協議会での活動に発展的に移行、⑨極沿岸域での環境条件に関する検討体制の整備等、平成16年度部会での合意事項の実施状況について説明がなされた。
(2)部会からの要望・提案に関する検討
平成17年度の新たな要望事項、取り組むべき事項、合意事項について、平成17年度部会報告書(案)に基づき、資源・海洋部会の担当部長から、①ミズクラゲ等と漁獲物を分離する漁具の開発、②キンメダイ資源研究、③イルカによる漁業被害防除技術の開発、④九州東岸から土佐湾における浮魚資源の動態に関する研究について検討結果の説明があった。また、シラスのデータベース構築、キンメダイWGの活動継続、黒潮内側域の富栄養化問題への対応、クラゲ問題の漁具開発等について、合意事項を取りまとめたとの報告があった。
 また、浅海増殖部会の担当部長から、①栽培対象種に関する技術的な情報交換の場の設置、②東京湾のアマモ場造成の連絡会議設立要請に関する対処方針の説明があった。また、アワビ研究会・沿岸浅海域WGの継続、アサリ漁獲量減少要因の把握とその対策技術に関わるプロジェックト研究についての合意事項を取りまとめたとの報告があった。
 最後に、平成17年度部会報告書(案)が了承された。
(3)平成17年度研究成果情報のとりまとめ
平成17年度中央ブロック研究成果情報(水産経済分野を含む24課題)について各担当部長から説明があり、内容及び字句等について検討した。指摘事項を追加・修正することを条件に承認することを確認した。
(4)その他
次年度の中央ブロック推進会議の運営方針を下記のように提案し、協議の結果、了承された。
1)運営方法については、効率的運営をめざし毎年ブロック推進会議構成機関と相談しながら改善を図る。
2)「ブロックとして取り組むべき事項に関する意見交換」に関しては、事前に意見聴取してテーマをしぼり、そのテーマについて意見交換する。
3)水研に対する要望事項等は毎年フォローアップして行く。
4)水研に対する具体的な研究ニーズや研究に関する要請は、17年度からは本部に提出することになったので、できるだけこのルートでニーズ等を提出願う。
5)外部研究資金獲得に向けた具体的検討は推進会議部会とその下の研究会、WG等を中心に行い、推進会議との間で相互にやりとりしながら課題化を進める。
4.その他(連絡事項等)
中央ブロックの連携・研究交流の強化のため、中央水産研究所のホームページによる情報提供について説明した。また、中央水産研究所研究成果集「研究のうごき(第3号)」を刊行予定であることを紹介した。

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