平成16年度内水面関係試験研究推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成17年2月9日 13:30~17:00
平成17年2月10日 9:30~12:30
場所中央水産研究所講堂
出席者所属機関及び人数     29機関 46人
結果の概要
議題結果の概要
1.推進会議並びに部会の運営について  水産業関係試験研究推進会議の運営方針の変更と中央水産研究所組織改正に伴う内水面関係試験研究推進会議の実施方針・運営体制の変更等について説明した。また、事務局から内水面関係試験研究推進会議運営細目(案)、資源・生態系保全部会並びに養殖部会の運営要領(案)についての提案説明があり、構成者及び参集範囲について事務局が再調整することで承認された。
2.内水面関係における連携協力について
(1)各機関からの情勢報告  水産庁、養殖研究所、中央水産研究所、各ブロック幹事県並びに各都道府県等から最近の水産業及び各機関をめぐる情勢等について報告があった。
 水産庁からは、アユ冷水病、カワウ被害、外来魚への対応等について報告があった。養殖研究所からは、平成16年度における活動状況、KHV、アユワクチン開発等の研究成果について報告があった。中央水産研究所からは、組織改正、特に内水面研究部の統合の経過や趣旨等について報告があった。また、内水面研究部の研究成果及び業務内容について、資料をもとに説明があった。
 5ブロックの各幹事県からは、水産業をめぐる情勢、調査研究をめぐる情勢並びに中央水産研究所への要望等が報告された。各ブロックの共通の問題として、アユの資源変動と冷水病、KHVの発生と対応、カワウや外来魚による被害と対応等があった。また、各試験研究機関において調査研究予算や職員の削減、組織再編等が行われており、内水面関係の試験研究機関のあり方や役割等、その存在意義が問われているとの報告があった。今後、内水面関係試験研究機関の更なる連携協力を強化し、共同研究やプロジェクト研究の実施、競争的資金の獲得等に取り組む必要があることを確認した。さらに、低迷する養鱒業への対策についても議論が行われ、新たな商品の開発やマーケットの拡大等に積極的に取り組む必要があるとの意見があり、養鱒技術協議会の事務局でも検討を進めるとの発言があった。
(2)平成15年度における協議事項等のフォローアップ  昨年度の協議事項等に関するフォローアップとして、アユや外来魚等については研究会を設置し、関係機関と連携しながら問題解決に努力している旨の報告があった。また、内水面研究部長から、要望があった内水面ブロック会議に参加して活発な議論を行った旨の報告とともに、今後も積極的に参加したい旨の説明があった。
3.調査研究活動について
(1)内水面関係として取り組むべき事項に関する意見交換  内水面関係の調査研究に係る中央水産研究所への要望と内水面研究部における対応について意見交換を行った。現在の研究会については、問題解決に向けた協議、情報交換、課題化への調整等が積極的に行われており、今後も活発な活動を期待する意見が多かった。また、外来魚問題、アユの海域における生態や生残機構の解明等への取り組みにおいて、情報の発信やまとめ役として更なる中核的役割を果たしてほしい旨の要望が出された。
 内水面場長会、湖沼河川養殖研究会、内水面推進会議の役割について意見交換したが、各々の会がそれなりの役割を果たしているという認識で意見が一致した。
(2)水産研究成果情報に関すること  資源・生態系保全部会並びに養殖部会に提出された31課題の概要並びに具体的データについて説明し、本年度の水産研究成果情報とすることが了承された。
(3)試験研究課題の実施状況に関すること  内水面研究部長から、各都道府県で実施されている内水面関連の386課題に関する分析結果の概要について、以下のとおりの報告があった。
239件が資源・生態系保全に関連する課題であり、アユ関連課題は67課題(28%)で最も多かった。以下、冷水性魚類関連43課題、環境保全等関連36課題、外来魚関連30課題、希少種等、ヤマトシジミ等、カワウに関する課題の順であった。
養殖関連課題(147件)については、約45%が疾病関連課題(66件)であり、養殖関連課題を実施している37県中31県(約84%)が疾病関連課題を実施し、各県ともに主要な課題に位置付けている。
(4)平成16年度の部会等の活動報告  平成16年12月7・8日に実施した資源・生態系保全部会並びに養殖部会の報告として、「アユ」、「外来魚」、「サクラマス」、「河川環境」の研究会等の活動について、以下のとおりの報告があった。
アユ研究会では、問題点の整理、ブラッシュアップ、課題化提案を行い、平成17年度開始の水産庁事業予算を獲得した。
外来魚研究会並びにサクラマス研究会では、ネットミーティングによる問題点の抽出や情報の交換等を行うとともに、全国規模の研究会を開催して、豊富な情報をもとに今後の駆除対策等について活発な議論を行った。
河川環境研究会では、中央水産研究所の所内プロジェクト研究予算を獲得し、河川構築物が生態系に及ぼす影響についてアンケート等による情報収集を開始した。
情報交換メーリングリストについては、研究責任者(部課(科)長級)を対象として、内水面に係わる迅速な情報伝達や議論の場とするため、さらに構成者の増員を図り、今後も運用を継続する。
4.研究ニーズに関すること  内水面研究部長から、各試験研究機関より提出された研究ニーズ(62件)を①アユ研究推進、②外来魚研究推進、③環境研究推進、④生物多様性研究推進、⑤遊魚・資源関係研究推進、⑥高品質研究推進、⑦養殖環境研究推進、⑧疾病研究推進、⑨その他の9つのグループに分類し、各々の取り扱いについて説明があった。また、協議の結果、以下のとおり取り決めた。
疾病については、「水産養殖関係試験研究推進特別部会魚病部会」に付託することとした。
アユ、外来魚、環境については、「研究会」が活動中であり、今回提出された研究ニーズは研究会等で整理を行い、具体的な問題点を抽出し、課題化が必要な場合には更にブラッシュアップして積極的に課題化提案を行っていくこととした。なお、アユについては、海域の生態や生残等が問題となっており、「海域」をキーワードとして、平成17年度向けの技術会議プロ研への応募中である旨の報告があった。
生物多様性、遊魚・資源関係については、すでに内水面研究部で実施している課題も含まれていることから、同研究室が中心となり、積極的に情報交換を行うとともに、プロジェクト研究や事業等への応募を検討することとした。
高品質、養殖環境については、内水面研究部育成生理研究室の業務でもあることから、同研究室が中心となり、メーリングリスト等を利用して積極的に情報交換や情報の共有化を図ることとした。また、問題の抽出と整理を行い、ネットミーティング等を通して課題化等について協議することとした。
5.その他  場所長クラスの連絡網の確立について協議が行われ、メーリングリスト、FAX等を活用して連絡を行うことで了承された。  なお、内水面推進会議は意見や情報の交換、協議の場として重要であるので、更に活動を強化してほしいとの要望があった。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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