平成16年度中央ブロック水産業関係試験研究推進会議
漁業資源・海洋環境合同部会報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成16年12月16日13:30~17日12:30
場所中央水産研究所 講堂
出席者所属機関及び人数 14機関 40名
結果の概要
議題結果の概要
1)推進会議の変更点と運営の考え方
企画総務部長より、水産庁委託事業で実施していた推進会議が今年度から水研センター主催で開催されることに伴う変更点、運営の考え方等について説明が行われた。また、企画調整課長より各部会の運営要領案の説明が行われた。
2)研究課題情報のとりまとめ結果の報告
各機関より水産海洋44課題、水産資源103課題が提出された。水産海洋の予算は水試では補助金、水研では技会プロ研が多く、水産資源の予算では水試・水研とも委託費が大半を占めた。
3)情勢報告(トピックス)
農林水産研究高度化事業への応募(千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山)、漁海況速報のHPでのアンケート調査(東京)、トビウオ類の資源研究(東京)、ブリの回遊生態調査(三重)、ミズクラゲ対策(大分)、浮魚礁「うみさち」の流速計を利用した黒潮流軸推定式の開発(宮崎)、水産海洋データベースの公開(水研)等のトピックスが報告された。
4)研究成果情報の検討
提出された海洋6件、資源8件、経済1件の成果情報を検討した。12月24日までにコメントを送付し、修正を加えて、1月の推進会議に提案することが了承された。
5)平成15年度要望事項の実施状況の点検
関東・東海海域における海況の短期予測技術の開発研究(千葉、三重):日本財団の助成事業(競争的資金)として「沖合海洋情報流通システムの開発」を継続し、商船フェリー等を活用した表層水温のリアルタイムモニタリングを実施し、その情報をインターネットや携帯電話により一般に公開した。共同研究に向けた取り組みはまだ実現の運びとなっていないが、水研センターでは、交付金プロジェクトとして「太平洋及び我が国周辺の海況予測モデルの開発」を開始した。
沿岸定線調査に係わる海況解析技術の研修会開催(千葉、静岡):沿岸定線WGの共同作業として、1963~2002年の沿岸・沖合定線調査データを時系列図にまとめ各機関に配布した。平成16年9月16日に漁海況情報分析検討会を開催し、「海洋環境調査データの解析法」、「ADCPデータの解析法」の講習を実施した。
キンメダイの稚魚期生態に関する研究(東京):キンメダイWGのメンバーにより、キンメダイ資源調査報告書案の検討、調査研究の情報交換、伊豆半島東岸の定置網に混獲されるキンメダイ幼魚の情報収集、資源回復計画についての意見交換、年齢査定や年齢別CPUEによる資源状態のモニターの重要性の再確認等が行われた。また、計量魚探のTS値推定を水産工学研究所に依頼すること、資源回復計画への対応が明確になるまでWGの活動を継続すること等が了承された。
ブリの生態に関する調査研究の強化(三重):平成16年度所内プロ研において、ブリ漁場である三重県片田定置網にリアルタイム水温情報システムを構築し、各地に設置されたメモリー式水温水深計データの解析と併せて、ブリ来遊時の海況条件の把握に取り組んだ。また、資源評価調査において、宮崎県、三重県、千葉県への標本精密測定調査の委託、漁場一斉調査で得られたモジャコの耳石解析等により、成長と成熟の解明に取り組んだ。さらに、三重県と共同で記憶式標識の装着・放流調査を行った。なお、日水研より我が国周辺のブリの生態に関する水研センタープロ研が提案され、中央水研・三重県も参画する予定である。
6)平成16年度の新たな要望事項
伊豆諸島八丈海域のカツオ漁期における黒潮変動の短期予測(東京):中央水研は各種事業や調査研究で得られる情報を提供する。特に、現在実施している海況予測モデル開発の成果は黒潮変動の短期予測にも活用できることから、資源海洋研究会および部会で具体的な成果を紹介することとした。
蛍光抗体法による卵稚仔の種判別手法の開発(東京):モノクローナル抗体作成には多額の費用がかかるため予算の確保が問題となるので、当面、種判別技術が必要となる魚種を関係機関と相談しながらリストアップする。当所生理特性研究室が対応する。
潮汐除去プログラムを使った残差流マップ作成(和歌山):西海区水産研究所でソフトウェアを開発しており、配布は可能である。当所海洋生産部海洋動態研究室が対応する。
浮魚礁うみさちのデータを活用した調査研究の推進(宮崎):貴重なデータを海況予測モデルの開発に活用し、その成果をフィードバックすることで相互に研究を推進することとした。当所海洋生産部海洋動態研究室が対応する。
7)ブロックで取り組むべき事項
東京ー小笠原父島に就航する高速船への水温計設置(東京):資源動向要因分析調査で本年度より実施の運びとなった。
長期予報会議の位置づけの明確化(和歌山):現在、長期予報会議は水産庁から水研への委託事業の一環として位置づけてられている。国の補助事業がなくなった場合、水研センターとしては漁海況予報と資源評価との関係を明確にして、再委託による対応を検討したい。ただし、この場合でも調査船などの運航は都県負担となり、調査能力のある都県に再委託するということになるのではないかと思われる。
漁海況長期予報のプレスリリースのあり方について(宮崎):決定事項の(3)
8)部会における決定事項
(1)既存のWGの活動について、沿岸定線調査WGは平成18年度の資源評価調査事業の見直しの際に沿岸定線調査をどのように位置づけるかについて意見交換のために継続する。キンメダイWGは資源回復計画への対応が確定する平成17年3月まで意見交換のために継続し、その後については必要性を再検討する。課題化WGは資源評価調査および動向要因分析調査等を通して課題化の素材を蓄積し、資源海洋研究会において課題の絞り込みと課題に即した構成員によるWG案を検討し、部会に提案する。
(2)海況予測モデルを利用した海況の中・長期予測を出口に、中央ブロック内における関係機関の連携の下、海洋観測や調査船調査の重要性をアピールするように取り組む。同モデルは短期予測にも応用できるが、まだ精度が十分ではないので、海洋情報の交換を円滑にして精度の向上をめざす。
(3)黒潮大蛇行などの大規模な海況変動が起こりそうな場合、関係機関で連携協力して随時、臨時ネットワーク会議を開催し、タイムリーなプレスリリースをめざす。また、最新の情報を収集した調査船の船名等もアピールする。
(4)クラゲ問題について各機関ともその研究の必要性を認識しており、今後も資源海洋研究会や部会等において情報交換を行う。
(5)研究成果情報について各機関による水研センターHPへの直接入力は負担が大きいとの指摘があった。そのため、各機関のHPに掲載された研究成果情報を水研センターHPにリンクすることにより対応できないか、水研センター本部に検討を要望する。また、HPの対象者を明確にするようにとの要望があった。
(6)調査船を含む調査研究の波及効果および水産業の多面的機能等を経済的に評価するモデル開発の必要性が認識され、中央水研水産経済部にこれらの面での協力を依頼する。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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