平成16年度水産利用関係試験研究推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時平成16年12月23日(木)13時から16時30分まで
開催場所中央水産研究所 講堂
出席者所属機関及び人数80機関103名
結果の概要
議題結果の概要
1.推進会議の運営方針の説明  中央水産研究所企画総務部長は、15年度までの運営方法を見直し、都道府県試験研究機関と団体を合体して運営する推進会議と部会に改め、研究会は都道府県・団体・大学・企業等へ開かれた場に改善すると供に、補完機能として幹事会を強化し、一層の連携強化と効率的運営を図ることを目的とした水産利用関係試験研究推進会議の運営方針の説明を行った。
2.農林水産省からの関連事業の説明  農林水産省の総合食品局食品産業企画課技術室長から民間対応だけでなく研究機関向け予算も配置していること等について、消費安全局消費安全政策課企画調整係長から貝類(ホタテ、カキ)のトレサビリティーガイドライン策定等について、技術会議事務局研究調査官から「先端技術を活用した高度化事業」の17年度拡充等について説明があった。
3.水産庁からの関連事業の説明  水産庁の漁政部加工流通課長補佐からバイオマス利活用フロンテア事業が「三位一体改革」により都道府県への予算の流れは現時点で不透明であるが、質問(宮崎県)を受けて17年度も前年通り計画を提出されたい旨説明があった。研究指導課長補佐から、国と地方の関係が変わりつつあり、また行政にも熾烈な競争原理が導入されている。水産加工産業はグローバルスタンダードたり得る技術で水産物の輸出振興を図ることが重要である等挨拶を兼ねた説明があった。これに対して中国向けのブナサケの輸出が増加している話題提供があった(北海道)。増殖推進部研究指導課海洋技術室課長補佐から水産バイオマス資源化事業の前倒し方針等について説明があり、質問(東大渡部教授)を受けて18年度より海藻のエネルギー利用化を目標にカスケード利用を含めて検討中であるとの補足説明があった。
4.関係独立行政法人からの事業説明  食品総合研究所機能性部長から「食品総合プロジェクト」の機能性研究に関して財務省から厚生関連マータとの指摘を受け現在調整中との説明があった。(独)農林水産消費技術センター技術指導部長及び(独)国際農林水産業研究センター水産部長からそれぞれの関係事業内容の説明があった。
5.都道府県の重点課題について(6ブロック幹事から)  北海道ブロックは、ホタテ乾し貝柱の非破壊水分計測等(トレサビリティ関係)、ウニ・エビの腸炎ビブリオ対策等(安心安全研究)の他、未利用資源利用研究(バイオマス関連)が重点課題である。東北ブロックは新製品開発、未低利用資源利用(バイオマス関連)等幅広い課題が重点とニーズであり、特にカタクチイワシの有効利用技術開発が緊急の課題である。中央ブロックはカツオ残滓の機能性研究、鮮度・ヒスタミン計測(トレサビリティ関連研究)の他、カタクチイワシやサメなど未低利用資源の有効利用研究が重点課題である。近畿・中国・四国ブロックは海藻及び加工残滓の有効利用研究(バイオマス関連)、及び深層水利用研究が重点課題である。九州ブロックは養殖魚等の活締め脱血処理など高品質保持技術、海藻等機能性研究(バイオマス関連)等が重点課題である。日本海ブロックは、多様な低利用資源活用の新製品開発技術、温暖化傾向によるメダイ、ガンガゼ等の新種利用技術開発等が重点課題であり、また研究予算の減少傾向の説明があった。
6.関連団体の研究・事業ニーズについて(4団体幹事から)  日本分析センターは、ダイオキシン・内分泌かく乱物質等化学物質リスク対策、マグロ水銀分析、貝毒測定キット開発が、海洋水産システム協会は、カタクチイワシの高品質処理技術の開発、トレサビリティシステム開発が、全国蒲鉾水産加工協同組合連合会は、水晒しによる水銀の除去効果、カマボコアレルゲンの検査方法、かまぼこの機能性について、マリノフォーラム21は、海藻・投棄魚・生産阻害生物等を活用したバイオマス利用技術開発等に、高いニーズがあるとの説明があった。
7.中央水産研究所の重点課題について  利用加工部長は、平成16年度は利用加工関係研究は39課題を実施し、廃棄物利用及び機能性開発などのバイオマス関連研究(38%)、トレサビリティーに関連する原料原産地判別技術等を含む安心・安全研究(33%)、素材開発研究(15%)と、リスクが高く先導的基盤的研究が全体の87%を占め、加工業界密着型研究は13%であると報告した。「DNA解析による加工品原料の種判別技術開発」や「水産食品の組合せの健康機能解明」が成果として特筆されたこと、予算的には競争的資金が20課題で84%の大部分を占め、交付金が14課題で10%、水産庁事業が5課題で6%であることを説明した。
8.連携協力の重点課題のまとめ  利用加工部長が重点課題、ニーズの集計結果について報告した。都道府県及び団体の16年度に実施している課題は、新製品開発、鮮度保持、品質改善等の地域・業界に密着型課題が63%を占め、廃棄物利用、機能性、安心・安全等高リスク先導的基盤的研究課題が37%であった。これに対して、今後取り組むべき研究ニーズの集計結果では、安全・安心分野(29%)、廃棄物利用・機能性研究(29%)と高リスク先導的基盤的分野の要望が58%と増加した。
 第1回幹事会(16/12/2)、第2回幹事会(16/12/13)で、以上の集計結果を参考に協議した結果に基づき検討した結果、研究ニーズの高かった地域業界密着型課題として「カタクチイワシ、サンマ高度利用」を、先導的基盤的課題として「トレサビリティー」、「水産バイオマス」の3課題を16年度の重点課題として部会で協議することを報告し、事後承諾を得た。
9.推進会議の運営について  冒頭説明された推進会議の新しい運営方針について協議し、17年度も引き続き本方針で実施することが了解された。なお、利用加工関係の試験研究機関は、ブロック推進会議と異なり農業機関や工業機関と合体するなど、組織体系が複雑であるので連絡に齟齬がでないよう要請があった(青森県)。
10.幹事会の役割と幹事機関の選出について  本推進会議は出席者が多いため、充分な議論が尽くせるよう重点課題を絞る、成果情報課題の予備審査を行う等、推進会議の円滑な運営を補助するために幹事会を設ることが了承された。幹事の選出については、幹事は個人ではなく幹事機関として都道府県6ブロックからい1機関ずつ、団体からは4機関を選出することが了承された。幹事機関は2年継続、半数交代制とすることについて、中央ブロックは加工関係機関が少ないため、特定県に集中する傾向があり問題である(千葉県)との発言あり、この問題については17年度の幹事会で再度協議することが了承された。
11.成果情報について  品質管理研究室長が第1回幹事会において検討された予備審査の内容について説明し、予備審査の指摘事項に基づき修正作業を進めることが了承された。成果情報の入力方法について、煩雑で手間がかかるので改善を要求する質問(静岡県)があり、本部と協議し善処すると回答した。
12.連絡事項(資料配付) 1)全国水産加工総覧出版の経過報告。
2)勉強会と事業採択状況。
3)平成16年度地域水産加工技術セミナー開催状況。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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