平成15年度内水面関係試験研究推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成16年2月18日 13:30~17:00
場所中央水産研究所講堂
出席者所属機関及び人数     13機関 23人
結果の概要
議題結果の概要
「水産研究・技術開発戦略」の達成状況に関すること  中央水研から内水面関連の課題の分析報告があった。提出された課題はアユ関連94課題、外来魚関連35課題、環境保全39課題、サケマス関連81課題、疾病関連57課題、養殖技術49課題等であった。
 「水産研究・技術開発戦略」の達成状況の把握に関して本年度本部で整理が行われた。それによれば、国が支出した予算で行った課題が分析対象となり、県独自が立案、実施した研究課題は該当しない。しかし、調査・研究や新たな研究、事業の構築、連携、協力を得る情報等として県の課題の収集は必要であることから、中央水研から今後とも課題の提出を要請し、了承された。
研究課題の重点化及びその内容に関すること  昨年度重点項目課題にとりあげたアユ、外来魚等について問題解決に向け積極的な対応を行った旨報告し、引き続き関係県と連携しながら問題解決に努力することとした。
 社会的に大きな問題となっているコイヘルペスウィルス病(KHV)に関して、水研センターの対応、各都道府県の対応及び全国内水面漁業協同組合連合会が行った河川放流に関する緊急実態調査について報告があった。水研センター本部からは、養殖研究所が技術会議予算の「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業」に「コイヘルペスウィルス病の診断・防疫技術の開発」で応募した旨報告があった。特定疾病のため排水施設などの装備が必要となり、各都道府県の参加は難しいが、養殖研の魚病部会の下部に「コイヘルペスウィルス病研究会」を設置するので、各都道府県は積極的に参加して欲しい。また、迅速な情報伝達が必要との認識から、内水面推進会議としてメーリングリストを構築して欲しい旨の要望があり、内水面部長が検討することとなった。
研究ニーズに関すること  各試験研究機関より内水面両部会へ提出された121件の研究ニーズについて、重要度・緊急性を考慮して、①アユ推進、②外来魚推進、③環境推進、④生物多様性、資源推進、⑤疾病推進、⑥養殖推進、⑦その他、の7グループに整理した。
研究推進体制に関すること  上記ニーズへの対応方策を下記の通り提案し、熱心な協議の後、了承された。なお、問題解決に向けたワーキンググループ等の運営については、各都道府県の内水面関係試験研究機関との相互協力の下に実施されることが必須であることを確認した。
(1)「アユ推進グループ」については「アユワーキンググループを設立し、可能であれば外部資金を目指し、具体的なニーズ、問題点の抽出等の分析、課題化へのブラッシュアップ等を行うとと共に、各県と連携・協力して調査・研究を行い問題に対応する。
(2)「外来魚推進グループ」については、研究会等を開催し各県試験研究機関との相互協力により、平成15年度に提示された「繁殖制御マニュアル」に基づき、多様な環境下でのマニュアルの実践と効果の確認を行う。また在来魚が外来魚を減らす効果についても検討し、駆除によって生態系への影響が軽減される過程を解明する。可能であれば、外部資金の獲得を目指す。ブルーギルの駆除対策については、効果的な駆除技術についての知見を開発し有効な方法が開発された段階で実践を行う。
(3)「環境推進グループ」については、河川構築物などの実態調査アンケートを実施し、現状把握を行い、分析を行った後、可能であれば、外部資金獲得のためにWG、研究会を設立する。
(4)「生物多様性、資源推進グループ」については、中央水産研究所資源生態部門、内水面利用部の専門家と積極的に情報交換を行うと共に、今後の適切な対応ぶり(プロジェクト、事業への挑戦を含む)について検討する。特に、サクラマス資源回復に係る関連課題については、サクラマスグループを発足させメーリングリスト等の連絡網を活用し、密接に情報交換を行い検討する。なお、海面の研究との連携が必要であるとの意見があった。
 前項以外のグループに関しては、内水面推進会議から対応する専門分野研究推進会議等にニーズを送付したが、「養殖推進」には将来養殖研日光支所が行わなくてはならない業務が含まれており、日光支所の専門家と積極的に情報交換、情報の共有化を図ると共に、予算化に向けた対応について検討をする必要がある。なお、内水面に係わる緊急問題、日常的な問題の共有化、共通認識、また内水面ブロックを超えた迅速な情報伝達、議論の場として、研究責任者(部課(科)長級)を構成者としたメーリングリストを構築するが、強制的なものではないことを説明した。
研究成果に関すること  資源・生態系保全部会及び養殖部会での検討内容とそれをふまえた改訂作業について説明を行った後、本会議に提出された17課題について協議を行い、内水面関係の成果情報として了承した。中央水研から、水産研究成果情報の提出は強制ではないこと、各都道府県が成果の宣伝の場として積極的に利用されることを期待している旨説明があった。
その他  推進会議を実施している水産研究総合対策事業が中止となる見込みであるとの状況をふまえ、推進会議の在り方、内水面推進会議へ期待などについて活発な意見交換を行った。内水面推進会議を内水面研究分野の連携の中心的機構と位置づけ、更なる内容の充実と実効性を期待するとの意見が出された。また養殖推進会議と本会議との仕分けなどについて質疑応答があり、今回のような内水面推進会議であれば、意見・情報交換、協議の場として重要であるので、今後も継続して欲しいとの意見があった。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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