平成15年度中央ブロック水産業関係試験研究推進会議
海区水産業研究部会報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成15年12月17日13:00~18日16:00
場所中央水産研究所 講堂
出席者所属機関及び人数 18機関 46名
結果の概要
議題結果の概要
1)最近の情勢について
最近の科学技術、農林水産業、水産総合研究センターをめぐる情勢について企画連絡室長より説明があった。また総合科学技術会議と委託プロジェクト研究について研究指導課より説明があった。また各機関より本年度の情勢について報告があった。
2)平成14年度要望事項等のフォローアップ
アサリ資源回復に向けた具体的研究・事業実施体制の確立(千葉県・愛知県・三重県・高知県):
平成15年3月にアサリ検討会を開催し、水研側窓口、グループ世話役、今後の活動方針を決めた。その後、メーリングリストを立ち上げ、各県の情報を交換し、共通認識に立ってアサリ資源の問題点を整理し、事業課題を模索している。8月の水産庁主導によるアサリ資源全国協議会の立ち上げにより、現在、全国協議会ブロック分科会と共同歩調をとりながら、平成16年度水産基盤整備事業への応募を前提とした課題案の整理とブラッシュアップを行っている。
栽培資源の評価・管理手法の開発について(鹿児島県):
関係都県と連携した競争的資金等の獲得に備えるため、中央水産研究所経営経済部が対応して、所内プロに課題名「栽培漁業の経済・社会的評価手法の解明」で応募したが、不採択となった。
クラゲの大量発生の原因究明と漁業被害の実態把握並びに防除対策について(静岡県):
エチゼンクラゲの大発生で、「行政対応特別調査による研究開発に係わる委託事業」が開始された。また、H16年度先端技術を活用した農林水産業研究高度化事業の立ち上げが予定されている。
ノリ養殖における細菌性疾病の発生機構解明と病除対策の確立(愛知県):
8月、佐賀県・福岡県・愛知県からH16年度先端技術を活用した農林水産業研究高度化事業に応募の希望と、中核機関要請を受けて、11月に応募課題の骨格を関係各県に提案したが、既に関係県は県単予算で動きだいていることから、今年度は応募を断念した。3月中旬に長崎で開催予定の先端技術等地域実用化研究促進事業年度末報告会において、これからの対応を検討する。
藻場の環境保全・磯焼けの原因究明、及び海洋深層水放水の藻場等への影響調査、藻場修復への利用(高知県):
「沿岸浅海域WG」の共同研究がH15年4月から開始され、その中で実施中である。
3)研究交流・連携に関すること
暖流系アワビ類の資源変動機構の解明に関する研究の強化(千葉県):
海区水産業研究部会に設置されている「沿岸浅海WG」に8つの研究機関が参画し、競争的資金獲得に向けて研究を行っている。提起課題については、上記WG・アワビ研究会において検討したい。なお、平成16年度の先端技術等を活用した農林水産研究高度化事業の研究領域設定型研究の中の地域領域設定型研究における水産分野の領域候補課題として、東海ブロックから「暖流系アワビ類の資源変動機構の解明に関する研究」が提案されている。中央水研では所内プロ研を立ち上げ、先端技術等を活用した農林水産研究高度化事業の予算獲得に向け研究を強化している。今後、地域領域設定型研究における水産分野の領域候補課題に上がった時点で、対応体制を検討する。
アユ仔稚魚の内湾生活期に関する研究(東京都):
内水面関係試験研究推進会議、資源・生態系保全部会において、アユの資源増大に向けての研究の取り組みが予定されていることから、関係県はWGへの参画で対応し、海区水産業研究部は内水面利用部と体制等について具体的進め方を検討する。
4)成果情報について
提出された6件の情報について検討した。若干の修正を加えて、1月14・15日の推進会議に提案することが了承された。
5)総合討論
事業予算の確保が難しくなっていることから、都県における研究の課題化と予算化・スケジュール等について情報を交換した。主要な意見は下記の通りである。
ノリ疾病の課題化、生態系の研究において、海藻分野の専門家が少なく、競争的資金獲得に支障がでている。その分野の強化を希望する。
補助金方式は限界、水産予算に軸足をおきつつ、競争的資金、広い意味での公的資金を獲得できる条件整備が必要である。
都県は短期間の成果が望まれることから、先行的な基礎研究を水研が行う等の研究分担が必要である。
予算のスケジュールは都県間で多様であり、国のスケジュールとの整合性がないことから、課題化をスムーズにするため、アンケート等を行うこととした。
先端技術を活用した農林水産研究高度化事業のうち地方領域設定型研究における水産分野の研究領域候補の選定にかかる都道府県ブロックが「東海ブロック」と「瀬戸内海ブロック」になっており、推進会議の「中央ブロック」と一致しないことから、中央ブロック全体、特に和歌山以西の太平洋側県の意向が反映されにくいので、研究領域候補の選定にかかる都道府県ブロック区分の再検討を推進会議に提言することとした。
また、地域領域設定型研究における水産分野の領域候補課題が水産庁、技術会議でどのような観点から採択されたか分析することが今後の資金獲得上で重要であることが指摘され、検討することとした。
部会として上部推進会議に提言することとして、昨年同様に、沿岸域における海洋環境をモニタリングするための機器類の整備を要望・提言することとした。
3部会合同および海洋環境・漁業資源合同部会について、総合討論の項目を事前に整理しておくこと、また議論の時間を十分に確保することに留意して、次年度もこの形式を継続することとした。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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