平成15年度中央ブロック水産業関係試験研究推進会議報告書

会議責任者中央水産研究所長
開催日時及び場所日時平成16年1月14日(水)13:30~17:30
1月15日(木)9:30~12:00
場所中央水産研究所(横浜市金沢区福浦2-12-4)
出席者所属機関及び人数     25機関  42名
結果の概要
議題結果の概要
「水産研究・技術開発戦略」の達成状況に関すること   本年度、水産総合研究センターが策定した「『水産研究・技術開発戦略』の達成状況の把握と評価」のための具体的な作業内容とスケジュールについて説明を行った。また、今後のブロックとしての対応について、以下の提案を行い了承された。
〔提案〕:この件に関する作業は基本的に水産総合研究センター内部で実施できることから都県単独で実施している課題等については提出していただく必要はないが、ブロックにおける共同研究の推進や研究・事業課題の提案等のためには、ブロックで推進されている研究について共通認識を持つことが必要であり、課題の収集と整理については、次年度以降もこれまで通り継続したい。
研究課題の重点化及びその内容に関すること。  14年度会議において対応方針を決定した海洋環境部会関係5件、漁業資源部会関係4件、海区水産業研究部会関係6件の研究課題等(研究ニーズ)について、その後の部会等における検討結果と活動の内容及び16年度以降も継続して取り組むべき課題に関する活動方針等を報告し、了承された。主な取り組みは、以下の通り。
(1)黒潮流路変動要因の解明と予測手法の検討、定線調査事業の見直し・充実(神奈川県提案):沿岸定線調査等WGの共同作業として水温・塩分データのデータベース化を実施中。ブロックの共有資産として解析手法の検討に活用するとともに「海洋環境基本図集」の編集を計画。
(2)掲示板の設置(中央水研提案):検討を行ったが、セキュリティと管理の面で問題があることが分かり、メーリングリストでの対応を決定。
(3)キンメダイの資源生態研究(東京都提案):キンメダイWGを設立し、「キンメダイ資源調査報告書」のとりまとめ、ミニシンポの開催等の活動を実施。今後も「資源評価調査」と連携してWG活動を継続。
(4)アサリ資源回復に向けた具体的研究・事業実施体制の確立(千葉・愛知・三重・高知県):「海区水産業部会/沿岸浅海WG」にアサリグループを作り、活動体制・方針を決定。情報の共有化を図り、事業課題を検討中。中央水研は、16年度向け交付金プロに提案中。
(5)ノリ養殖における細菌性疾病の発生機構解明と病害防除対策の確立(愛知県):愛知県他からの技会「高度化事業」提案のための中核機関の要請を受け、中央水研が提案課題の原案を作成したが、16年度向け提案は断念。今後の対応を検討中。
研究ニーズに関すること
1)本年度ブロックから提案のあった6件の研究課題等(研究ニーズ)について、部会等における検討結果に基づいて、対応策を提案し、了承された。提案した研究課題等と対応策は、以下の通り。
(1)関東・東海海域における海況の短期予測技術の開発研究(提案:千葉・静岡・三重県):フェリーを使ったリアルタイムモニタリングデータの活用、提案中の交付金プロ「海況予測モデル」との連携、「高度化事業/広域ニーズ・シーズ対応型研究」への応募等で対応。
(2)沿岸定線調査に係わる海況解析技術の研修(提案:千葉県):現在実施中の沿岸定線データのデータベース化を早急に完成させ、これを用いて研修と共同解析作業を実施。
(3)キンメダイの稚魚期生態に関する研究(提案:東京都):「資源評価調査」の中で連携して資源動向のモニター、沖合域の卵稚仔調査及び加入量調査を利用して情報収集、漁業資源部会での情報交換・協議等で対応。
(4)ブリの生態に関する調査研究の強化(提案:三重県):実施中の定置網等の漁獲・水温データの収集・解析の他、記憶式標識を使った放流試験の実施、「資源評価」での情報収集の強化等を計画。
(5)暖流系アワビ類の資源変動機構の解明に関する研究(提案:千葉県):「沿岸浅海WG/アワビ研究会」で具体的な研究計画を検討。
(6)アユ仔稚魚の内湾生活期に関する研究(提案:東京都):内水面利用部と海区水産業研究部会との連携を強化し、課題化を検討。
2)上記課題への対応等、ブロックでの共同調査・研究の実施にあたっては、可能な限り共同研究契約を交わして実施することを申し合わせた。
3)平成16年度から技会「高度化事業/研究領域設定型研究」に「地方領域設定型研究」が新設され、東海ブロックから「暖流系アワビ類の資源変動機構の解明に関する研究」を提案したが不採択となった。この件に関して、3部会合同の提案として、①「地方領域設定型研究」はブロック活動にとって重要であり、部会等で16年度の結果を分析して提案能力を高める、②課題提案の単位である都道府県ブロックの区割りが中央ブロックに不利であり水産庁に改善を求める、との報告があった。後者に関して、参事官から17年度提案に向け改善を検討したい、との発言があった。
研究推進体制に関すること
1)中央ブロックの水産関係試験研究機関の組織改革が急速に進行している状況をふまえ、「組織の情勢」に関する共通認識を形成する、情報を今後想定される組織改革や新しい組織の運営の参考にする、「組織の情勢」をブロック内の連携協力のあり方等の検討に活かす、を目的として「組織改正等に関する情報交換」を実施した。その結果、
都県の殆どで最近組織改革を実施した、あるいは計画されている。
全産業・農林水産・水産分野での統合、将来の独法化、業務委託等様々な形態の組織改革が実施/計画されている。
組織改革と同時に予算削減、人員削減が求められている。
他産業分野との統合、独法化等の場合、普及・行政との乖離が懸念される。
等の情報が集約された。
 情報交換の結果、推進会議等によるブロックの連携・協力においては、研究者の交流・育成、研究課題の企画・提案等、研究・業務推進能力の向上や予算獲得に直接結びつく取り組みがますます重要となると判断された。
2)16年度予算の状況が厳しいこととも関連して、中央ブロック各都県に今後の推進会議のあり方について意見を求めたところ、全ての都県から、「ブロック推進会議は幅広い情報を得ることができ有益であり、今後も継続すべき」との趣旨のご意見をいただいた。また、多くの場所長から、「全国推進会議は、他の推進会議との重複が多く改善を期待する」とのコメントをいただいた。
3)本年度初めての試みとして漁業資源部会、海洋環境部会、海区水産業研究部会を合同で開催したが、利点が多かったことから次年度以降も継承することが合意された。
研究成果に関すること  中央水研から8件、都県から12件の研究成果情報が提出され、研究内容、専門、対象、分類について検討を行い、一部修正とブラッシュアップを行って全ての課題を中央ブロックの研究成果情報として本部に提出することとした。なお、愛媛県から3件の成果が参考情報として紹介があった。
その他 中央水産研究所における研修生及び依頼研究員の受け入れに関して説明があった。また、中央水研図書資料館の利用に関して提供できるサービスについて説明があった。

nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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