- 会議名: 平成21年度中央水産研究所運営会議
- 開催日時: 平成22年2月26日(金)13:30~17:10
- 開催場所: 中央水産研究所 横浜庁舎3F 国際会議室
- 出席者所属機関及び人数:
- 平成21年度外部委員
- 長谷川 保 (神奈川県水産技術センター所長)
- 西田 睦 (東京大学海洋研究所長)※当日欠席のため別途内容を説明済み
- 木村郁夫 (鹿児島大学水産学部教授)
- 重 義行 ((社)大日本水産会顧問)
- 白石ユリ子 (海の幸に感謝する会「ウーマンズフォーラム魚」代表)
- 中央水産研究所出席者
- 所長内田卓志
- 業務推進部長松尾 豊
- 業務推進課長小西光一
- 業務推進課課長補佐田中 博
- 業務推進課企画調整係長深澤俊仁
- 業務推進課業務推進係長久保田直樹
- 業務推進課情報係長吉田 大
- 業務管理課長小山 勉
- 図書資料館長田渕 誠
- 水産経済部長田坂行男
- 海洋生産部低次生産研究室長杉崎宏哉(海洋生産部長代理)
- 資源評価部長堀川博史
- 浅海増殖部長輿石裕一
- 内水面研究部長北村章二
- 利用加工部長村田昌一
- 水産遺伝子解析センター長中島員洋
- 海洋データ解析センター長渡邊朝生
- 蒼鷹丸船長寺田 靖
結果の概要
- 1.所長挨拶
- 所長から運営会議の開催について、政権交代や独法の抜本的見直し等水研センターを取り巻く昨今の情勢と組織としての説明責任を中心とした開会の挨拶があった。
- 2.委員等紹介
- 業務推進課長から資料確認の後、今回の外部有識者委員および所内出席者の紹介があり、続いて業務推進部長が座長に指名されて議事に入った。
- 3.議事
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- (1)平成21年度運営方針について
業務推進部長から資料(中央水産研究所運営会議開催要領)に基づき、本会議の目的と議事進行案の説明があり、了承された。続いて、昨年度の運営会議における委員意見等の紹介とこれらに対する今年度のフォローアップ状況について報告があった。
- (2)研究開発の現状について
業務推進部長から、1)今年度の課題6項目(①大きな組織内での迅速な意思疎通、②地域~全国の広範囲な対象、③施策への貢献と成果の還元、④事務事業の透明性確保、⑤交付金の定率削減、⑥ISO認証取得について対応概要、2)所の運営と研究成果の概要、3)所の広報活動、4)所が行っている連携・協力、について内容説明があった。これに対して、各委員から以下の意見があった。
- 長谷川委員: 運営費交付金による研究課題の中で、所内プロ研・シーズ研の役割や期間等については、最近は県でも予算が少ない中ですぐに成果を求められており、研究期間の設定について県でも悩む所であるので参考になる。また今後のモニタリングの位置づけについて、研究機関では研究か調査か対応を整理しなければならないかも知れないので、所内での認識を考えて行く際に大切であると考える。
- 重委員: ISO認証取得から改正省エネ法対応への体制変換については、環境を取りまく社会情勢の変化に対応し、かつ費用対効果を考え、これまでの活動を生かしたより現実的な取り組みと理解してよいか。
- 木村委員: 広報について国民一般への方は難しいものがあるが、ソフト面で興味を引き出す一つの方策として、食品としての魚の視点により中央水研の特色を生かした方が有利ではないか。例えば鯛は何月が美味しいとかを科学的観点から分かりやすく紹介してはどうか。
- 白石委員: 日頃一般国民を相手にしている立場として、せっかく上げた成果を一般国民に伝える技術が不足しているのはもったいないと思う。もっと広報の専門家を活用してはどうか。
続いて、各研究部およびセンターから今年度の成果の概要説明があった。これらに対して、水産経済部ではリーマンショック後の国際規模での水産経済変動を考えた研究の重要性、海洋生産部ではアサリ研究での成果と今後の利用面の展開、浅海増殖部では天然ウナギの産卵生態解明、資源評価部では資源量推定の方法の仕組み、内水面研究部の研究課題「河川工作物等が漁場環境に与える影響の解明とその軽減手法開発」の成果に関連した国交省関係者との連携、利用加工部では貝毒解析技術の開発における国際レベルでの重要性、水産遺伝子解析センターではDNA情報を公開と組換え技術の国際的競争との関係、海洋データ解析センターでは海洋データモデルの応用面について、それぞれ意見交換が行われた。
- (3)研究支援部門の業務の概要
業務推進部長から1)職員数の変遷、2)所予算の変遷、3)経費削減への取り組み、4)業務の透明化・効率化、5)図書資料館業務の現状(水研C全体と中央水研の両面から)、6)調査船の研究調査業務、について過去4年間のデータ集約を基にした概要報告があり、これらに対しては特段の意見はなかった。
- (4)委員講評
- 重委員: 中央水研では立派な研究成果が上がっていると思う。一方、なぜここが「中央」という名前なのかを考える時であり、単なる全国対応ではなくて、今後の事業仕分け等の荒波を乗り越えるためにも、水研センター内外との連携が行われていることを一般に分かりやすく示した方が良いというのが今回の感想である。
- 長谷川委員: 研究で頑張っておられる様子は良く分かるが、外からの理解に対し研究機関として、これが柱であるというものを常に心がけていた方が良い。一般の方々により知ってもらう努力も必要だが、通常(本来)業務とのバランスを取りつつ行って行くのが良い。
- 木村委員: 中央水研ほど幅広い部門がそろっている機関はなく、成果も最先端の部分で上げているのは事実である。一方で企業は数年先を見た戦略が必要であるので、得られたデータが業界で有効に利用できる様な取り組みも必要と思われる。他の省庁との連携でEUのHACCAP等に対応する際の中核機関として期待する。また、水産経済や水産加工の部門の存在は貴重であるので全国的なリーダーシップを期待している。
- 白石委員: 今、日本の子供たちは魚を見ないで育っている現状がある。そんな中で中央水研があって日本の水産と魚食文化に貢献する業務をしているということを知らせなければならないが、少なくとも消費者には届いていないと思われる。これからは日本人と魚の大切な関係も含め、何らかの方法で一般の方々に知らせなければならない。何かしらの一般向けの“マップ(小冊子)”が必要と思われるので、この点での取り組みを期待する。
- 4.閉会挨拶
所長から今回の提言を謙虚に受け止め、今後の運営に生かして行きたいとの挨拶があった。