平成20年度
中央水産研究所運営会議
概要報告
開催日時:平成21年3月13日(金) 13:30~17:30
開催場所:独立行政法人水産総合研究センター
中央水産研究所 3F 国際会議室
出 席 者:
平成20年度外部委員
長谷川 保(神奈川県水産技術センター所長)
西田 睦(東京大学海洋研究所長)
木村郁夫(日本水産株式会社中央研究所部長研究員)
重 義行((社)大日本水産会顧問) ※当日は欠席
白石ユリ子(海の幸に感謝する会「ウーマンズフォーラム魚」代表)
中央水産研究所出席者
所 長井上 潔
業務推進部長平井光行
業務推進課長小西光一
業務推進課課長補佐田中 博
業務推進課情報係長吉田 大
業務管理課長小山 勉
図書資料館長田渕 誠
水産経済部長田坂行男
海洋生産部長川崎 清
資源評価部長堀川博史
浅海増殖部長輿石裕一
内水面研究部長伊藤文成
利用加工部長村田昌一
水産遺伝子解析センター長中島員洋
海洋データ解析センター長渡邊朝生
1.所長挨拶
所長から運営会議の開催について水研センターを取り巻く昨今の情勢報告も含めた開会挨拶があった。
2.委員等紹介
 業務推進課長から資料確認の後、今回の外部有識者委員および所内出席者の紹介があり、続いて業務推進部長が座長に指名されて議事に入った。
3.議事
(1)中央水産研究所運営会議について
 業務推進部長から資料(中央水産研究所運営会議開催要領)に基づき、本会議のねらいについて、所業績の評価ではなく所運営への助言をポイントとしていること、また今年度は基本データの事前説明を行うと共に会議資料をコンパクト化し、より効果的な会議運営に配慮したこと等の背景説明があった。続いて昨年度の運営会議における委員意見等の紹介とこれらに対する今年度のフォローアップ状況について報告、および水研センターの中期計画・目標と中央水研の中長期的目標について解説があった。
(2)中央水産研究所の概要と平成20年度運営方針
 業務推進部長から、1)所の施設、組織、職員数、業務、研究課題、予算等の概要、2)平成20年度の運営方針について、特に研究推進および業務の重点目標策定のスケジュールおよび内容説明があった。
(3)研究推進の重点目標、進捗状況、検討課題および次年度計画
 各研究部長・センター長から標記事項への概要報告があり、これらに対して以下の質問・意見があった。
水産経済部:地域連携をどう捉えているか?地域貢献の地域とは具体的に何を指しているのか?
海洋生産部:海洋放射能等の基礎的モニタリングは重要である。
資源評価部:栽培漁業と資源評価との関係についてどう取り組んで行くか?
浅海増殖部:生態系機能の定量化とは具体的にどの様なイメージか?
専門家の育成についてどの様な分野に絞るのか?
内水面研究部:研究を通じて得られた、アユが生息することそのものの消費者への恩恵面についてもっとアピールすべき。
利用加工部:研究テーマが多い部で部内連携をさらにどう進化させるかが重要。
水産遺伝子
解析センター:
ゲノム情報に係わる特許関係、および育種や系統保存についてどう考えるか?
どの様な水産生物のゲノム解析を対象として絞り込むのか?
海洋データ
解析センター:
他の類似組織と一元的なデータ管理の方向が予想される中でどの様な対応をとるのか?
海洋法が制定される中でこの分野の重要性が明らかであり国際的にもリーダーシップが求められる。重点事項でモニタリングが問われる地域は沿岸か外洋か?
全般について:研究組織が部の他に2つのセンターとなっている理由は何か?
国際レベルの会議等に出ると日本は水産業に関する教育が遅れている印象が強いので広報活動も重要である。
(4)研究支援業務の重点目標、進捗状況、検討課題および次年度計画
 業務推進部長から、資料に基づき標記事項の概要、および特に以下の項目について進捗状況が報告された。
1)推進課・管理課業務に係わる両課の役割分担と仕事の流れを再考しつつ効率化を目指している、
2)ISO14001取得への取り組みの経過と目的とプロセスを取り違えないで次年度も取り組む、
3)調査船調査の効率化について、今年度は燃油価格高騰もあり、何が最も効率的な調査かを論議し、結果として調査自体への意識が高まった、
4)図書資料館の組織改変については実員増への対応を行っている。
また、研究支援業務の重点目標は毎年変わるのかとの質問に対して、本来が定型的業務なので大きな変化はないことが説明された。
(5)中央水産研究所の広報活動、研究成果の地域社会貢献およびブロック活動
 業務推進部長から資料に基づき標記事項の概要説明があり、その中で特に研究開発独法として評価とこれに対する対応についての問題点と、広報活動の効果判定については方法を模索中であることが具体例に基づき説明があった。これに対して以下の論議があった。
 広報活動については、研究者レベルでの情報をそれぞれ最適かつ最も効果の高いターゲット・配信先を選ぶシステムが必要であるが、まだこの点での絞り込みが不十分と思われる。また農業に比べて水産は教育的な面で遅れており、個別の研究紹介ではなくて中央水研が水産研究の中心的役割を担っていることを、くり返し教育現場でアピールすべきであるが、現状は例えば出前授業でもまだ受け身である。企業向けの水産加工セミナー等の場は多くの方々が集まるので、もっと積極的に出て行くべきである。
次に「研究のうごき」について、現在の本誌発行の目的に照らし合わせた場合、良いことが書いてあっても実際にもらった研究員が読んでいるかどうか気にかかる。概して関心のない人に感心を持たせるのは困難なことで、必要な情報をピンポイントで必要な人々に流す方法を模索すべき。現在の冊子体だとせっかくの中身が分かりにくく、学生等には関連する文献情報を含めてオンライン検索で対応するシステムを充実させる方が得策ではないか。
地域連携については、個々の研究者は自分の仕事で手一杯の状態で、さらなる業務をやるモチベーションを起こさせるためには、形式的な会議ではない、人と人とのコミュニケーションがより重要ではないかと思われる。
(6)委員講評(中央水産研究所の業務運営の総括的検討)
長谷川委員: 研究機関の存在価値が問われる中で、全国的対応での戦略をどうするかが大切であり、自らの強みは何であるかを考えてアピールすると良いのではないか?広報関係では、水産研究をとりまく昨今の情勢の中で特に大切なのは情報の鮮度であり、リアルタイムで次々にネットなどで出すのも戦略の一つと思われる。
西田委員: 中央水研は海区ブロックと全国対応の両面でよくやっていると思う。この方向をより進めて頂きたい。今回の会議資料では、業務実績面は簡潔で要領良くまとまっていたが、研究開発独法として軸足が置かれているはずの研究実績についても、経年変化や成果の動向を含めた充実した提示があるとなおよかった。
木村委員: 企業は数年先を見て行動しなければならない。 設備投資や企業戦略を検討・実行する上で、資源状況を的確に判断することが求められる。 水研センターのデータは貴重であり、活用している。今後、この重要性はますます高くなる。中央水研は流通から資源まで幅広く、効率的な活動のために「連携」をキーワードに取り組まれている。「連携」の効果をより高め、成果を出されることを期待している。百年に一度と言われる経済危機の中で、水産物そのものの位置づけ(価値)が明らかになって行くと予想される。タイムリーな研究・調査が重要である。育種研究については短期間にやり遂げることが重要。その様な視点での取組みが必要であり、活用しがいのあるデータがたくさんある。
重 委員: 中央水研には日本代表と海区の代表との立場がある。日本代表としての機能としては横断的性格業務を行っているが、世界的レベルでの競争を意識した最先端の水産研究の企画や分野開発といった方向も強化すべき。また、海区のリーダーとしては都道府県の水産研究体制が脆弱化する中で、より役割分担と相互連携協力を進めて、海区の水産の存在をアピールできるような成果を上げ、PRを行うなどして水研が中核となり、水試がハブになる共同体としての体制の確立、安定化を推進すべきである。
白石委員: 食べる人としての消費者と、生産している人としての漁業者との間には、情報のギャップ、意識のギャップがある。また、魚食の民である日本人全体に関わる問題として自給率低下という現実がある。研究者にはこれらをふまえた視点が必要と思う。また、本会議については年一回の開催では成果の効果的還元という意味で不十分ではないかと思う。
(7)その他
 業務推進課長から、今回の会議の議事概要をまとめた報告書は今月中に作成して水研センター本部に送る予定であり、欠席の委員には事前説明資料および当日会議資料を送り意見を頂くことが説明され、了承された。また関連して委員からの補足意見等があれば、18日までに業務推進部長に頂きたいとの協力要請があった。
4.閉会挨拶
 所長より閉会の挨拶があった。
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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