平成17年度
研究所機関評価会議
議事録
 NRIFS : National Reserach Institute Fisheries Science , Fisheries Research Agency
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1. 会議の概要
開催日時  平成18年3月7日(火) 13時30分~17時50分
開催場所  中央水産研究所 国際会議室
出席者
1)外部委員
青木一郎(東京大学大学院教授)
小山紀雄(横浜市漁業協同組合長)
田代秀明(愛知県水産試験場長)
長島徳雄((社)海洋水産システム協会専務理事)
長辻象平(産経新聞社論説委員)
2)オブザーバー
市毛光三(独立行政法人水産総合研究センター監事)
関根繁雄(独立行政法人水産総合研究センター監事)
3)中央水産研究所
山田 久(所長)、入江隆彦(企画総務部長)、小谷祐一(企画調整課長)、田渕 誠(図書資料館長)今田 了(総務課長)、増田 博(総務課長補佐)、川上秀和(水産経済部長)、宮地邦明(海洋生産部長)石田行正(資源評価部長)、輿石裕一(浅海増殖部長)、鈴木満平(内水面研究部長)、入江隆彦(利用加工部長事務取扱)(代理:村田昌一)、中山一郎(水産遺伝子解析センター長、欠席:海外出張中)(代理:國本正彦)、山崎英信(蒼鷹丸船長)
2.議事録
議題 結果の概要
座長選出 センタ-評価会議運営要領に基づき、外部委員の中から長島委員を座長に推薦し、了承された。
議事
1)水研センターにおける評価システムについて 企画総務部長より、センタ-評価会議運営要領等に基づき水研センタ-評価システム及びセンター評価基準について説明した。
2)中央水研の概要 所長より、資料に基づき、中央水研の位置付け、組織、職員数、担当海域、海洋環境の特徴、予算等について説明した。委員から特段の質問はなかった。
3)中央水研業務実績
(1)16年度評価結果へ対応(フォローアップ) 企画総務部長より、資料に基づき、平成16年度機関評価会議において外部委員から指摘を受けた事項に対するフォローアップ状況について説明した。外部委員から下記の質問があり、部長等から以下のように回答した。

①DNA分析のシーケンサーを所内に設置しているのか。
(答)4台を設置しており、日常の業務には支障はない。

②独立行政法人後の人数には大きな変化はないのか。
(答)平成16年4月に養殖研究所の日光を統合し、人数は増えている。一方では人員削減を求められているが、組織改正や業務の整理により対応している。

③沿岸域の餌料環境に係るデータベースの蓄積状況はどうか。
(答)東北海域には、動物プランクトンに関する40年間くらいのデータベースがあるが、当所には長期にわたるデータベースはない。最近、海洋環境に関するデータベースの構築を進めている。

④漁業に従事している者の実感として、漁船の操業灯に集まってくるような餌生物も少なくなっているように思われる。沿岸域の餌生物に係る調査や資料を充実させて、資源の回復に役立てていただくことを期待する。

⑤円石藻等の小型植物プランクトンが増えているとのデータがあるがいかがか。
(答)日本近海ではそのような現象はない。しかしながら、近年、炭素固定能力等の小型プランクトンが持つ新たな機能が注目されており、当所でも研究を進めている。

⑥フィージビリティスタディーとは何か。どのように活用されるのか
(答)交付金プロジェクト研究において、大型プロジェクト研究の予算を獲得することを目的として予備的な調査研究を実施するための予算が与えられる場合がある。多くの場合、約1年間で報告書をまとめ、それをもとにさらに大きなプロジェクト研究として実施するかどうかを判断する。

⑦「水産物マーケティングリサーチの方法」をテーマにした研修会は、実際にどのように実施して、どのような方々が参加したのか。
(答)各県の現場の方々を主体にして、新たな手法の活用方法を紹介した。

⑧今後、水産分野のトレーサビリティ等についても取り扱われることを期待する。なお、水産基本計画の見直しが行われているが、海外の水産動向お分析については重要な課題であり、水産庁の検討状況を踏まえて、水産経済部でも取り組んでいただきたい。
(答)水産政策に提言できるような課題化を目指して取り組みを進めたい。

(2)研究所の運営及び社会貢献等
①全所的な効率化への取り組み 所長より、資料に基づき、この間の組織改正の概要について説明した。また、文書管理ステムの導入と業務の効率化、経費削減の取り組みとその成果、ISO14001認証取得の取り組み等について説明した。委員から下記の質問があり、企画調整課長より以下のように回答した。

①情報漏洩対策はどのようにしているか。
(答)所内に設置した各種サーバー及びLANに接続したパソコンは、筑波にある農林水産計算センターの管理下でセキュリティの管理が行われており、WEBを通しての情報漏洩はないものと承知している。また、個人情報の管理を含めて、職員に指導している。

②その他の業務運営の効率化に関する取り組み
③専門分野を活かした社会貢献、成果の公表等に関する取り組み
企画総務部長より、資料に基づき、評価点検、外部資金の獲得状況、支援業務の効率化、他機関との連携協力等について、具体的な数値を含めて説明した。引き続いて、資料に基づき、専門分野を活かした社会貢献、成果の公表数等について説明した。委員より下記の質問があり、以下のように回答した。

①資格の取得や講習会への参加費用はどのようにしているか。
(答)業務に必要な資格取得等の費用は研究費から支出している。

②船舶燃油の効率化が図られているようだが、翼角の制御でどの程度の節減効果があるのか。
(答)他の節減対策も組み合わせての結果であるが、全体で約10%の燃油の削減効果を見込んでいる。委員から、漁船でも速度が大きく落ちない範囲でエンジンの回転を落とすと、消費量は大きく削減できるので、奨励している。との説明があった。

③所内プロジェクト研究等の予算規模や期間はどうなっているか。また、今後の取り扱いをどのように考えているか。
(答)所内プロジェクト研究で年間約300万円、2~3ヵ年間、複数の参画者を条件にしている。また、シーズ研究で年間約100万円、単年度、若手研究者へのチャレンジ的な課題を条件にしている。この他に一般研究があるが、来年度からの実施課題については本部において厳格な審査を行った。これまではこの予算の中から一定額を保留して所長裁量で重点配分していたが、今後は本部による審査を尊重し、その査定額を保障したいと考えている。

4)中央水研の業務実績(試験及び研究、事業等)
①研究部の活動
②中央水研がとりまとめを担当する研究課題
各部長より、資料に基づき、各部の概要、研究課題、特筆すべき研究成果(S評価課題)、事業対応など17年度の活動概要について説明した。引き続き、各部長より、資料に基づき、中央水研が担当する中課題の概要と評価結果(Ⅰ期5カ年の総合評価を含む)について説明した。委員より、各部の本年度の活動の概要と、とりまとめを担当する中課題の説明が重複する部分があり分かりにくい、との意見があり、企画総務部長から、年度評価の対象である17年度の活動・成果の報告と中課題に関する第Ⅰ期5カ年の総合評価の内容が一部重複しているが、これはやむを得ないものであると説明した。
5)中央水研の業務実績に関する総括的検討 座長より、活動概要報告に対して、指導、提言、要望をお願いしたい。とりまとめ担当中課題については、評価結果をご審議いただきたい、との発言があり、各委員から、以下のような意見・要望等が出された。

①第1回の機関評価会議で論議があった環境改善に関しては、5カ年を通じて解明しつつあると思う。環境を活用するという観点で、研究テーマをとりあげ、成果を出していただきたい。

②多岐にわたり有意義な成果が出されている。東京湾では夏場の低酸素域が拡大している。夏の高温の長期化や大雨があるとダメージが大きく、翌年の漁業にも影響がある。関連する研究をやっていると思うが、今後も漁場環境問題に取り組んでほしい。

③5ヵ年を見ていて、充実してきた。論文も着実に出ている。成果を実際の漁業にどのように結び付けていくかが課題。TACと漁獲実績が対応しない。気候変動で大きく変化する魚はTACになじむのか、資源管理に役立つのかという気がする。今後、モデルを使った研究成果も取り入れながらTACや資源管理の精度を高めてほしい。

④TACまで早急に求められるのには疑問がある。漁業の管理制度は経済とも結びついているので複雑である。漁業者からは、我々に役立つ研究をとの意見があるが、研究所にTACを求めるのはおかしい。

⑤多くの研究をやり成果を上げており感心した。国の科学技術政策が第3期に入り、研究者は予算面や競争的環境についていくのが難しくなっている。若手研究者の育成に力を入れていただきたい。

⑥図書資料館に古文書が大量に蓄積されている。水産文化を発信していく拠点となってほしい。

⑦5ヵ年の中で、非常に努力されている。内湾の環境研究に関しては国交省とも協力して、漁業にとってよりよい方向で内湾域の振興を図っていただきたい。

⑧漁業関係は、予算が少ない。ごみ収集を行っているが、処分するための予算がない。

⑨ITを使った食品の利用、ネットカタログ、ネットブローカーを活用した研究など新しい技術を取り入れた研究を進めていただきたい。

⑩遺伝子組み換え食品を餌として魚が取り込んだかどうかがわかるとのことだが、どのような方法か?
(答)植物の組み換えの遺伝子をトレースできる。ハマチなどの養殖魚を対象としている。

⑪任期付き任用制度の現状はどうなっているか。
(答)現在、当所には若手育成型で2名在籍している。任期満了後、その研究分野での人員の強化が必要となれば、選考採用の候補者となりうる。

6)その他(事務連絡等) 企画総務部長から、外部委員に別途機関評価会議に対する意見等の提出を依頼した。
nrifs-info@ml.affrc.go.jp

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