平成16年度
研究所機関評価会議
概要報告
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1 会議の概要
2 研究課題の評価結果(年度計画第2の1の小課題のS・A・B・Cの個数を記載)
3 15年度指摘事項等のフォローアップ状況
(1)外部委員の主な意見
(2)改善方策
4 16年度指摘事項等
(1)外部評価委員の主な意見と対応方針等
(2)評価結果の反映方法
5 その他(所感、問題点等)
会議の概要
開催日時:平成17年3月10日 13:30 ~ 18:30
開催場所:独立行政法人水産総合研究センター
中央水産研究所 3F 特別会議室
横浜市金沢区福浦2-12-4 
出 席 者:
平成16年度外部委員(敬称略、五十音順)
青木一郎(東京大学大学院教授;欠席、資料による審議)
岡  彬(神奈川県水産総合研究所長)
小野 誠(神奈川県漁業組合連合会代表理事会長)
嘉田良平(UFJ総合研究所顧問)
長島徳雄((社)海洋水産システム協会専務理事;欠席、資料による審議)
オブザーバー(敬称略、五十音順)
関根繁雄(独立行政法人水産総合研究センター監事)
和田昭八(独立行政法人水産総合研究センター監事)
中央水産研究所出席者
所長松里寿彦
企画総務部長奥田邦明
企画調整課長小谷祐一
企画調整課主任研究官野口昌之
図書資料館長奥田邦明(事務取扱)
総務課長今田 了
総務課長補佐増田 博(欠席:出張中)
水産経済部長川上秀和
海洋生産部長宮地邦明
資源評価部長石田行正(代理:和田志郎)
浅海増殖部長輿石裕一(代理:福田雅明)
内水面研究部長白石 学
利用加工部長福田 裕
水産遺伝子解析センター長中山一郎
蒼鷹丸船長山崎英信(欠席:調査航海中)
研究課題の評価結果(年度計画第2の1の小課題のS・A・B・Cの個数を記載)
15
98
15年度指摘事項等のフォローアップ状況
(1)外部委員の主な意見
   
大項目中項目事項外部評価委員の主な意見対応方針と実施状況
第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するため取るべき措置 中央水研の組織改正(案) ・全評価委員から「積極的に組織の見直しをして現況に対応しようとする姿勢は評価できる。改正の基本的考え方、新組織(案)ともに時代のニーズに対応するものであり妥当である。課題が複雑化している現代では小さい部では対応できない。目標に向けて効果的な研究・事業の推進を期待したい。」等、評価する旨の意見があった。
・今後の運営に関して、部として流動的に人員を配置して運営すること、資源評価・漁海況予報事業等と生物・資源研究は不可分であるので、資源関係研究者が現場の問題やニーズ、研究成果を共有して連携して取り組むこと、図書業務は重要であり更なる充実を期待する、水産経済の研究の必要性はますます高まると思われるので、研究成果の業界への反映を期待する、等の意見があった。
・運営に関する委員の意見をふまえ、新組織が水産業と水産研究の発展に貢献出来るよう効率的、機能的な運営に全力で取り組む。
1 評価・点検の実施 研究評価部会の運営 ・評価・点検の実施と結果への対応は適切であるが、研究評価部会の外部委員は、1名の部があるので、県水試、大学、民間等から2名以上をおいて、多面的に広く意見を聞いた方がよい。 ・分野の特徴を考慮して、必要な分野については複数の委員の就任に努力する。
2 競争的環境の醸成 外部資金の獲得 ・平成14年度に比して、外部資金の増枠を確保した努力を評価する。一方、予算獲得に縛られないでこれからの水産を切り開く、夢のある水産を生む研究を育てる努力も期待する。 ・若手研究者が一般研究やシーズ研により独創的な研究に安定的に取り組める環境の整備に努めている。その一環として、在外研究や学位取得の支援を行っている。
・モニタリング研究等、長期的視点から取り組むべき重要課題については、評価と予算配分に配慮する。
評価結果の予算配分への反映 ・評価や予算配分に当たっては、長期的視点から取り組むべき研究等、研究課題の特質に配慮すべきである。
若手研究職員の育成 ・若い研究職員が一般研究にウエイトを置くことは望ましい。同時に人材育成の一環として社会人大学院や論文博士による学位取得を更に奨励すること。
3 調査・研究支援業務の効率化及び充実・高度化 施設機械の効率的活用 ・共同研究等を通じて先端的大型機器や設備の一層の外部利用の促進を図ること。 ・製造実験室を開放型実験施設として規程を整備し、公開しており、大学等の利用が始まっている。
・データベースの充実は、水研センターの重要任務のひとつと理解している。
データベースの構築 ・モニタリングの成果のデータベース化は、事業推進と同様に重要。更なる充実を期待する。
4 調査研究の連携と協力の推進 他機関との連携 ・水産研究所は、水産現場に近い水試等と基礎研究と教育を行う大学をつなぐ水産研究の中核的存在。中央水産研究所の果たすべき役割は重要で、一層の充実とリーダーシップを期待する。
・独法移行後、より現場に近づいた感がある。今後とも水試等との協力・連携を期待する。
・水産研究に関する連携協力の要として任務を果たすよう更に努力する。
・水試等との連携・協力は、水研センター運営の重要な柱と考えている。
第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するために取るべき措置 1 試験及び研究、調査並びに技術の開発 中課題の評価 評価方法に関して以下の意見があった。
・小課題の評価が決まれば自動的に中課題の評価が決まる仕組みになっており、この会議での中課題評価の位置づけが不明確である。
・的確な中課題評価のためには小課題に関する適切な情報が必要で会議資料の工夫が必要ある。(小課題の実施期間の明示、小課題ごとの成果リストの添付等)。
・評価方法は、独法評価委員会の決定によるもので直ちに変更することは難しいが、中課題の研究内容の審議については資料を更に整備し、的確な検討を行えるよう努力する。
研究内容に関する意見等 研究内容等に関して以下の意見があった。
・すり身への微粒子化魚油添加の研究は、商品化により水産業界の活性化に貢献するすばらしい研究である。
・水産業界は元気をなくしており、活性化策を提言できるように成果をまとめてほしい。このままでは研究は残っても漁村は無くなる。
・技術・研究の達成度に応じた漁業制度の見直しが重要であり、研究面から時代を先取りした提案を期待する。
・利用加工分野だけでなく、他分野も企業、漁業界のニーズに即応した研究に取り組み、産業研究所としての役割を果たしてほしい。
・資源関係では、資源評価・漁海況予報事業とのつながりをより明確にした研究等の推進も図ってほしい。評価や予報に役立つことがよく見える研究がもっとあってよい。
・「カタクチイワシの利用」に関して産官学共同で取り組む態勢を構築した。
・中期計画第1期の終了を控え、次年度、各研究課題について利活用も含めた成果のとりまとめを行う。
・次期の研究計画策定に当たっては、水産業界のニーズに十分配慮する。
・資源評価や漁海況予報については、第1期の成果をふまえより実践的な研究が実施できると考えている。
3 専門分野を活かした社会貢献 研修等の充実 ・研修生等の外部の利用には研究部、研究室に偏りがある。調査・研究の連携・協力の推進のため、外部の利用を促進する新たな方法あるいは仕組みを期待する。 ・依頼研究員制度の運営態勢を整え、利用促進を図っている。外部利用が少ない部・室については、状況を分析し、対応策を検討する。
委託事業の評価方法 ・資源評価調査事業など委託事業が「社会貢献」と位置づけられているが、それは第2の1(試験及び研究、調査並びに技術の開発)と両輪をなす水産研究所の本務であると思う。大学でいえば研究に対する教育に当たるともいえる。そのため、委託業務は、第2の1同様の手続きで各部あるいは室の活動が評価されるべきでないか。 ・事業の評価は、事業単位で行われるため、部・室の貢献が見えにくい傾向がある。ご指摘の通り、所として評価する何らかの仕組みが必要で、今後検討する。なお、業績評価(個人評価)では、研究業績以外の貢献も公平に評価している。
委託事業の推進態勢 ・研究成果を積極的に取り込み、漁況予報や資源評価の高度化をはかると同時に、事業の問題を研究課題としてフィードバックする体制として、今回の組織改正に期待する。
新たに対応すべき課題等 ・TAC、TAE等においては、特定魚種を対象とする資源管理が行われてきたが、海洋・水産(業)の果たす環境価値、アメニティ、生物多様性の観点からも資源の保全・管理が必要と思われる。
・食品安全性に関わる危機(リスク)管理システムの構築は重要な今日的課題と思われる(コイヘルペス、水銀その他環境ホルモン問題等)。リスク(危害)への対応(リスク管理)に加えて、発生の未然防止策として何が求められるのかなど、リスク・コミュニケーションのあり方について検討してほしい。
・漁協、水産加工業界、水産試験場、各種法人等の体質改善面でも見直しが必要ではないか。
・「ISO14001」の認証取得について、神奈川県では実現に向け、環境の保全と創造に関する各種の施策を積極的に推進している。「環境立県かながわ」に在する中央水研も率先してISO14001の認証取得に取り組むことを期待する。
・「水産業及び漁村の多面的機能」に関する学術会議特別委員会の答申作成に当所職員が協力している。平成16年度の答申(8月予定)の内容を検討し、研究活動等に反映したい。
・リスク管理に関しては、事後対策(KHV、エチゼンクラゲ、水銀等)に貢献した。
・未然防止に向け、食品安全に関して加工分野のHPを開設したが、本格的な検討・対策は今後の課題である。
・ISO14001については、情報収集に着手する。
4 成果の公表、普及、利活用の促進 成果の公表実績の評価 ・水研ニュースをはじめ一般公開まで、成果の広報活動は大変活発であると評価できる。論文発表も活発である。
広報の方法 ・専門家や学会向けの専門性の高い研究成果の広報に加え、小中学生でもわかる表現・内容のビジュアルな刊行物も必要である。 ・既刊の刊行物を点検し、可能なものから逐次一般市民に分かりやすい内容に改善する。必要に応じて新たに刊行する。
的確な情報発信 ・一般社会への「発信力」が問われるなか、海、水産業、水産資源等に対する国民(消費者)のニーズがどこにあるのかを的確に把握すべき。 ・HP、研究所一般公開、日光庁舎観覧業務等を利用して、一般市民のニーズ、関心の対象等の把握に努める。
成果の普及の確認 ・研究成果がどこでどのように役立ち、漁業者(国民)からどう見られているのか、追跡し、確認する何らかの方策が必要と思われる。 ・「資源評価調査事業」等に関する各種会議での行政部局や漁業者等からの要請、意見、質問等を収集し、研究成果の追跡に活用する。
(2)改善方策
大項目中項目事項改善を要する問題点等すでにとった措置今後検討するもの
第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するため取るべき措置 1 評価・点検の実施 研究評価部会の運営 ・研究評価部会の外部委員が1名の部は2名以上おく方がよい。 ・やむを得ない事情があった水産遺伝子解析センターを除き、2名以上の体制とした。
2 競争的環境の醸成 評価結果の予算配分への反映 ・評価や予算配分にあたっては、長期的視点から取り組むべき研究等、研究課題の特質に配慮すべきである。 ・モニタリング研究等の長期的視点から取り組むべき重要課題の評価については、部長が十分配慮して実施した。 ・プロ研の終了等による予算不足が懸念される平成18年度以降に備え、外部資金の獲得等、モニタリング関係予算の確保に努力する。
第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するために取るべき措置 1 試験及び研究、調査並びに技術の開発 中課題の評価 ・研究所機関評価会議における中課題評価の位置づけを明確にする。 ・研究所機関評価会議における中課題評価の趣旨を明確にした上で、それに沿った説明資料を作成した。
・的確な中課題の質・内容の検討のため、小課題に関する情報提供を適切に行うこと。 ・的確な審議が効率的に行えるよう小課題に関する資料を改善した。
3 専門分野を活かした社会貢献 研修等の充実 ・研修生等の外部の利用については研究部や研究室に偏りがある。外部の利用を促進する新たな方法あるいは仕組みを期待する。 ・当所の研究交流制度や受け入れ研究部・室の詳細な情報等を推進会議やHPで広報するなどして、利用促進を図った。 ・平成16年度に新設した客員研究員制度の活用を図る。
委託事業の評価方法 ・資源評価調査事業など委託事業への部・室の貢献を評価できる方法を工夫する。 ・研究評価部会、研究所機関評価会議において、各研究部・室の活動報告の中で事業への貢献を報告し、外部委員に審議いただくよう工夫した。
新たに対応すべき課題等 ・海洋・水産(業)の持つ多面的な価値に基づいた資源管理研究が必要である。 ・「水産業及び漁村の多面的機能」に関する学術会議特別委員会の答申作成に協力した。 ・現在、立案中のプロジェクトにおいて、水産経済部が研究推進の中核的役割を果たす予定である。
・リスク管理に加えて、発生の未然防止策として何が求められるのかなど、リスク・コミュニケーションのあり方についての検討が必要である。 ・事後対策(KHV、エチゼンクラゲ、水銀等)に貢献した。
・未然防止に向け、トゲクリカニの毒化やマグロへの水銀蓄積等の研究成果情報を行政部局に迅速に提供した。
・食品安全に関する加工分野のHPを充実させ、未然防止に貢献する。
・ISO14001の認証取得に取り組むこと。 ・認証取得に向け、情報収集、推進体制の構築等、取り組みを開始した。 ・平成17年度中に取得する計画である。
4 成果の公表、普及、利活用の促進 広報の方法 ・専門家・学会向けの専門性の高い研究成果広報に加え、小中学生でもわかる表現・内容のビジュアルな刊行物も必要である。 ・平成15年度研究成果をHP及び「研究のうごき第2号で広報した他、要覧をビジュアルな分かりやすい内容に変更した。また、センター本部が実施する一般向け広報(ニュース、メルマガ、おさかな瓦版)や農林水産祭等の取り組みに協力した。
的確な情報発信 ・一般社会への「発信力が問われるなか、海、水産業、水産資源等に対する国民(消費者)のニーズがどこにあるのかを的確に把握すべき。 ・研究所一般公開、日光庁舎見学等に際してアンケート調査を実施し、一般市民のニーズ、関心の対象等の把握に努めた。 ・一般公開等に際して実施するアンケート調査、食品の安全に関する加工分野のHP、資源評価のパブリックコメント等から得られる情報を分析し、広報の方法・内容の改善、重点を置くべき研究課題の把握等に繋げたい。
成果の普及の確認 ・研究成果がどこでどのように役立ち、漁業者(国民)からどう見られているのか、追跡し、確認する何らかの方策が必要と思われる。 ・「資源評価調査事業」等の各種会議での行政部門、漁業者等の要請、意見、質問等を収集した。また、資源評価のパブリックコメントを実施し、質問への回答を行った。
16年度指摘事項等
(1)外部評価委員の主な意見と対応方針等
大項目中項目事項外部評価委員の主な意見対応方針と実施状況
第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するため取るべき措置 組織改正 ・所長のリーダーシップの下で大幅な組織改正を実施し、業務の改善に効果を上げていることを評価する。特に、平成15年度指摘に対応してISO14001認証取得に取り組んでいることは高く評価できる。新しい組織を活かして今後も更に成果をあげてほしい。 ・ISO14001については、平成17年度前半に認証取得できるよう努力する。今後も新組織のメリットを活かして、効率化に積極的に取り組む。
1 評価・点検の実施 前年度指摘事項等への対応(フォローアップ) ・研究評価委員の複数委員化やISO14001への取り組み等の平成15年度に指摘された諸事項について、おおむね適正に対処または改善されつつあり、評価できる。
・独立行政法人化に伴う評価/改善の成果が徐々に上がっている。
・一方、中課題評価方法の改善、委託事業の評価の実施については、今後の検討課題として改善の努力の継続を期待する。
・中課題や委託事業の評価方法については、委員の指摘を受けて、改善の努力を行っている。今後も当所で実施可能なものについて更に改善を図る。
2 競争的環境の醸成 外部資金の獲得 ・外部資金の導入努力を高く評価する。
評価結果の予算配分への反映 ・所内プロ研、シーズ研の取組みは競争原理を導入し、研究者の創意とインセンティブを大いに高めるもので大変良い制度である。また、活発に利用されており、更に拡充して研究体制を固めていってほしい。 ・当所では、所内プロ研、シーズ研が研究の活性化に機能しているので、今後更に活用を図る。
3 調査・研究支援業務の効率化及び充実・高度化 船舶、施設、機械等の効率的活用 ・海洋放射能の研究は、世界的レベルであると思うが、ルーティン的な調査の部分を外部調査会社に委託することにより、更に研究の深化を図ることができ、かつ調査船の有効利用にもつながるのではないか。 ・放射能調査は、極めて高度な技術・装備を要するため、現時点では当所調査船蒼鷹丸以外での実施は不可能である。
・庁舎・施設等の管理運営経費削減について具体的に目標を掲げ前年比削減に努めており評価できる。
・図書資料館が実施している古文書等の整理には、予算が必要だが、中央水研の存在価値を高め、世界から評価される時がくると思うので、継続してほしい。整理された古文書の活用が今後の課題である。 ・古文書等の整理を図書資料館の水研センター全体に係わる重要業務と位置づけ、継続に努力するとともに、成果をHP等で広報し、利用促進を図る。
データベースの構築 ・水産海洋データベースの整備は、水産海洋研究のみならず、産業分野での利用も期待でき評価できる。質・量ともに更に充実することを期待する。 ・水産海洋データベースは高く評価されており、今後も継続的に拡充を図る。
・研究の効率的推進に研究員のデータベース化が有効と思われるので、検討してはどうか。 ・研究員のデータベースについては、水研センター本部に提案する。
4 調査研究の連携と協力の推進 他機関との連携 ・試験研究推進会議の全面的見直しが行われたが、中央ブロック推進会議では外部資金の獲得や共同研究の推進等、地方水試との調査研究面での連携が強化されるなど改善効果が認められる。中央水研と水試等との共同研究においても着実に成果が上がっており、感謝する。 ・推進会議が、迅速な問題解決や共同研究の立ち上げに有効に機能するよう今後も改善を図る。
・水産利用関係推進会議は、全国の研究に大きな影響を与えており、準備中の経済研究連絡会を含め、引き続き活発な活動を期待する。 ・経済研究連絡会が、各方面の期待に充分応えられるよう、所として支援を実施する。
第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するために取るべき措置 1 試験及び研究、調査並びに技術の開発 中央水研のとりまとめ担当中課題の評価 ・各課題とも、水研センターが定めた評価基準に則って適正に評価がなされていたと判断されたが、研究内容や成果の到達度を十分に周知させるための工夫が望まれる。 ・次年度は、分かりやすい説明資料の作成やプロジェクターによる説明など改善を図る。
中央水研が実施したあるいは今後実施すべき研究内容等に関する意見 (水産経済)
・「水産業及び漁村の多面的機能」の評価及びその政策適用にかかわる研究は、今後の水産政策の方向を規定すると判断されるので、外部の専門家達とも連携しつつ、速やかに本格的に取り組んでほしい。資源の保全・管理は重要であるが、その前提となる経済評価(経済的メリット、費用の負担等)が重要で、水産経済部に期待する。中央水研が、「水産業及び漁村の多面的機能」研究のメッカとなることを期待する。 ・「水産業及び漁村の多面的機能」に関する経済研究は、技術研究と協力して、平成17年度中に研究の方向性を明確にするとともに、サイトスタディを実施し、基礎知見を蓄積することとしている。
・従来の水産研究は、水試等も含め、海洋環境、水産資源など漁業生産分野に偏っていたが、最近、生産物をいかに有利に販売するかなど社会科学分野の研究の重要性が高まっている。そのような中、水産経済部主導で水産経済研究連絡会が設立されようとしており、その成果に期待する。 ・水産経済研究連絡会は、情報交換にとどまらず、分析手法の普及及び高度化の手段としても活用を図る。
(海洋環境)
・我が国周辺海域の長期的変動予測が重要で、国内外研究機関と連携して、研究を強化すべきである。また、浅海生産力の維持に沿岸域の環境改善の取組みが重要であるが、これには海洋生産部と浅海増殖部とが合同であたるべきである。
・沿岸域の問題解決に、説明力の高いモデルの構築とその実証が求められている。また、アメニティも含めて、沿岸域の調査研究の重要性を国民にアピールする必要がある。
・長期変動に関しては、各種プロジェクト等のなかで他研究機関との連携を図っている。特に、JAMSTECとはモデル開発で共同研究を実施している。
・浅海増殖部との連携を強化し、沿岸域の生産力に関する問題に取り組むと同時に、環境改善等の成果の公表に務め、沿岸域調査研究の重要性をアピールする。
(資源評価)
・マイワシのように自然要因で大きく変動する資源、及び交替する資源の漁獲のあり方や漁業のあり方について漁業者の期待に応えるよう積極的な取り組みを望む。
・資源評価について、個々の魚種ごとだけでなく、生態系をトータルに評価できる手法を確立できないか。生物多様性に関する評価や特定資源の劣化の要因(食物連鎖等)の解明等に役立つのではないか。
・資源動向要因調査などで資源変動や魚種交替のメカニズムの研究を強化しているが、今後はこれらに加え、資源管理方策に関する研究を更に強化したい。
・複数種を対象としたモデル研究を推進すると同時に、資源動向要因調査などで捕食者・競合者・餌環境の影響など食物関係を重視した調査研究を強化する。
(浅海増殖)
・アサリとシジミの研究の強化が望まれる。
・付着藻類の生産が、アワビなどの生産に影響しており、また、海洋生産部でも干潟の生産力調査に着手しているのならば、岩礁域や干潟域の調査を両部が共同して実施することにより、アワビやアサリ等の研究が進展するのではないか。
・アサリとシジミについては、プロ研等で取り組みを強化している。
・海洋生産部とは、アワビ、アサリ、干潟で共同して調査研究を実施中。
(内水面)
・外来魚種について、駆除方法の検討の他、マニュアル等の作成等、駆除方法の普及を図っているとのことであるが、駆除魚の利用方法の検討も必要ではないか。
・近年の漁獲量の増大は養殖によるが、漁場環境の悪化などの様々な問題が出てきている。養殖漁業が現在抱えている問題、リスクとリスク対応、持続可能になる技術開発、本格的に養殖に未来があるのかを検討してほしい。
・推進会議等を通じて都道府県と連携して外来魚の調査研究を実施しており、その中で利用を含む総合的な対策を検討している。
・国内の養殖漁業の課題については、推進会議において、経済面も含めた検討を始めている。
(利用加工)
・利用加工部の研究は、水産業への貢献という面から評価できる。
・特に、トゲクリガニへの貝毒の蓄積に関する研究は、その成果が行政の安全対策に貢献した点で、魚介類の原産地特性等の研究成果は、食の安心安全に大きく寄与するものとして評価できる。
・食材としての水産物の大切さは理解できるが、国産の優位性は明確でない。国産水産物の特性から、論拠をわかりやすく説明すべき。
・国産品の優位性を高め輸入水産物との差別を図るため、魚介類について漁獲または養殖以後の鮮度保持技術、凍結解凍技術及び加工技術の高度化研究を強化する。
(遺伝子解析)
・遺伝子組換え体(GMO)の水産物への適用・応用については、慎重な対応が必要である。自然界に放出させないため、マニュアル作りあるいは法制化等について早急な検討が必要である。
・水産物のDNAデータ、試料等を蓄積・整備しておく必要がある。新しい研究分野での貢献を期待する。
・GMOへの対応については水産庁事業「遺伝子組換え魚介類評価法開発事業」において、鋭意検討している。
・DNA関係データの収集や蓄積は、水産遺伝子解析センターの最も重要な業務と位置づけられており、全力で取り組んでゆく。
3 専門分野を活かした社会貢献 研修等の充実 ・客員研究員制度の新設は共同研究や共同利用が広がっている中で、時宜にかなったものである。この制度の浸透を期待する。 ・水試等、大学、民間と新しい連携協力関係を築くために設置した制度であり、活用を図る。
研究成果の活用 ・中央水研が取り上げている課題は、水産業及び海洋環境の重要な項目を広くカバーしているが、研究成果の水産業への活用方法について、所としての具体的な取り組み体制は、どのようになっているのか。 ・ブロック/専門分野別推進会議を通じた水試・民間等との情報交換・共同研究、水産庁事業等における水試等との連携・協力、及び研修・依頼研究員制度等による個別指導等により成果の活用を図っている。
今後の課題等 ・漁場環境が悪化し、漁業が衰退する中、水産業界をいかに活性化するのかが最重要の課題である技術・経済・環境・政策面すべてに係わっている課題であり、各研究部は、各研究部が実施している研究面から、どのような貢献が可能か真摯に検討すべきである。また、次期計画の策定にあたっては、漁業並びに漁村の活性化に直接結びつく研究テーマの拡大が望まれる。
・我が国漁業は危機的な状況にあり、水産基本計画見直しの時期が迫っている中、海外の漁業構造改革の成果の評価等もふまえ、漁業制度改革の提案に向けて、早急に資源・経済分野の集中した取り組みが必要である。
・次期中期計画期間に実施すべき研究課題について、各研究部では水産業への貢献を重視した研究テーマの検討を行っている。
・ご指摘の「漁村の活性化」や「漁業制度の改革」等、資源・経済・利用加工等多くの研究分野が結集してあたらなければならない課題について、推進会議等を活用した取り組みを検討する。
4 成果の公表、普及、利活用の促進 成果の公表実績の評価 ・発表論文数はこの3年間で着実に増加しているが、その要因は何か。
・社会貢献、成果の発信については、まだ改善の余地があり、今後の更なる努力を期待する。
・中期計画の各課題が「収穫期」に入ったためと理解している。広報、論文発表等更に改善の努力を継続する。
海外漁業協力におけるジレンマ ・輸入水産物の増加が経営悪化の要因のひとつであるが、日本の高度な技術が海外で利用されることが、それを加速している。日本の技術の海外流出に歯止めがかけられないか。 ・特許等で先端技術を保全するとともに、海外援助に際しては、ご指摘の点に留意して対応する。
(2)評価結果の反映方法
大項目中項目事項改善を要する問題点等すでにとった措置今後検討するもの
第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するため取るべき措置 1 評価・点検の実施 評価方法 ・中課題評価方法の改善、委託事業の評価の実施については、改善の努力の継続を期待する。 ・会議資料の改善、事業成果の研究評価部会及び研究所機関評価会議での報告等を行った。 ・中課題評価については、資料、説明方法の改善、事業の評価については、評価会議での検討が充分出来るよう会議運営を更に改善する。
とりまとめ担当中課題の説明 ・研究内容や成果の到達度を十分に周知させるための工夫が望まれる。 ・課題内容に関する詳しい説明を記載するなど会議資料の改善を図った。 ・プロジェクター等を使って短時間で分かりやすい説明を行う。
3 調査・研究支援業務の効率化及び充実・高度化 調査船の効率的運用 ・海洋放射能の研究は、世界的レベルであると思うが、調査船の有効利用のため、ルーティン的な調査の部分を外部調査会社に委託できないか。 ・生物・環境試料の採取等の内で可能なものについては、外部に委託、依頼している。調査船調査は、蒼鷹丸でしか実施できないものに絞っている。 ・今後も外部組織の協力を得ながら、可能な限り効率的な調査を行うよう改善を継続する。
図書資料館の古文書の整理 ・整理された古文書の活用を図る必要がある。 ・整理した目録を県立図書館等に配布している。 ・HP等に情報を掲載し、幅広く学術面での活用を図る。
データベースの充実 ・水産海洋データベースが質・量ともに更に充実することを期待する。 ・水産海洋データベースは高く評価されており、今後も継続的に拡充を図る。
・客員研究員制度の新設は共同研究や共同利用が広がっている中で、時宜にかなったものである。この制度の浸透を期待する。 ・平成16年度に制度を立ち上げ、諸会議等で利用を働きかけた。 ・平成17年度には、更に積極的に利用を働きかけ、実施に移す。
第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質向上に関する目標を達成するために取るべき措置 1 試験及び研究、調査並びに技術の開発 中央水研研究部の研究推進方向 ・次期計画の策定にあたっては、漁業並びに漁村の活性化に直接結びつく研究テーマの拡大が望まれる。 ・次期中期計画期間に実施すべき研究課題について、各研究部では「漁業並びに漁村の活性化」等への貢献を重視した研究テーマの検討を行っている。 ・「漁村の活性化」等、資源・経済・利用加工等の多くの研究分野が結集してあたらなければならない課題について、推進会議等を活用した取り組みを検討する。
4 成果の公表、普及、利活用の促進 広報・成果の公表の充実 ・社会貢献、成果の発信については、まだ改善の余地があり、今後の更なる努力を期待する。 ・広報活動の充実、論文発表の増加を図ってきた。 ・組織改正のメリットを活かした組織的な広報活動を実施する。また、発表論文数を更に増やすよう努力する。
その他(所感、問題点等)
15年度の会議でISO14001認証取得への取り組みを勧められ、16年度直ちに取り組みを開始した。本会議では、この点に対して高い評価をいただいた。ISOという明確な課題への対応振りを通して、外部委員の先生方に、研究所機関評価会議が所運営の改善に大きな役割を果たしていることを理解していただいたと感じている。今年度の会議では、特に各研究部の具体的な研究活動の報告に重点を置いたが、熱意のこもった建設的な多くのご意見をいただいた。水産業の現状打開に向け、研究に掛ける期待の大きさを感じた。厳しい指摘や即座の対応が困難な内容を含む指摘もあったが、各方面からの研究へのエールは、現場の研究者にとって大きな励ましになると考えている。独法化から4年を経て、計画・実行・評価に基づく研究所の運営が根付いてきたと感じている。

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