外部評価委員の主な意見 | 対応方針 |
1.業務運営の効率化について |
(1)中央水産研究所の組織改正について |
全評価委員から「積極的に組織の見直しをして現況に対応しようと
する姿勢は評価できる。改正の基本的考え方、新組織(案)ともに
時代のニーズに対応するものであり妥当である。課題が複雑化
している現代では小さい部では対応できない。目標に向けて効果的な
研究・事業の推進を期待したい。」等、評価する旨の意見があった。
今後の運営に関して、部として流動的に人員を配置して運営すること、
資源評価・漁海況予報事業等と生物・資源研究は不可分であるので、
資源関係研究者が現場の問題やニーズ、研究成果を共有して連携
して取り組むこと、図書業務は重要であり更なる充実を期待する、
水産経済の研究の必要性はますます高まると思われるので、
研究成果の業界への反映を期待する、等の意見があった。 |
運営に関する委員の意見をふまえ、新組織が水産業と水産研究の
発展に貢献出来るよう効率的、機能的な運営に全力で取り組む。 |
(2)評価・点検の実施について |
評価・点検の実施と結果への対応は適切であるが、研究評価部会の
外部委員は、1名の部があるが、県水試、大学、民間等から2名以上
おいて、多面的に広く意見を聞いた方がよい。 |
分野の特徴を考慮して、必要な分野については複数の委員の就任に
努力する。 |
(3)競争的環境の醸成について |
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14年度に比して、外部資金の増枠を確保した努力を評価する。
一方、予算獲得に縛られないでこれからの水産を切り開く、
夢のある水産を生む研究を育てる努力も期待する。 |
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評価や予算配分にあたっては、長期的視点から取り組むべき
研究等、研究課題の特質に配慮すべきである。 |
・ |
若い研究職員が一般研究にウエイトを置くことは望ましい。
同時に人材育成の一環として社会人大学院や論文博士による
学位取得をさらに奨励すること。 |
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若手研究者が一般研究やシーズ研により、独創的な研究に安定的に
取り組める環境の整備に努めている。その一環として、在外研究や
学位取得の支援を行っている。モニタリング研究等、長期的視点から
取り組むべき重要課題については、評価と予算配分への配慮を考えたい。 |
(4)研究支援業務の効率化・高度化について |
・ |
共同研究等を通じて先端的大型機器や設備の一層の外部利用の
促進を図ること。 |
・ |
モニタリングの成果のデータベース化は、事業推進と同様に
重要。さらなる充実を期待する。 |
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製造実験室を開放型実験施設として所内規程を整備し、公開しており、
大学等の利用が始まっている。データベースの充実は、水研センターの
重要任務のひとつと理解している。 |
(5)調査研究の連携と協力の推進 |
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水産研究所は、水産現場に近い水試等と基礎研究と教育を行う
大学をつなぐ水産研究の中核的存在。中央水産研究所の果たす
べき役割は重要で、一層の充実とリーダーシップを期待する。 |
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独法移行後、より現場に近づいた感がある。
今後とも水試等との協力・連携を期待する。 |
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水産研究に関する連携協力の要として任務を果たせるよう更に努力したい。
水試等との連携・協力は、水研センター運営の重要な柱と考えている。 |
2.試験及び研究、調査並びに技術の開発について |
(1)中課題評価について |
評価方法に関して以下の意見があった。 |
・ |
小課題の評価が決まれば自動的に中課題の評価が決まる
仕組みになっており、この会議での中課題評価の位置づけが
不明確である。 |
・ |
的確な中課題評価のためには小課題に関する適切な情報が
必要で会議資料の工夫が必要ある。(小課題の実施期間の
明示、小課題ごとの成果リストの添付等)。 |
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評価方法は、独法評価委員会の決定によるもので直ちに変更することは
難しいが、中課題の研究内容の審議については資料を更に整備し、的確な
検討を行えるよう努力する。 |
(2)研究内容について |
研究内容等に関して以下の意見があった。 |
・ |
すり身への微粒子化魚油添加の研究は、商品化により
水産業界の活性化に貢献するすばらしい研究である。 |
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水産業界は元気をなくしており、活性化策を提言できるように
成果をまとめてほしい。このままでは研究は残っても漁村は
無くなる。 |
・ |
技術・研究の達成度に応じた漁業制度の見直しが重要。
研究面から時代を先取りした提案を期待する。 |
・ |
利用加工分野だけでなく、他分野も企業、漁業界のニーズに
即応した研究に取り組み、産業研究所としての役割を果たして
ほしい。 |
・ |
資源関係では、資源評価・漁海況予報事業とのつながりをより
明確にした研究等の推進も図ってほしい。評価や予報に役立つ
ことがよく見える研究がもっとあってよい。 |
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「カタクチイワシの利用」に関して産官学共同で取り組む態勢を構築した。
第1期の終了を控え、次年度、各研究課題について利活用も含めた成果の
とりまとめを行う。次期の研究計画策定に当たっては、水産業界のニーズに
十分配慮したい。資源評価や漁海況予報については、第1期の成果をふまえ、
より実践的な研究が実施できると考えている。 |
3.専門分野を活かした社会貢献について |
(1)研修等について |
研修生等の外部の利用には研究部、研究室に偏りがある。調査・研究の
連携・協力の推進のため、外部の利用を促進する新たな方法あるいは
仕組みを期待する。 |
依頼研究員制度の運営態勢を整え利用促進を図っている。外部利用が
少ない部・室については、状況を分析し、対応策を検討する。 |
(2)委託事業について |
資源評価調査事業など委託事業が「社会貢献」と位置づけられているが、
それは第2の1(試験及び研究、調査並びに技術の開発)と両輪を
なす水産研究所の本務であると思う。大学でいえば研究に対する教育に
当たるともいえる。委託業務は、第2の1同様の手続きで各部あるいは
室の活動が評価されるべきでないか。研究成果を積極的に取り込み、
漁況予報や資源評価の高度化をはかると同時に事業の問題を研究課題と
してフィードバックする体制として、今回の組織改正に期待する。 |
事業の評価は、事業単位で行われるため、部・室の貢献が見えにくい
傾向がある。ご指摘の通り、所として評価する何らかの仕組みが必要で、
今後検討したい。なお、業績評価(個人評価)では、研究業績以外の
貢献も公平に評価している。 |
(3)新たな課題について |
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TAC、TAE等においては、特定魚種を対象とする
資源管理が行われてきたが、海洋・水産(業)の果たす
環境価値、アメニティ、生物多様性の観点からも資源の保全・
管理が必要と思われる。 |
・ |
食品安全性に関わる危機(リスク)管理システムの構築は
重要な今日的課題と思われる(コイヘルペス・水銀その他
環境ホルモン問題等)。リスク(危害)への対応(リスク
管理)に加えて、発生の未然防止策として何が求められるのか
など、リスク・コミュニケーションのあり方について
検討してほしい。 |
・ |
漁協、水産加工業界、水産試験場、各種法人等の体質改善面でも
見直しが必要ではないか。 |
・ |
「ISO14001」の認証取得について、神奈川県では実現に向け、
環境の保全と創造に関する各種の施策を積極的に推進して
いる。「環境立県かながわ」に在する中央水研も率先して
ISO14001の認証取得に取り組むことを期待する。 |
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・ |
「水産業及び漁村の多面的機能」に関する学術会議特別委員会の
答申作成に当所職員が協力している。16年度の答申(8月予定)の
内容を検討し、研究活動等に反映したい。 |
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リスク管理に関しては、事後対策(KHV、エチゼンクラゲ、
水銀等)に貢献した。未然防止に向け、食品安全に関して加工分野の
HPを開設したが、本格的な検討・対策は今後の課題である。 |
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ISO14001については、情報収集に着手する。 |
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4.成果の公表、普及、利活用について |
(1)広報について |
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水研ニュースをはじめ一般公開まで、成果の広報活動は大変
活発であると評価できる。論文発表も活発である。 |
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専門家・学会向けの専門性の高い研究成果広報に加え、
小中学生でもわかる表現・内容のビジュアルな刊行物も必要。 |
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既刊の刊行物を点検し、可能なものから逐次一般市民に分かりやすい内容に
改善する。必要に応じて新たに刊行する。 |
(2)ニーズ、普及について |
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一般社会への「発信力」が問われるなか、海、水産業、
水産資源等に対する国民(消費者)のニーズがどこにあるのかを
的確に把握すべき。 |
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研究成果がどこでどのように役立ち、漁業者(国民)からどう
見られているのか、追跡し確認する何らかの方策が必要と
思われる。 |
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HP、研究所一般公開、日光庁舎見学等を利用して一般市民のニーズ、
関心の対象等の把握に努める。また、「資源評価調査事業」に関する
各種会議での行政部門、漁業者等の要請・意見・質問等を収集し、
研究成果の追跡に活用する。 |