平成13年度研究所機関評価会議結果概要
中央水産研究所

 独立行政法人水産総合研究センター(水研センター)は、中央省庁等改革の流れを受け、水産に関わる調査・試験・研究を総合的に実施する機関として、これまでの水産庁研究所を統合し、平成13年4月1日に設立されました。
 独立行政法人は、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第32条第1項及び第33条において、中期目標の期間(平成13年度~17年度)における各事業年度の業務の実績を、年度計画に定められた項目ごとに取りまとめた報告書により、事業年度終了後3ヶ月以内に当該独立行政法人の主務省に置かれる独立行政法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)に提出し、その評価を受けなければならないこととされています。また、評価委員会は、通則法第32条第2項において、独立行政法人が提出する報告書を基に、中期計画の実施状況を調査・分析して、各事業年度における業務実績の全体について総合的な評価を行うこととされています。なお、水研センターは、中期目標第2の1及び中期計画第1の1において、運営状況、研究成果等について外部専門家、有識者の意見を参考に適正に評価し、その結果を研究資源配分や業務運営等に反映することとしています。
 これらのことから、水研センターとして、必要な規程等を整備し、外部委員を加えてセンター機関評価会議*1研究所機関評価会議*2研究評価部会*3を開催しました。
 この内、当研究所に係る研究所機関評価会議の結果概要は次のとおりです。また、センター機関評価会議の結果概要については、水研センターのホームページ(http://www.fra.affrc.go.jpを参照してください。
開催日時平成14年4月10日午後1時30分~5時30分
開催場所中央水産研究所特別会議室
出席者(下記のとおり)
結果の概要(下記のとおり)
外部委員の主な意見と対応方針(下記のとおり)
評価結果の反映方法(6月末現在)(下記のとおり)
中央水産研究所 評価会議及び部会開催状況(別紙のとおり)
3.出席者
外部委員:[敬称略、五十音順]
青木 一郎[東京大学大学院農学生命科学研究科教授]
小野 誠 [神奈川県漁業協同組合連合会代表理事会長]
嘉田 良平[農林水産政策研究所政策研究調整官](欠席)
長島 徳雄[(社)海洋水産システム協会専務理事]
吉野 佑治[千葉県農林水産部水産局次長
(前千葉県水産研究センター所長)]
中央水産研究所: 中村 保昭所長
中野 広企画連絡室長
森田 二郎総務課長
入江 隆彦生物生態部長
和田 克彦生物機能部長
入江 隆彦海洋生産部長(事務取扱)
梅沢 敏内水面利用部長
池田 和夫利用化学部長
中村 弘二加工流通部長
平尾 正之経営経済部長
靍田 義成海区水産業研究部長
石田 行正黒潮研究部長
飯田 恵三蒼鷹丸船長
畑中 寛独立行政法人水産総合研究センター理事長
(前所長事務取扱)
事務局等:
岸田 達企画連絡科長
藤橋 孝総務課課長補佐
4.結果の概要
議題結果の概要
主催者挨拶 所長から、評価委員の会議出席に感謝の意が表された。次に、独立行政法人化に伴い新たに水研センターに課せられた運営上の課題、中期計画から見た中央水産研究所の役割等についての紹介があり、今後、競争的資金の確保や経営的センスの醸成が重要であることが強調された。外部評価委員に対し、研究所の運営、研究や事業の実施状況等について多面的な評価、とりわけ価値を定める他に価値を高める観点から改善に向けての提言を頂けるよう要請があった。
座長選出 長島委員を推薦し了承された。
議事
1. 中央水産研究所機関評価会議について  企画連絡室長より、本会議の位置づけ、内容、及び研究評価部会に関する考え方・実施状況等について説明した。また、評価部会における課題評価の結果を報告した。
研究課題評価結果
S(計画を大きく上回って業務が進捗):13課題
A(計画に対して業務が順調に進捗):74課題
B(計画に対して業務がおおむね順調に進捗):14課題
C(目標達成が不十分):0課題
2.所の運営について
(1)運営体制と活動について 企画連絡室長より、13年度の本研究所の役割と組織体制、予算、船舶の運航状況等について説明した。「調査船運航に係る研究所間の調整」に関して質問があり、水産庁や他水研の調査船、さらに用船等の配置や運航計画を含めて研究所間の連携協力を図っている旨説明した。尚、蒼鷹丸は各部の要望を圧縮してフル稼働(年間205日運航)していると説明した。
(2)部課長会議について  企画連絡室長より、所の運営における部課長会議の役割と平成13年度の協議事項、特に、所における文書の管理と配付、14年度予算要求原案作成方針、13年度実行予算の作成(含経費の節約)、研究職員の資質向上に関する取組、庁舎管理の観点からネームプレート着用等について説明した。
(3)ブロック等試験研究推進会議について  企画連絡室長より、推進会議の位置づけ、対応方針及び具体的な会議結果と今後の対応について説明した。推進会議と部会の役割分担について質問があり、部会は各研究分野の責任者が研究の中身に関連する実質的事項を協議し、推進会議は場所責任者が研究推進方向及び各部会に論議された事項の決定や部会からの提案事項の検討、特命事項の提示等を行う、との回答をした。
3.所の研究施設の視察  ノリゲノム関係施設、RI施設、製造実験室、魚介類飼育施設、人工衛星情報受信施設を案内し、担当研究者が概要を説明した。
4.所の研究活動について  各研究部長から、部の業務実施状況、特筆すべき研究成果、研究評価部会の結果等について説明した。評価委員から、「アポトーシス(プログラムされた細胞死)への取組について」「経営経済研究について」「マイワシの資源評価について」等の質問があり、各部長から以下の補足説明を行った。
アポトーシス(プログラムされた細胞死)の課題化は、水産動物でも研究シーズとなると判断され、当所などが先鞭をつけ、現在も研究を推進している。
経営経済関係は、水産研究所・水産試験場等に関連部門がないので連携・協力が困難な状況があったが、他水研との共同調査、県の委託事業の企画・指導など着実に実績を挙げている。収益の出る漁船のあり方については、現在、底曳網漁業の経営分析などで貢献しているが、今後も経営改善に資する提言を出口に据えて行く。
中央水産研究所では現在、土佐湾をフィールドにマイワシなどの生物特性を研究しているが、年齢組成などの特性をみてもここでの成果は太平洋系群を代表しているものと考えている。また、黒潮続流域など、かなり沖合にマイワシなどが分布し、この海域に輸送されたマイワシなどの稚魚は混合域に発生する暖水渦の縁辺などを伝わり沿岸域に戻ると考えられるため、続流域での調査は太平洋系群の資源評価に重要であると考えられる。
5.評価について (1)業務及び研究状況に係るまとめ
 企画連絡室長から、実施している研究課題数、学会誌・研究報告公刊図書等への論文発表数、応嘱した委員数、受け入れた研修生数、共同研究数、連携大学院の実施状況、学会賞等の受賞者数等、具体的な所の活動のとりまとめ結果について説明した。
 評価委員から「競争的資金への対応」「任期付任用制度の導入」「選考採用枠の拡大」等について質問があり次のように補足説明をした。
 所における競争的資金として所内プロ研等を導入し、また所外の資金については積極的に応募させることを心がけている。また、任期付任用制度については実施すべく検討中である。選考採用枠が少ないのは、現在、試験採用も併用しているためである。
(2)評価委員から出された評価に関する意見
 次項5に記す。
(3)中央水産研究所の評価について
 評価委員による各項目の審査に入った。各評価項目に関して、座長並びに全委員から業務が順調に進捗していると評価された。
6.その他  所長から討議に対する謝辞を含め、中央水産研究所の当面の活動方針として以下の取りまとめがなされ閉会した。
 技術開発のスピード化が求められる中、これに適切に応え、ブロック対応、地域対応を強化したい。また、水産研究所の業務に対する理解者を増やして行きたい。さらに、県等の試験研究機関との連携を強化し、人事交流、情報の共有化を図って行きたい。
5.外部委員の主な意見と対応方針
外部委員の主な意見対応方針
1.運営体制と活動について
調査船運航に関し、調査海域が重なる場合などの連携はどのように図っているのか。  水産庁や他水研の調査船、さらに用船などの配置や運航計画を含めて水研間の連携協力を図っている。この方針を今後も継続する。

2.部課長会議について
管理経費節減努力は評価できる。  今後も部課長会議で決めた方針に基づいて、一層経費の削減等の運営に努力をする。
13年度から開始された運営費交付金による研究課題の中で、継承課題は、成果発表等のフォローが必要。  13年度から開始された大半の課題は、以前の研究の継承課題である。このため、以前の研究結果に対して、学会誌への論文発表等の成果の公表、その他のフォローが必要であり、研究職員に対して引き続き指導する。
競争的資金は導入されているか。  所として所内プロジェクト研究費やシーズ研究費を競争的資金として位置づけ、対応している。また、所外の競争的資金に関しては、積極的に応募するよう指導している。

3.ブロック等推進会議について
県に対する指導、研修を今後もお願いしたい。  推進会議で設置したワーキンググループは、ブロック等における研究の重点化等を図るほか、水産研究所・水産試験場間の人間関係を緊密にしたいとの意図もある。今後、推進会議の内容を一層充実するほか、研修生の受け入れ、研修会の実施等、積極的に取り組む。
民間との連携方策を考えて欲しい。  水産利用加工関係については、推進会議で企業・団体部会を設置している。本部会を活性化し、民間との連携を強化したい。また、企画連絡室を窓口とし、具体的な対応方策、例えば共同研究等を積極的に進める。
国研の成果実用化について協力を得たい。  所の研究成果については、所が主催するブロック推進会議等で報告し、連携をとれるようにしているところである。この他の事項については、企画連絡室に相談されれば具体的な対応をする。
4.所の研究活動について
沖合海域の資源や海洋研究は他機関にはできないので、水研で継続して欲しい。  これらの業務は水研センターとして重要であると認識しており、引き続き実施する。
沿岸環境は都市化の影響などで悪化しているのではないか。この分野の取り組みは如何。  重要な課題と捉えており、プロジェクト研究や重点的基礎研究として取り組んできたところであるが、今後も、プロジェクト等への参画をも含めて、研究を推進する。
民間は、経営経済に期待している部分が大きい。研究の出口を考えてほしい。  底曳網漁業で漁船の大きさと収益との関係について成果をあげ報告を出している。今後も漁業や加工業等の経営改善に資するように、また、提言として出せるよう研究をすすめる。

5.評価関係について
研究課題等に関する評価票については重複部分が多く、非常に判りにくい。 改善が必要。  今回、初めて導入した評価システムであったので、種々の問題があった。所としても改善が必要であると認識しているので、しかるべき会議に問題提起をするとともに、本部に改善を求める。
6.評価結果の反映方法(6月末現在)
改善措置をすでにとったもの今後検討するもの
県に対する指導、研修等の強化に関しては、部課長会議等でワーキンググループの具体的な進め方と進捗状況を確認し、作業も順調に進んでいる。今後も、所として方針通り引き続き対応する。

沿岸環境の悪化に対する研究については、現在、自然共生系等のプロジェクト研究で対応しているが、本プロジェクトを拡大する方向で検討しており、これに積極的に対応していきたい。

研究課題等評価様式の整理に関して、関係会議で問題提起したほか、本部に申し入れを行った。

13年度から開始された運営費交付金による研究課題の中で、以前の研究の継承課題は成果発表等のフォローが必要との件に関して、部課長会議等で協議を行い、所として研究職員に計画的に成果を論文等として公表するよう指導している。
民間との連携方策について、利用加工関係推進会議の企業・団体部会の運営の改善について検討する。
*1:センター機関評価会議
センター全体の機関運営及び研究実施に関する事項を評価
*2:研究所機関評価会議
各研究所単位に設置し、研究所の機関運営及び研究実施に関する事項を評価
*3:研究評価部会
各研究所研究部(支所)単位に設置し、当該研究部(支所)が担当する研究課題を評価

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