平成11年度中央水産研究所運営会議の概要

主催責任者:中央水産研究所長
  1. 開催日時:平成11年9月8日 13:30~17:30
  2. 開催場所:中央水産研究所特別会議室
  3. 出席者
    外部評価委員:
    大海原 宏  福井県立大学教授
    斎尾 恭子* 東京都食品技術センター所長
    島 一雄   海洋水産資源開発センター理事長
    清水 誠   東京大学名誉教授、日本大学教授
    須田 明   日本栽培漁業協会顧問、日本鰹鮪漁業協同組合連合会特別嘱託
    *:斎尾委員は当日欠席のため、評価を文書で提出。

    所内委員:
    所長、各部長、水産研究官(13名)

    その他:
    水産庁研究指導課(1名)、事務局(2名)

  4. 議事

    (1)所の沿革と現状 所長より、中央水産研究所の沿革、水産庁研究所での位置付け、及び平成10年10月1日付の組織改正に基づく現在の組織・体制について説明した。

    (2)施設、予算の概況 総務部長より予算の概況及び主な施設、船舶について説明した。

    (3)研究課題と進捗状況 企画調整部長より、平成10年作成の中央水産研究所の研究基本計画の概要について説明した。その後、各研究部長より、研究基本計画に基づく各大・中課題の進捗状況について説明した。

    (4)連携・調整 水産研究官より、水産研究官及び分野別研究官の業務、並びに水産庁研究所間の連携・調整について説明した。

    (5)行監報告 企画調整部長より、11年4月~7月にかけて行われた中央水産研究所の行政監察について概要を報告した。

    (6)独法化について 所長より、平成13年の水産庁研究所の独立行政法人化についての説明があった。

    (7)総括的評価 各外部委員より総括的な評価及びコメントを受けた。

    組織、体制について
     漁業活動に関するデータ収集機構を強化する必要がある。水研は専門的な生物学的情報を集め、生物学的研究の専門家として常にアドバイスできる体制にならないといけない。これによってデータの精度の維持、向上ができる。
     かつての水研は漁業(者)が対象であったが、これからは水域生態系及びその中の生物全てに対して責任を持って答える必要がある。野生生物の利用に関しては、その影響把握が常に求められるようになると考える。それに対応できる研究体制が必要。
     研究所の管轄水域に棲む生物の種類、及びその基礎的な生物学的情報について把握することが重要である。今後はMulti-species Managementへの対応体制を作る必要がある。

    研究課題について
     これからの水産庁研究所の研究はニーズ対応型よりもむしろ、提案型・情報発信型にシフトさせる必要がある。
     基礎研究については、科学技術庁・生研機構などを通じた、研究費・研究勢力を集中させ、短期間に成果を上げるタイプの研究への挑戦も必要であろう。
     社会科学系の研究課題について設定のポイントがずれている。過去の研究の蓄積と今日的な情勢を考察して最重要課題を適切に設定する必要がある。
     新産業創出の観点は利用加工、経営経済、海区水産業の分野において特に重要である。

    成果発表、研究評価について
     全体的に情報発信に関して努力不足である。魚介類の鮮度に関する優れた成果があるが、消費者にインターネットなどを通じてそれらの知見をわかりやすく受け渡す努力が必要。
     レフェリー制度のある学術論文への掲載数が少ない。外部評価に際しては客観的評価の出来る学術論文数は重要である。
     調査業務の重要性を考慮すべきである。

    連携協力について
     利用加工の分野において、成果の外部への受け渡しが必ずしもうまくいっていない。民間研究者を開発段階から巻き込み、特許権の共用などで民間等での実用化を目指すべき。社会科学部門との連携の中で進めると効率的である。