■ 海洋調査報告 中央水研ニュースNo.35(2005. 平成17年3月発行)掲載
海産生物放射能調査 セジメントトラップに捕捉された沈降粒子中の人工放射性核種 中央水産研究所海洋生産部海洋放射能研究室 皆川 昌幸


要 旨



要 旨
 海産生物放射能調査の一環として、旧ソ連・ロシアによる放射性廃棄物の海 洋投棄の影響を調べるため1999年からセジメントトラップ(沈降粒子捕集装置)実験を日本海盆(水深約3700m)で実施している。セジメントトラップは 水深約1100m~1500mと約3500mの2層に設置し、上下層とも1月間隔毎に試料が得られるように設定した。これまでのところ、沈降粒子からは過去核実験 起源である人工放射性核種
137Cs(半減期30年)のみが検出され、放射性廃棄物等の影響は特に認められていない。沈降粒子によって深海へ輸送される137Cs は上下層とも同じ傾向で変動し、上層で捕捉された137Csは1月以内で下層に捕捉されていたことを示していた。137Cs沈降量は春季に最大となり、全粒子束の変動傾向とは必ずしも一致していなかった。また、その年間降下量は現在大気 から日本の地表上へ降下する量と同レベルであった。これら結果は、春季に飛来する黄砂等の陸起源エアロゾル降下量と関係があること、海洋表面へ降下した137Csは約80m/day程度の沈降速度で沈降粒子によって深海へ輸送されている ことを示していた。
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