■ 研究紹介 中央水研ニュースNo.35(2005. 平成17年3月発行)掲載
LADCPによる黒潮前線渦構造の観測 (1)独自に開発したデータ処理方法とその誤差評価 斉藤 勉(海洋生産部海洋動態研究室)


要 旨



1. はじめに
 沿岸と沖合との間の海水交換やイワシ・アジ・サバなど重要魚種の卵・仔稚魚輸送過程に関わる黒潮前線渦の構造を詳細に観測することを目的として、中央水産研究所では1999年にLADCP(Lowered Acoustic Doppler Current Profiler)を導入した。LADCP観測は1990年代に海洋深層の流速計測を目的として開発された観測手法で、CTD観測と同時に実施され、各測点において密度(水温・塩分)の鉛直プロファイルと同時に流速の鉛直プロファイルについても水深1m間隔のデータとして得ることを可能とする観測手法である。蒼鷹丸による調査航海でこの測流機器を用い、九州南方から四国沖の黒潮前線域において観測を重ねてきた。観測の形態は測点間隔8NM(約15km)でのグリッド観測で、各測点で1000m深までの観測を実施した。これらのデータを用いることにより、水塊の分布と流速場の関係についての詳細な検討や、黒潮前線域における沿岸と沖合との間の海水交換過程に関わる各等密度層における渦位・発散の分布等についての解析が可能となった。この間、実際の調査を通してLADCP観測手法及びデータ処理・解析手法についても検討・改良を重ねその確立に取り組んできた。今回はこの技術的側面に関しての話題、独自に開発したLADCP観測データの処理方法とその誤差評価について検討した取り組みについて紹介する。
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