中央水研ニュースNo.33(2004...平成16年3月発行)掲載 |
【情報の発信と交流】 高知庁舎「海の日」一般公開
梨田一也
高知庁舎は,今年も「海の日」の7月21日(月,祝日)に「黒潮の海と生き物」をメインテーマに一般公開を行いました。今年は,「ハッピーマンデー」ということで例年の7月20日ではなく,翌日の月曜日に変更となりました。今年も,ここ数年来と同様「海の日」の直前に中央ブロックの「長期漁海況予報会議」と「資源評価会議」が開催され,そちらの方に気をとられて,思うように準備が進みませんでした。さらに昨年までは黒潮調査研究官が事務局長として様々な準備を行っておりましたが,この4月にこのポストがなくなったこともあって,準備万端というわけではありませんでした。しかし,職員の奮闘によって何とか無事開催にこぎつけました。昨年,高知庁舎近くの約1万世帯を対象にチラシを配布したところ,かなりの効果があったことが分かり,今年もチラシの新聞折り込みを直前の土曜日に行いました。また,「高知みなとまつり」の行事の一つである写生大会の受付会場が,昨年までのフェリーターミナルが使用できなくなったことによって,高知庁舎の敷地の一部を使用させて欲しいという要請があり,その参加者が一般公開にも参加してくれるのではないかという意図もあって応諾しましたが,実際には雨で写生大会が延期となり,このもくろみはもろくも崩れ去りました。 当日はあいにくの小雨模様で,目玉である調査船「こたか丸」の一般公開を中止したこと,さらに連休最終日ということもあって参加者の伸びが心配されましたが,約200名と思いの外,多くの見学者に恵まれました。アンケートで一般公開のことをどこで知ったかと尋ねると,やはりチラシと答えた方が半数近くを占め,県や市の広報も合わせると6割近くに達し,このような広報活動が大事なことを再確認しました。参加者の約7割が初めて参加されたという結果も,広報活動のたまものでした。展示物等で人気があったのは,昨年同様,顕微鏡観察が最も多く,普段口にしている「どろめ」(いわし類の稚魚)を顕微鏡でのぞいてびっくりしたという方もいました(写真1)。また,標本類も好評で,昨年のウナギ釣りの代わりに行った稚ゴイのすくい取りや,「海の日」の前日に海に潜って採集したナマコやウニ,こたか丸の機関長に桟橋でカゴをぶら下げ採集してもらったカニ類などを入れたタッチプールも小さな子供達には好評でした(写真2)。また,蒼鷹丸やこたか丸でカップラーメンの容器を深海に沈めて小さくしたものを喜んで持ち帰った方も多くいらっしゃいました。なかには各研究室の研究内容の展示物について,これまで全く知らなかった海の生物や黒潮の流れの実態を丁寧に説明してもらって非常に勉強になったという方もおられました。さらに,会場の冷房の効いた一角で開かれたこたか丸のロープワーク教室では,きれいな置物作りに没頭する方もいました。 今年で8回目を迎えた「海の日」一般公開を開催して感じたことは,このような地道な広報活動が,私たちの研究内容を知ってもらうには非常に大切なこと,さらに日常的に研究成果の情報発信を行っていくことの大切さを思い知った一日でした。 (黒潮研究部 資源生態研究室 主任研究官)
Kazuya Nashida |