中央水研ニュースNo.32(2003...平成15年7月発行)掲載

【研究調整】
中央水産研究所機関評価会議について
中野 広

 標記会議は,15年3月18日(火)に中央水産研究所で開催した。本機関評価委員は,座長を長島徳雄(社)海洋水産システム協会専務理事,委員として,青木一郎東京大学大学院教授,小野誠神奈川県漁業協同組合連合会会長理事,嘉田良平農林水産政策研究所研究調整官,萬上聰一朗千葉県水産研究センター長にお願いした。
 所長から,「機関評価会議は,評価が目的ではなく,評価されることによってより高い水準に活動を高めるためものである。本会議の議題設定や資料も,所運営に係る基本的な考え方,具体的取り組み等,1年間の活動とその結果が判る様にした。所運営,研究の推進方向,研究計画,研究成果等をトータルな観点から評価頂き,必要に応じて改善方策等の提言を頂けるよう」との要請があった。  
 中央水研より,議題に沿って資料をもとに報告を行い,各項目について,質疑応答を行った。 委員から出された代表的な質問・意見とそれへの回答について列記する。
(1)評価部会の結果に関して,「研究評価部会の評価Sの評価基準」についての質問に対して,特に進展のあったもの,画期的な発見等がされたものなどとの回答を行い,具体例として,利用化学部長と海区水産業研究部長から該当する成果に対して説明した。
(2)所運営関連事項(運営態勢(組織的体制と運営),活動方針の立案と具体的な対応)について,「研究者における内部的業務と対外的業務,個人的研究と組織的研究のバランス」について質問があり,研究目標の達成や研究成果の創出を図りつつ行政対応,組織対応,緊急対応等バランスを考えながら行なわせており,一般研究とプロジェクト研究では基本的にはライフステージに対応させ,若い職員は一般研究にウェイトを置き,次第にプロジェクトへ進ませる旨説明した。「大学院の社会人入学」についての質問では,海区水産業研究部,黒潮研究部等に大学院の社会人入学者が数名おり,所としても本制度利用を押し進めている旨の説明をした。また,委員から「論文作成における個別指導は大切であり評価する」,「BSEの反省から食品の安全が柱となり,リスク管理,リスク評価が重要視されている。リスクの想定や未然に防ぐ対策など幅広く検討してほしい」「人材育成は重要でありその取り組みは評価できる」等の意見が出された。推進会議関係については,「利用加工推進会議では民間企業との連携作り等が見えてくるような会議であった」,「推進会議の推進態勢はニーズに合った仕組みであり,評価できる」等の意見が出された。
(3)各部の研究成果に関して,「ナマズによるブルーギルの駆除の効果」「水産食品を中心とした日本型食生活に係る効果」を国民の目に見える総合的研究として進めることが望ましい,廃棄物関連では「水産物からのセラミド誘導体の抽出」「カニの甲羅等のキチン質についての研究」「廃棄物対策」等の質問があり,それぞれ関連部長から回答をした。
(4)この他,平成13年度機関評価会議のフォローアップについて報告を行った。
 これらの報告,質疑応答を受け,評価委員間での協議された後,座長から,①所運営については,各種会議が効率的に行われ,競争的環境も醸成されつつあり,人材育成への取り組みも良策である。統合により,中央水研独自の研究が阻害されることのないよう配慮願いたい。②研究推進方策については,ブロック等の推進会議活動も活発である。研究ニーズの発掘や社会のニーズを発掘するための一層の配慮を願いたい。③研究の進捗状況については,研究の成果等により社会貢献している様が見られ,論文作成に係る指導も良策である。今後は外部専門家を参画させて研究の展開を進めるなどの方策や国際化に対応した発信を視野に入れた方策にも配慮願いたい,との総括評価がなされた。委員の補足意見として,「論文作成数の増加対策や機関評価会議のフォローアップ等によりその成果が現れている」「地域や業界などとのパートナーシップを考え,メディアを上手に活用し,子供でもわかる研究成果の発表を願いたい」,また,「現場から問題を発信して頂けるサポーターの養成を検討してほしい」旨の意見があった。  
 最後に,所長が,感謝の意を述べた後,①日頃から機関評価結果を反映させることが肝要と所員に言っている。評価結果を良い意味で重荷と考え,一層の努力をしたい。②パートナーシップは今後重要な課題だとの指摘については,地域への双方向のシステムを作って行きたい。③リスク評価及び管理についての努力も必要と考える。④資源に係る国際対応については,当所としても経営経済や利用加工に係る事項については努力したい等,評価結果に対する今後の取り組み対応について決意を述べた。
 なお,報告書については中央水研ホームページに掲載しているので参照願いたい。
(企画連絡室長)

Hiroshi Nakano
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