中央水研ニュースNo.29(平成14年7月発行)掲載

【研究調整】
平成13年度水産利用加工関係試験研究推進会議について
池田 和夫

 平成14年2月13日に中央水産研究所講堂で標記推進会議を開催した。
 構成者は行政機関4名,都道府県部会6名,企業・団体部会4名,中央水研所長が必要と認める者(大学院教授,水産総合研究センター内の水研利用加工担当企画連絡室長(日本海区水産研究所企連室長),検査機関,団体)4名,水産総合研究センター研究推進部職員及び中央水研職員である。
 中央水研所長と水産庁から挨拶があり,運営要領の承認を得たあと,議事に入った。議事に関する概要は以下の通りであった。
1.「水産研究・技術開発戦略」の達成状況
 都道府県から提出された126研究課題と中央水産研究所から提出した38課題を「水産研究・技術開発戦略」に沿って取りまとめた資料が提出された。これらは本推進会議の「都道府県部会」で報告され,協議済みであること,部会後にも修正などの意見は寄せられていないことなどが報告され,了承された。
 企業・団体については,2つの民間研究所からお知らせいただいた特許一覧から研究内容を類推し,また,他の研究機関や研究団体の企業案内などから類推して,いずれも「戦略」に合致していると考えられること,などを「企業・団体部会」で説明済みであることを報告し,了承された。企業が「今,行っていること」を公表することは無いと考えられるので,企業・団体が現在行っている研究を「戦略」に沿って整理することは,困難と考えられる。なお,企業・団体が国の補助・委託などで事業を行う場合は,当然「戦略」に合致していることとなる。
2.研究課題の重点化及びその内容
 「都道府県部会」での本件に対する活発な論議をふまえて,中央水研が予め整理した4つの課題(イカ新需要開拓のための技術開発,水産加工廃棄物の創資源化技術開発,腸炎ビブリオ対策など魚介類の安全性確保技術開発,美味しい養殖魚作りと超鮮度保持技術の開発)について,事業等の課題化を目指した勉強会の立ち上げと実施方法を提案し,了承された。具体的には,中央水研の2部長が責任者となり,室長が都道府県,企業,団体や検査機関など関連のある機関に勉強会への参加の意志を問い,幹事県を決め,勉強会を関連会議との同時開催やメールなどを活用して進めていこうとするものである。
3.研究推進体制に関すること
 日本海ブロック(富山県)から,水産利用加工関係の都道府県試験研究機関の中には,全国水産試験場長会に組織されていない機関が多くあるために,水産利用加工関係の場長会の設立,又は,この推進会議を水産利用加工関係の場長会として機能するようにすればどうかという要望があった。
4.研究成果に関すること
 構成者から,人員・試験研究費の年毎の削減,評価の導入と課題立案の集中化などの各機関における機構改革の実施等の現状が報告された。また,大学における改革の現状の説明があった。
 都道府県と中央水産研究所から提出された23の「水産研究成果情報」候補課題を提案元機関の長,中央水研利用化学部長または加工流通部長が説明し,質疑ののち,すべて採択された。広報に関しては,ホームページへ掲載する場合には,提出者への確認が必要であろうという意見が構成者から出された。
5.研究ニーズに関すること
 研究ニーズについては「2.研究課題の重点化及びその内容」の欄に同じであるが,それ以外に,昭和58年に出版された「水産加工総覧」の改訂について出版社からの要請があり,都道府県の協力を得て都道府県部会として行っていきたい旨了承された,との報告があり,現在の技術の保持,記録といった意味合いもあり,本推進会議でも了承された。
6.その他の事項
 本推進会議は傘下に2部会を持っており,都道府県部会には情報交換の場として「2つの研究会」がある。この研究会の都道府県部会構成者以外への公開について「都道府県部会幹事会」や「都道府県部会」に,賛成と慎重の2つの意見がある。これらのことを説明し,本推進会議の意見を求めたが,同様の2つの意見が表明され,今後,幹事会等で論議を深めていくこととした。また,部会の活性化を目的に「企業・団体部会」の幹事を増員する方向で検討していることを報告し,了承を得た。
(利用化学部長)

Kazuo Ikeda
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