中央水研ニュースNo.29(平成14年7月発行)掲載
【研究情報】各部の平成13年度の活動と平成14年度の方針

[内水面利用部]
ブルーギルの研究を開始
梅澤 敏

 内水面利用部は,平成13年度に交付金課題を3課題,プロ研を9課題,受託を2課題実施し,中期計画の中課題の「内水面における天然生産力の回復技術の開発」を主に担当しています。これらの研究課題については,外部委員を長野県水産試験場長に委嘱して,2月26日に開催された研究評価部会で検討されました。この他の活動としては,論文を12編,公刊図書を1編を発表し,特別研究員,重点支援研究協力員,研修生をそれぞれ1名受け入れ,委員等の応嘱は6件でした。さらに,当部が事務局を担っている内水面関係試験研究推進会議を2月14日~15日に開催し,水産研究・技術戦略に関する研究状況の整理を行い,重点を置くべき研究等について協議しました。この中で部会及び河川環境の悪化に対応し,今後の研究方向を検討するために「河川環境研究会」を設置することが合意されました。
 次に,平成13年度で実施した14課題のうち,主な研究成果を紹介します。
 ①アユの生態的特性と遺伝的特性に関する課題は,降下仔魚から親魚までの減耗過程を解明し及び河川の環境収容力を把握しアユの放流管理に資することを目的とし,潜水目視法が資源量推定に有効であること,アユの放流によって魚種組成が変わること明らかにした。アユの地域個体群の遺伝的差異に関する研究においては,琵琶湖に流入する河川でも遺伝子組成に違いがあることが判明しました。
 ②ブラックバスの生態的特性の把握と駆除技術の開発に関する課題では,バスの産卵は水温15℃以上で始まり,産卵床は水深40~170cmの砂礫底の大石や倒木,人工構築物周辺に形成されること,在来魚のウグイ,コイ等によりかなりの卵稚仔が捕食され,特にウナギ等の夜行性の魚類は卵稚子を減少させるのに有効であることを明らかにしました。
 ③主要淡水魚地域個体群の生態的特性と遺伝的多様性の解明に関する課題では,イワナを対象に鬼怒川をモデルとして調査した結果,在来個体群と推定されるものは滝や堰堤で遡上が阻害されている源流部のみにわずかに生息するのみで,過去に生息していたと言われる沢でも半数が,絶滅あるいはそれに近い状態であることが明らかになりました。
 ④砂礫底を産卵場所とする魚類の再生産に及ぼす河川構造の影響解明の課題では,ウグイにおいて産卵場環境に雌のみを移行した場合には,排卵・放卵が認められ,雄のみを移行した場合には排精が起こらないことが明らかとなりました。
 ⑤アユ冷水病の防止方法の研究では,アユの輸送過程において,水流を起こして成群させることによりストレスの減少が可能であることが判明しました。
 以上平成13年度の活動を示したが,平成14年度には,引き続き交付金課題,プロ研を継続して実施する他,新たに,滋賀県からアユ冷水病対策総合研究を,水産庁からブルーギル駆除対策事業を受託します。ブルーギルに関しては県等の試験研究機関との課題設計会議の開催を予定してます。この他,内水面関係では,希少魚の保護,カワウ対策,アユの冷水病等,湖沼・河川の生態系の保全に関することから漁業,遊魚の振興に関すること等まで,問題が非常に多岐にわたっています。これらに限られた人的資源で対応するには,内水面推進会議での論議を踏まえ,県等との役割と分担を明らかにして連携協力を強化する必要があります。今後とも,ご協力ご支援をお願いします。
内水面利用部長

Satoshi Umezawa
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