中央水研ニュースNo.28(平成14年3月発行)掲載

【研究調整】
我が国周辺水域資源調査等推進対策委託事業関連諸会議の概要
坂本 久雄

平成13年度第2回太平洋イワシ,アジ,サバ等長期漁海況予報会議
 12月12日9時30分~13日12時にかけて中央水産研究所(横浜)会議室において都道県水試など33機関84名の出席により,平成14年1月~6月の期間における薩南海域~常磐海域の海況予報と太平洋系群に属するマサバ,ゴマサバ,マアジ,マイワシ,カタクチイワシ,ウルメイワシの漁況予報を作成した。出席者により採択された予報の概要を次に示す。
海況
 薩南海域の黒潮北縁位置は屋久島付近から屋久島の南で推移する。九州南東沖では12月後半に接岸傾向,1月後半に小蛇行が形成,3月前半には接岸傾向,5月前半に再び小蛇行が形成,6月後半には接岸傾向となる。室戸岬沖~潮岬沖では1月前半に接岸傾向,2月~3月に離岸傾向,3月後半に接岸傾向,5月後半~6月に離岸傾向となる。潮岬以東の黒潮流型は1月前半に一時的にB型となり,その後1月後半から3月前半の期間にC型→D型→N型と推移する。3月後半にはB型となり,その後4月から6月の期間にC型→D型→N型と推移する。
漁況(各海域への来遊量)
マサバおよびゴマサバ太平洋系群:薩南~常磐海域では,さば類全体に前年を下回る。
マアジ太平洋系群:薩南では前年並み,日向灘,豊後水道では前年を上回る。紀伊水道外域,熊野灘,相模湾では全体として前年を下回る。
マイワシ太平洋系群:北薩~紀伊水道西部では前年並みか前年を下回る低水準。紀伊水道東部では前年を上回る。熊野灘では,全体として前年を上回る。渥美外海では前年を上回る。遠州灘~駿河湾では前年を下回る。相模湾では1歳魚は前年を若干下回り,2歳魚は前年を上回る。房総~道東では全体として前年を大きく下回る。
カタクチイワシ太平洋系群:北薩~紀伊水道では前年並みか前年を下回り低調。熊野灘は前年を上回る。伊勢湾と渥美外海は前年を下回る。駿河湾は前年並み。相模湾は前年を下回る。常磐~房総のまき網漁場では,全体としては前年を下回る。三陸南部~仙台湾,北海道の定置網では前年並み。
ウルメイワシ太平洋南部系群:北薩~薩南では前年を上回る。日向灘では前年並みか前年を上回る。豊後水道西部,土佐湾では前年並み。豊後水道東部は前年を上回る。紀伊水道西部では低調の前年並み。紀伊水道東部では前年並み。熊野灘では前年並みか前年をやや上回る。

平成13年度第2回中央ブロック資源評価調査担当者会議
 12月13日13時~15時,中央水産研究所(横浜)会議室において水産庁,都道県水試など28機関53名の出席により,資源評価調査の進捗状況,事業予算及び関連事項について意見交換が行われた。資源評価調査については各都道県とも概ね順調に進行しているが,卵稚仔同定業務については,外注業者を来年度も同じとすること及び4月初めから外注可能とすることが要望された。黒潮研究部からは①モジャコの加入情報等の各種調査結果を資源評価票へ記述したいので逐次報告願いたい。②ブリ生物測定で体長組成に銘柄情報を加えてFRESCOに入力願いたいとの要望が示され,更に③新規加入量調査手法における幼魚採集ネットの開発現況報告がなされた。生物生態部からは①マサバ加入量調査,②ゴマサバ耳石年齢査定,③マサバ年齢査定(耳石と鱗の年令査定結果比較)の結果が報告された。水産庁漁場資源課の望月資源管理調査係長より,14年度の資源評価調査事業再委託費は13年度より減額されること,資源回復計画が14年度からスタートすること,TAE(Total Allowable Effort)に指定される魚種については「我が国」予算での対応が求められること等の報告がなされた。黒潮研究部三谷室長より,水研魚 種別研究チームの現状が紹介された。入江黒潮研究部長より,事業で得られた成果を利用しての論文執筆は許可を得て行うことが求められているとの説明がなされた。その他,①厚生労働省の交付金特別雇用対策費(地域雇用対策,14年1月1日~)の活用検討案内(望月資源管理調査係長),(例)河口域における生産性調査(人件費8割超)。②ブロック資源管理研修会(2月横浜)の案内がなされた(三谷室長)。③TAE指定魚種(資源回復計画)の資源評価の実施主体は如何との質問に対して,望月係長から,資源回復計画は基本的に県主体の委員会で行うものであり,水研センターの参画の仕方については検討中との回答があった。

(黒潮研究部黒潮調査研究官)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp
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