【研究調整】
平成13年度水産利用加工関係試験研究推進会議部会報告
-都道府県部会-
池田 和夫

 平成13年12月17日に「都道府県部会」を開催した。この部会の設立経緯については,「企業・団体部会」報告に記述したのでご参照願いたい。
 開催に先立って9月に従前の6ブロックの幹事県にお集まりいただき,部会の位置づけ等の改正点の説明,「都道府県部会」に向けて,研究の動向,研究課題のアンケート実施についての協力をお願いした。また,「都道府県部会」の構成員として1研究機関当たり1名で責任者とし,研究の重点化,推進方向等を作る議論を中心とした運営を行うこととした。

「都道府県部会」報告
 中央水産研究所長,水産庁漁政部加工流通課課長補佐から挨拶後,農林水産省総合食品局食品産業企画課技術室,農林水産技術会議事務局技術政策課,水産庁漁政部加工流通課,水産庁増殖推進部研究指導課,水産庁増殖推進部研究指導課海洋技術室,(独)食品総合研究所,(独)畜産草地研究所,(独)農林水産消費技術センター,(独)国際農林水産業研究センターより,水産利用加工関連事業及び情勢について報告があった。

 まず,「水産研究・技術開発戦略」について,背景等の策定の経緯について説明をおこない,次いで幹事より各ブロックにおけるアンケート資料の収集結果,及び,ブロックの研究動向などについて説明後,中央水研より,「戦略」に照らした都道府県及び中央水研の利用加工関係部門の試験・研究課題の整理・集約結果について報告した。
 アンケートに記載された研究課題数は126で,「戦略」の中にある利用加工関係の4つの項目に整理すると,

「水産物の品質・安全性評価技術の開発」は44課題,
「低・未利用資源の活用のための加工技術の開発」は69課題
「水産生物成分の有用機能の解明及び利用技術開発」は9課題
「水産物の原産地などの特定技術の開発」は無し
その他6課題
ということになった。(但し一部重複がある)
 これをみると低・未利用資源の活用に関する研究が多く,社会のニーズを反映して都道府県及び中央水研はこの分野について研究資源が投入されていると考えられた。また,試験研究以外の項目(例えば企業への技術指導や研修など)については,都道府県水試の重要な業務の1つであるが,試験研究業務ではないために「その他」とした。

 次に,研究重点化事項及び研究推進のための連携協力などが議論された。
 未利用資源の有効利用,加工廃棄物対策,安全性問題,鮮度保持研究などの緊急に対応する必要がある等の意見が都道府県から示され,活発に論議が交わされた。これらについては,問題解決のために事業化を目指して,勉強会などの形で検討を開始する方向で合意され,推進会議までに内容を整理することとした。中央水研企画連絡室長から,今後各都道府県における問題解決のためにはは,この様な勉強会の中から作り上げていくという提案型事業とする必要性がある旨の発言があった。

 さらに,「水産研究成果情報」について,候補課題が示され,推進会議に報告する事が了承された。

 その他,昭和58年に旧東海水研や都道府県の協力で出版された「水産加工総覧」の改訂が出版社から求められており,都道府県の協力を得て本部会の成果として行っていきたい旨の提案があり,現在の技術の保持,記録といった意味合いもあり,協力して進めることとなった。

 また,「2つの研究会」への企業・団体部会からの参加要請について,本年度に関しては参加を認めることで,了解を得た。次年度以降の参加について意見を求め,幹事会で出された公開についての賛成論と慎重論の2つの意見を紹介したが,発言はなかった。次年度に向けて幹事会などの場で検討することとした。

(利用化学部長)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp
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