中央水研ニュースNo.28(平成14年3月発行)掲載

【研究調整】
平成13年度水産利用加工関係試験研究推進会議部会報告
-企業・団体部会-
池田 和夫

 平成13年4月1日より,推進会議の運営は,水産総合研究センターが水産庁から受託し,対応することになった。従来の目的に加えて,新たに水産庁が作成した「水産研究・技術開発戦略」の達成状況等を検討する場ともなった。  水産利用加工関係試験研究推進会議は水産利用加工研究推進全国会議を引き継ぐ形で,利用加工分野の試験研究推進会議として発足した。下部組織として民間懇を母体とした「企業・団体部会」と,都道府県研究機関を構成員とする「都道府県部会」を設置し,「都道府県部会」には情報交換の場として「資源利用研究会」と「品質安全技術研究会」の2つの研究会を置くこととした。

「企業・団体部会」報告
平成13年11月27日に「企業・団体部会」を開催した。  中央水産研究所企画連絡室長,水産庁増殖推進部研究指導課海洋技術室長が挨拶を行った後,農林水産省総合食料局食品産業企画課技術室,水産庁漁政部加工流通課,水産庁増殖推進部研究指導課,水産庁増殖推進部研究指導課海洋技術室からそれぞれ水産利用加工関連事業及び最近の情勢について報告があった。  第1回目の部会として「団体・独法と水産加工流通事業」についての講演を企画し,以下の話題提供が行われた。

1)マリノフォーラム21と利用加工関連事業について
マリノフォーラム21藤田専務理事
(概略)マリノフォーラム21の組織と技術研究について説明があった。昭和61年に設立され,現在,8つの研究会があり,明確な開発種目を定めて民間企業会員の積極的な参加によって運営推進されている。比較的リスクの高い技術開発に取り組んでおり,民間活力を引き出している。資源に関する研究会のように,一般の商品とは異なるようなものを対象とする場合もある。また,国の補助事業を実施し,積極的に技術開発に貢献している。今後の課題は重要な案件を発掘することであると結んだ。

2)海洋水産システム協会の活動と流通加工関連事業
海洋水産システム協会長島専務理事
(概要)協会が行っている水産加工流通関係の技術開発について説明があった。大正13年に設立された「漁船機関士協会」を核として,3つの法人や研究会が平成13年に集まって設立された。漁船や水産業に用いられる工学システムに関する総合的なエンジニアリングを基礎として,水産業に貢献することが設立目的となっている。漁船漁業に用いられる多くの工学的装置の開発や流通加工用機械の開発などを手掛けている。また,高温高湿という悪条件下でのセンサーの開発など,水産関連機器の研究開発を行い,水産業に貢献している。

3)産官学連携事業について
農林水産消費技術センター消費者情報部條技術研究課長
(概要)消費者対応業務とJAS関連業務が主たる業務であり,依頼検査や調査研究,精度管理なども含まれる。7つのセンターが全国をカバーしている。当技術センターは食品総合研究所やその他の機関と協力して,産官学連携交流事業講習会を開催している。製造・加工,品質管理,検査分析など食品に関する各種の技術向上のために,調査研究情報の提供,行政情報の提供を行うと共に,現場ニーズの発掘をするために講習会を行っている。

4)資料による情報提供
「水産研究・技術開発戦略」について説明を行った。中央水研利用加工2部の研究実施課題は,中期計画に沿って設定されており,中期計画は「戦略」に基づいている。また,企業より提供いただいた2社からの「特許一覧」及び3社からの会社案内パンフレット及び5団体からのデータから,品質・安全に関する試験研究及び新製品の開発が主流であった。

産官学の連携について以下の通り説明を行った。
 中央水研利用加工2部は平成12年は20機関と11課題について研究協力を行っている。また,平成13年は8課題について民間企業と連携協力して研究開発を進めている。連携協力については,手続きの明確化,簡便化を図っており,今後も,中期計画・「戦略」に合致した研究開発にあらゆる段階,規模で,連携・協力して,推進していきたいという考えを示した。

その他の討議
 旧民間懇と「企業・団体部会」との違和感について質問があり,次年度の開催方法等について幹事会や中央水研で検討することとした。

(利用化学部長)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp
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