中央水研ニュースNo.27(2001(H13).11発行)掲載

【情報の発信と交流】
一般公開報告-黒潮研究部・こたか丸
三谷卓美

 中央水産研究所高知では,平成13年7月20日の海の日に「黒潮の海と生き物」をテーマに一般公開を実施しま した。本年度も高知港を中心に行われた第42回高知みなとまつりの関係行事としました。水産研究所が独立行 政法人となって初めての一般公開であり,研究業務の内容を紹介し理解して頂く良い機会となりました。
 庁舎ではパネル,標本,観測機器の展示による研究紹介や,当日の朝に浦戸湾で採集したプランクトンの顕 微鏡観察を行いました。本年度は新しい試みとして,クイズ形式(いわししらすの種類分け,カップ麺容器の 水深による縮み具合)による展示と観覧中の訪問者を展示物と一緒に撮影したオリジナルパットの作成配布を 行いました。こたか丸の浮桟橋で採集したカニ類などのタッチングプールでは子供たちの歓声(と泣き声)が 上がっていました。展示のなかで隠れた人気者は,こたか丸による土佐湾の底曳調査で採集しパンライト水槽 にホルマリン漬けされたウスエイ(体盤長130cm,体重82kg)でした。
 こたか丸の公開も行いました。海の日の写生大会でこたか丸を描いていたご家族をデッキと研究室,船橋に 案内しました。一巡する間には,魚探や船の操縦法についての鋭い質問もありました。
 調査船と庁舎を見学した後にアンケートに回答してくれた1人の子供の感想です。

・船がすごかった。
・プランクトンをはじめてみた。
・エイがあんなにでかいとは知らなかった。
・あの写真はおもしろいと思った。
(どの展示写真かと気にした各研究室担当者でしたが,どうもオリジナルパットのことのようです)

 来訪者は庁舎に90名,こたか丸に61名で,昨年に比べそれぞれ10%及び25%の減少でした。展示の工夫など に拘わらず来訪者が減少している理由については,正直なところ,職員の家族への動員が効かなくなっている のは確かです。第1回(平成8年年度)には職員のほとんどが高知で所帯持ちでしたが,近年では単身赴任者が 増加しています。また,お父ちゃんは小遣いの前借りが多くなり,駄賃で家族子供を釣ることも難しい現状で す。
 一方で,夏休みの自由研究を既に始めた隣接の高知南高等学校の生徒さんや,デートコースに組み込んで頂 いた若者組,そして70歳は過ぎているご年配方の,熱心な「滞在型」来訪者の数は年々増加しています。毎年 楽しみにして頂いている顔馴染みの方もおられます。
 反省会では,次々年度から海の日がハッピーマンデイとなる祝日となり開催日を選んだ方が良いかも知れな いこと,海の日用のパネルの常時展示を検討すること,出前講義や広く各種団体へ見学案内すること等につい て意見が出ておりました。今後も工夫しながらより良い一般公開としていきたいと考えております。

(黒潮研究部資源評価研究長)


図1.庁舎会議室でのパネル展示


図2.カニのはさみが怖かったタッチングプール


Takumi Mitani
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