中央水研ニュースNo.22(1998(H10).10発行)掲載

【情報の発信と交流】
水産研究に関する研究情報等について
若林 清

提 供 さ れ た 情 報 の 仕 分 け
第Ⅳ期  平成10年4月(1月~3月)
  (1)推進会議において連携・調整を要する事項 (2)中央水研において行うべき海区共通基盤的事項 (3)特定の専門分野あるいは海区水研で対応すべき事項 (4)その他
推進会議において了解された事項 海洋生態系研究の推進方向 ・ポストバイコス課題の技会ヒアリングの意見提出、課題検 討(南西、西)
・平11向け特研課題「二枚貝」をブラッシュアップ作業中(南西)
  ・科学技術振興調整費「革新的ブイ」による栄養塩、基礎生 産力計測システム搭載の定点保持型ブイの開発(東北、工)
・環境庁地球環境推進費「アジア海域の有害化学物質の動態 解明」で東シナ海における有機ハロゲンのサンプリング(西)
・科技庁促進費の新規課題「亜熱帯循環系の海洋変動・低次 生産変動」のヒアリング)(西)
・環境庁地球環境推進費「河川経由の環境負荷」で5月長江 河口域の海外乗船調査(西)
・日本海における過去30年の平均水温の算出と公表(日)
・採集器具及び調査手法の標準化に必要な「日水研型桁網」 が完成(日)
・研究集会(西)
・簡易型コアーサンプラーの紹介(養)
最近の科学技術政策の動向と研究対応   ・「海外における資源管理に関するレビュー」を推進会議 に連動して開催を検討中(中) ・東北ブロックにおける沿岸定線観測データの統計的解 析と解析技術の研修(東北)
・オホーツクと日本海の海氷・モデル研究で北大と、物 質循環・水産環境のモデル開発で九大と共同研究(日)
・国産XCTDの国際標準測器への認知見込み(遠)
・南極海中深層水の生物生産関連研究(遠)
・エルニーニョ関連の科技庁促進費への取り組み(遠)
・UJNR水産増養殖専門部会の共同研究(ヒラメ放流実験、 トヤマエビの生殖周期等)(日)
・公開シンポ(西)
緊急時における連絡体制等について ・油流出事故における防除及び対策立案に役立てるため、 水産庁では漁業の実態、海岸線の状況、藻場や干潟の分布、 産卵場や保護水面の分布等、海域環境基礎情報を整備(中) ・増養殖分野の緊急事態に対応する体制の重要性認識(北) ・N号油流出事故の協議会、報告会、評価会議の開催(日)
・緊急事態への対応システムについて水試と協議。データ ベース、研究情報網や連絡体制を整備する方向(日)
水産研究官が日常的に分析すべき事 専門分野を越えて共通する事項   ・内分泌攪乱物質の生態系への影響が危惧されている問題に関し、 水産庁の検討会が設置され、研究の現状、沿岸域における現象の整 理、研究上の問題点、今後実施すべき研究課題等平成10年夏までに 取りまとめ(中) ・漁場資源課主催「今後の日中漁業交渉における資源に係わ る議論の進め方に関する打ち合わせ」開催される(EEZ内の 外国船,暫定水域の管理,共同調査などが議題)(西海)
・「日本周辺陸棚緊急調査事業」に関する打ち合わせ会議開 催(西海)
・イルカウオッチングのために蝟集させた(?)イルカが漁業 被害を引き起こしている可能性(西海)
・「二枚貝異常へい死原因究明を通してみた有害プランク トン等の生態系影響に関する緊急調査」(環境庁)結果調 査会開催(南西)
・日本海ブロック会議で「マダラ研究会」を発足(日)
・海底の表層泥を無攪乱で採取できるコアサンプラーを工夫(養)
 
専門分野に固有な事項   ・H10.10新体制下で海区共通基盤的研究として資源管理基準 の研究の実施を決定(中)
・サンマ資源評価におけるABCの算定等について連携協力関係 の構築(中)
・FRESCO及びPODのファイル品質検査プログラム研修会の開催 をH10年7月の予報会議前後に開催する(中)
・科振調特別研究「エンドクリン攪乱物質による生殖への影 響とその作用機構に関する研究」がH.10から実施され、環境 保全部では3課題を設定して参画(中)
・有害物質の生態系への影響及び人の健康への影響評価にお いて魚介類などの摂取、生物濃縮を評価する必要性が指摘さ れ、環境庁の検討会で基準策定見直し作業進行中(中)
・有機スズ含有塗料の世界的全廃に向けてIMO(国際海事機 関)の海洋環境保護委員会WGで継続審議(中)
・エルニーニョ関連の問い合わせ有り。海況面から春漁への影 響は小さい見込み(東北)
・南西外海黒潮周辺の冬季海面水温が平年より1-2℃高めで推 移:エルニーニョによる暖冬の影響の可能性有り(南西)
・黒潮流路変動の要因解明の第1段階として、定期航路船「お がさわら丸」による最近14年間の航走水温を航路付近の潮位並 びに衛星による海面高度データと併せて解析した(中)
・長崎県対馬で大規模なエダミドリイシ群集の存在確認(南西)
・宮崎県日南海中公園におけるシロイシガレイダマシ(巻き貝) の大発生によるサンゴ被害。高知、愛媛でも同様(南西)
・沖縄におけるオニヒトデの大発生(南西)
・「魚介類の初期生態解明のための種判別技術の開発」推進会議 開催(南西)・マイワシ・ウルメイワシ産卵量前年並み。カタク チは未だ土佐湾で産卵みられず。サバ類は早い(南西)
・高知におけるウナギ漁獲実態(1)盛期は6~7月(2)近年漁獲量減 少の原因はシラスウナギ採捕、河川改修、砂利採取など(3)下り ウナギは9月から。河口域では2kg、成熟した個体もいる(南西)
・ウナギ人工ふ化仔魚の初期の給餌飼育にサメ卵低温乾燥粉末を 使用して成功(養)
・沖縄県資源管理型漁業でイソフエフキの管理海域を設定(西海)
・サメ類の移動・回遊などを解明するため国・県で1996年以来750 尾に標識放流を実施(遠洋)
・青森県でヒラメ漁獲量増加、平成9年度は1300トン。稚魚放流 と全長制限の相乗効果か?(東北)
・ヒラメ貧血症の実態調査、各県に依頼。4月末に集約(日)
・アマノリ属判別技術のPCR-PFLP法で現在検討されているDNA 領域の塩基配列には品種間の変異がほとんどなく、手法の再検討 が必要(西)
・日本沿岸のサザエ集団を遺伝子解析し、黒潮型と対馬暖流型の 2群に分けられることを示した(日)

水産研究に関する研究情報の分析と今後の対応
  分 析 の 方 向 分 析 研 究 の 内 容 今 後 の 対 応
推進会議において了解された事項 海洋生態系研究の推進方向 ①海洋生態系研究への取り組み状況 ①科技庁、環境庁関連プロジェクトの中で、新技術・新測器の導入が見られ、陸域から沿岸域 への環境負荷の研究が推進されつつある ①情報収集の継続
最近の科学技術政策の動向と研究対応 ①地球環境・環境保全研究及びそれらをテーマとする研究集会に関する情報等 ①海洋環境のデータベース化と解析技術に関する研修、他省庁、県、大学との 連携による研究が進行中 ①情報収集の継続
緊急時における連絡体制等について ①油流出等緊急事態発生時における各水産研究所内及び海区 内各県への連絡網に関する情報
②増養殖対象魚種の大量へい死等の緊急事態に対する対応シ ステム構築
①速やかな初動体制、調査の研究体制確立のための指針の作 成のため、連絡体制等に関する情報収集中
② 情報の収集・解析及び異常性・緊急性の判定のためのシ ステムが必要であり、対応システムに関する情報収集中
①情報収集の継続
②対応システム案作成
水産研究官が日常的に分析すべき事項 専門分野を越えて共通する事項      
専門分野に固有な事項 ①不合理漁獲
②海区における特異な自然現象(気象、海況洪水等)、 環境汚染、貧酸素層等に関する情報
③海区の増養殖分野における特異現象(大量発生、大 量へい死、新たな生産技術開発等)に関する情報
④生化学、分子生物学分野の沿岸生態系研究導入方法 に関する情報
①TAC制度下の各漁業における投棄の実態とその対策に関して情報収集中
②エルニーニョ現象は終息傾向、我が国周辺漁業への影響は小さい見込み
③サンゴ被害等の情報収集中
貝類(アコヤガイ、アサリ等)の大量へい死情報収集・分析中
④有用貝類等の遺伝子解析情報収集中
②情報収集の継続
③情報収集・分析の継続
④情報収集・分析の継続

水産研究に関する研究情報の収集について
  提  供  を  受  け  た  い  情  報
推進会議において了解された事項 海洋生態系研究の推進方向 ・新技術・新測器の紹介とその研究成果
最近の科学技術政策の動向と研究対応 ・農林水産省以外の組織との共同研究に関する情報
・内外の研究組織による優れたデータ管理の実例及びデータベースを活用した優れた研究例
緊急時における連絡体制について ・各海区水産業関係試験研究推進会議、その他で行われた本項に関わる協議の内容及び結果
・緊急事態への対応策、体制等に関わる情報
水産研究官が日常的に分析すべき事項 専門分野を越えて共通する事項 ・新たな水産技術開発に関わる情報
・地域振興と水産に関わる情報
専門分野に固有な事項 ・不合理漁獲、投棄、混獲情報、特にTAC実施後の状況変化についての情報
・海区における特異な自然現象(気象、海況、洪水等)、環境汚染、貧酸素 層の形成等に関する情報(黒潮大蛇行に発展する可能性のある蛇行現象が確 認されており、今後の黒潮大蛇行に伴う海況・漁場変化、漁業への影響に関 する情報)
・海区の増養殖分野における特異現象(大量へい死、大量発生、新たな生産 技術開発等)に関する情報
・生化学、分子生物学分野の沿岸生態系研究への導入方法に関する情報
・特許等の出願・取得状況とその利用例
・新品種の作出状況とその利用例
・全国共通基盤研究として実施すべき事項

Kiyoshi Wakabayashi

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